ビートルズ愛が生んだ“ハログファミリー”
萩原謙治さんがテレビのディレクターを辞めて、この店を開いたのが2014年。今ではディープなファンが集うサロンとして、レコードの音を気軽に楽しめる場所としておなじみだ。話の中心になるのはやはり、ビートルズ。レコードの音や突発的に始まるセッションをBGMに、20代から70代まで幅広いロックファンによるビートルズ夜話が繰り広げられる。
「ビートルズは長年聴いていて、毎回驚きも発見もあるしいい曲だなと思う。聴き始めた小学生の時と一緒!」と、萩原さんはビートルズのサウンドが、今も鮮やかだと熱弁する。このマスターのロック熱のおかげか、実に多くのビートルズファンが常連に。20代のお客に話を聞くと「ビートルズの曲は勉強になります、ここにきてからビートルズをもっと好きになった」と話してくれた。
「店名を略して、ハログってみんな呼んでくれてるのだけど、ハログファミリーがたくさんできてうれしいですね」と萩原さん。
「自分が好きなことはなんでもやってみろ!」、ビートルズからそう教わったという彼は、有言実行。ビートルズというキーワードのもと、ロック好きの心がつながる店を作りあげた。東中野の静かな闇の中に、半世紀以上も前のイギリスロックの鮮やかなサウンドが、今宵も響き渡る。
取材・文=半澤則吉 撮影=小野広幸