方向音痴は駅の出口がすでにわからない
やってきたのは曳舟駅。改札を出たところで、担当の中村嬢と落ち合います。
今回の目的地は『こぐま』という喫茶店。
中村嬢から、グーグルマップをプリントアウトした地図を渡されます。
「前回同様、ここからは吉玉さん主導でお願いします。私は何も言わずに着いていきます」
紙とはいえグーグルマップじゃん……と思ったところ、あることに気づきギョッとしました。
地図のランドマーク少なっ!
この地図、縮尺の関係か極端に文字での説明が少ないんです。
曳舟駅から『こぐま』まで、目印はたったの3つ。
- 東向島二丁目(交差点)
- しゃぶ葉 東向島店
- 鳩の街通り商店街
これしかありません。目印を見落とさないか、不安が募ります。
さて、まずは駅を出る必要がありますが、地図には出口の名称が書かれていません。東京の駅って出口が複数あり、それぞれに名称があるじゃないですか。「西口」とか「1番出口」とか「A1」とか。
違う出口から出ると、目的地にたどり着ける確率が下がります。困る。
どの出口から出るべきか、駅の壁にある大きな地図を見ます。
だけど、「手元の紙の地図」と「駅の地図」が一致せず混乱。
「あれ、これがここだから……あれ??」
地図をくるくる回し、ようやくふたつの地図を照合。ここまでに数分かかっています。
しかしよく考えたら、駅の地図にも出口の名称は書かれていませんでした。何をしていたんだ。
とりあえず勘で出てみて、勘で歩き出す。はたして……
曳舟駅には出口がふたつあるようですが、どっちから出たらいいのかわからないので、勘で出口を選びました。ワイルド。
出口にも地図が。でも、さっき見た地図となんだか違う気がして混乱します。
あらためて地図を見たところ、まずは「東向島二丁目(交差点)」に出なければいけません。そこに出てしまえば、あとは簡単だからたどり着けそう。
しかし、交差点のある方角がわからない……。
左右どっちに歩き出せばいいのかわからないので、勘で右を選びました。方向音痴は、出口も一歩目も勘で決めがち。
こっちで正解なら、この先に分岐があるはずです。なかったらどうしよう……。
分岐あった!
「この公園、たぶん地図のココですよ!」と思わず本気ではしゃいでしまいました。
しかも、住居表示の看板に「東向島二丁目」と書いてあるから、きっと目指す交差点が近いはず(この分岐は目指していた交差点ではありません)。
地図上の現在地がわかったので、どちらの道を選ぶべきかもわかりました。
歩いていると、大きな交差点に出ました。
標識には「東向島二丁目」の文字。最初のランドマークです。
ここまでくれば、あとは一度右折するだけなので大丈夫。迷うことはないでしょう。
次なるランドマーク「しゃぶ葉」。寿司もあるらしいけど、しゃぶしゃぶだけじゃダメなのかな。
その後、「鳩の街通り商店街」の入り口で右折し、閑静な商店街を歩きます。閑静って言葉、ふつうは住宅街に使いますよね。
途中、朝顔の鉢植えとか、レトロな金物屋の店先にあるいい感じのフライパンとか、いろいろなものに気をとられます。
取材じゃなかったら絶対フライパン買ってました。いつも、そういうことしてるから迷うのか。
そうこうしているうちに、目的地のカフェ『こぐま』に到着!
「散歩の達人」編集部おすすめの古民家カフェだそう。お店の佇まいがすてきです。
それはよしとして、迷子になるはずが一度も迷わず着いてしまいました。
散歩チャレンジ 曳舟編、どこが難しかった?
落ち着いた店内で中村嬢と反省会。迷わなかったことは反省すべきことなのか?
吉玉 : 駅が鬼門でしたね。紙の地図と駅の地図が一致しなくて困りました~。
中村 : 駅の地図は東が上でしたよね。
吉玉 : ! そっか、紙の地図は北が上で、駅の地図は東が上だったんですね。90度違うから、あんなに一致しなかったのか……。
中村 : 吉玉さん、だからあんなに地図をくるくる回してたんですね……。
信じられない話ですが、私は「地図の向きが90度違う」ことに気づかなかったんです。もう、方向音痴とか以前の問題かも……。
中村 : 駅の地図って、実際の方角に合わせて掲示されてることが多いんですよ。
吉玉 : あ、そうか!! 以前、その話をしましたね。
中村 : そのあと、出口で見た地図は南が上でしたよね?
