月に500匹以上のペット撮影を手がける。
七色の声を使い分けてわんちゃんの気を引き、猫じゃらしで猫を操りながら撮影するペトグラファー。
その巧みな猫じゃらしさばきから「猫じゃらしの魔術師」の異名を持つ。
写真教室講師、原稿執筆、テレビ出演、レンタルフォト撮影など多岐にわたる活動をしている。著書多数。
夜の野良猫撮影で注意するのはシャッター速度
夜の野良猫撮影は明るい時間に比べて難易度が高くなります。例えば「ピントが合いづらい」「ブレてしまう」「ISOをあげるからノイズが気になる」といった問題があるからです。
まず意識するのはシャッター速度です。
オートモードで撮ると、暗い環境ではシャッター速度が遅くなります。そしてシャッター速度が遅いとブレた写真になってしまいます。
シャッター速度は遅くても1/125秒は確保しておきましょう。シャッター速度がこれよりも遅い場合はISO感度を上げて調整しましょう。ISO感度を上げるとノイズが乗った粗い写真になってしまいますが、ブレた写真よりはマシです。ここはノイズは我慢してブレを防ぎましょう。
動いている猫は1/125秒でもブレてしまいます。ブレを防ぐためにもじっとしている猫を狙うといいでしょう。
さて、いきなり夜だと難しいのでまずは夕暮れ時の野良猫にトライしてみましょう。
こちらの写真は冬の17時ぐらいに撮影したもの。空が暗くなってきて街灯に明かりが灯りました。
見た目にはまだ明るく感じますが街灯が点いている事で雰囲気が出てきます。
この街灯がとても重要なのです。
人工的な光で幻想的に
さて日が暮れてくると暗くなるまであっという間です。いよいよ肉眼で見るのも大変なぐらい暗くなってきました。
夜の野良猫撮影はここからが本番ですが、ただ単に暗い中の猫を撮っても面白くありませんよね。
私が夜の野良猫を撮るときに意識しているのは「人工的な光」を入れる事です。
先ほどの夕方の猫も街灯がいい味を出してくれましたが、人工的な光は明るさを確保するというだけでなく、夜の野良猫をなんとなく幻想的に見せてくれる効果があるのです。
カメラの設定次第では暗い環境の中でもある程度明るく写すことは可能です。
しかし人工的な光がない状態で明るく写しても、ただの粗めの写真になってしまいます。
昼間の撮影でも夜の撮影でも意識するのは光。
光がある事で夜の闇が強調されるのです。
最後に私のお気に入りの一枚がこちら。
とある路地の街灯の下で1匹の野良猫が座っていました。
狭い路地に古めの街灯と民家。最高の場所に居てくれた野良猫に感謝です。
夜の野良猫撮影は昼間とは違った楽しみがあります。難易度が高いですが夜ならではの幻想的な写真に仕上がります。
ただ、夜になってから野良猫を探すのは困難な上に住宅街をうろつくと怪しまれる可能性もあるので、気を付けましょう。
写真・文=湯沢祐介