吉玉 : そう言われればそうかも。私は「なんかさっき見たのと違うな~」としか思わなかったんですよね。東西南北の概念をすぐ忘れてしまう。
中村 : 電車に乗ってる最中はどうですか? 乗りながら、「進行方向と逆の改札に出ればいいんだな」とか考えます?
吉玉 : ……進行方向なんて意識したことなかった!
方向音痴じゃない人ってそんなことまで意識しながら生きてるの? すごすぎる。電車の中なんて、好きなドラマのことくらいしか考えてません。
散歩のつづき! お団子屋さんとスカイツリーへ
意外とすんなり目的地に行けてしまった私。次は、中村嬢の指定したお団子屋さんを目指します。
こういうフォントの看板、すごく好き。
何度も立ち止まっては地図を確認。そういえば、いつもはもっと漫然と歩いているかも。方向音痴の癖に慎重じゃないんですよね。
しかし途中、道は合っているはずなのに、目印にしていた「榎本武揚居住跡」を見落としていたことに気づきます。
「あれ、榎本武揚居住跡ってこのへんのはずなんですけど……」
私が言うと、中村嬢に「さっき通り過ぎましたよ」と言われました。こんなに慎重に歩いてても見落とすんだ。
お団子屋さん『言問団子』に到着!
やさしい口当たりでおいしい言問団子。店内で食べると、日本茶を出してくれます。
さて、お団子屋さんも迷わずたどり着いてしまいました。なんで今日は迷子にならないの?
ここからは、曳舟駅に戻るのではなく、「とうきょうスカイツリー駅」を目指すことになりました。
お団子屋さんを出て信号待ちをしていると、正面にスカイツリーがあって思わず「うわっ!」っと大声を出してしまいました。
なぜなら私は、スカイツリーが自分から見て左側にある気がしてたんですよね。なんで脳内の景色が90度ズレてたんだろう……?
でも、地図をくるくる回して現在地に照らし合わせると、たしかにスカイツリーは正面で合ってます。現実のほうが正しい(当たり前)。
このあとも、頻繁に立ち止まって位置を確認しながら歩きます。
ここまで来れば地図を見なくても大丈夫。さすがスカイツリー、優秀なランドマークです。
迷うことなく駅に到着しました。
なぜ紙の地図だと迷わなかったのか?
前回のグーグルマップを使用した散歩チャレンジでは、何度か迷った私。
今回、紙の地図で迷わなかった理由はどこにあるのでしょう? 私なりに考察してみました。
① 最初の一歩が合っていたから
今回、いちかばちかで選んだ出口がたまたま合っていたため、すんなりとたどり着けました。しかし、もう片方の出口を選んでいたら、もっと盛大に迷ったことでしょう。
また、出口を出て最初の一歩も、勘で右に決めました。
結果的に合っていたから良かったものの、地図を見て、出口や歩き出す方角を見極められるようになりたいですね。
② いつもより慎重に地図を確認して歩いたから
頻繁に立ち止まっては、地図と現実の風景を照らし合わせました。それが功を奏し、迷わなかったのだと思います。そのぶん時間はかかっていますが……。
③ グーグルマップと違い、紙の地図は勝手に動かないから
実は、これが大きい気がします。
グーグルマップのナビ機能を使うと、画面が勝手に動くんですよね。それで余計に混乱してしまう。特に迷って引き返したときなんかは、自分がどこにいるのかわからなくなります。
紙の地図は動かないぶん、自分でくるくる回すことで現実の風景に照らし合わせやすいです。
というわけで、紙の地図はグーグルマップよりも迷いにくいという結論になりました(あくまで私の場合です)。
分かったような、ますます分からないような……?
この結果を踏まえて、次回は方向音痴の専門家に話を聞きに行きます!
文=吉玉サキ(@saki_yoshidama)