駅からハイキング 飯田橋
旅する2人
旅系インフルエンサー
ゆうきさんときょうかさんの2人で、日本中のおすすめの宿など旅の情報を発信。2020年5月から活動を始め、各SNSの総フォロワー数は2023年12月現在で75万人を超える。

坂のある景色を楽しみながら進む

外堀に向かってひらけた出口が開放的なJR飯田橋駅の西口。「駅からハイキング」の受付を済ませた「旅する2人」のゆうきさん・きょうかさんは、参加者に配布されるマップを早速眺めている。

旅行で各地を飛び回っている2人だが、都内の街をぶらぶらと歩くことも多いという。

「気になるお店を見つけたら、まっすぐにそこへ向かうのではなく、道中であちこち寄ってみることもありますよ」

初参加の2人は「駅からハイキングアプリ」をインストール。これで簡単に参加受付ができる。
初参加の2人は「駅からハイキングアプリ」をインストール。これで簡単に参加受付ができる。
マップを手に入れたら、いざスタート!
マップを手に入れたら、いざスタート!

「駅からハイキング」のマップにはそのエリアを代表する施設や公園などのコースポイントが紹介されているが、歩きながら気になったスポットに立ち寄ってみるのも楽しみ方のひとつ。

駅を出発したらまずは神楽坂へ。坂をのぼり始めてすぐ、早速足をとめたのは、ピンク色の看板が目印の『不二家 飯田橋神楽坂店』。『不二家』のフランチャイズチェーンとして1967年に創業、以来家族経営を続ける店舗で、名物はなんといっても半世紀以上店頭で焼き続けてきた「ペコちゃん焼」。かつては全国の店舗で販売されていたが、現在はここだけ。ぺろりと食べられるサイズ感なのも、ハイキング中にはうれしいポイントだ。

定番のつぶあんやチョコ、チーズなどはもちろん、 限定メニューも豊富で常時10種類を揃えている。
定番のつぶあんやチョコ、チーズなどはもちろん、 限定メニューも豊富で常時10種類を揃えている。
「生地がとってもやさしい味」とゆうきさん。 店内にあるベンチにすわって頬張る。
「生地がとってもやさしい味」とゆうきさん。 店内にあるベンチにすわって頬張る。

次に立ち寄ったのは、「駅からハイキング」コースポイントの朱色の門が目を引く「毘沙門天 善國寺」。文禄4年(1595)創建、寛政4年(1792)に神楽坂に移転した日蓮宗のお寺で、新宿山ノ手七福神のひとつだ。この門前町が江戸中期に縁日でにぎわい、街の繁栄の礎となったのだから、神楽坂を歩くならば見逃せない場所といっていいだろう。

本堂の前には、狛犬ではなく石虎が鎮座する。
本堂の前には、狛犬ではなく石虎が鎮座する。

神楽坂という名の通りしばらく上り坂が続くが、ゆうきさんときょうかさんは勾配をものともせず、写真や動画を撮りながらのぼってゆく。途中、坂の名前の由来が書かれた看板を見つけたり、掲示された商店街の地図を眺めてみたりと、あちこちに目を向けながら歩いている様子だ。

時折手元のマップも見ながら、神楽坂通りを進む。
時折手元のマップも見ながら、神楽坂通りを進む。
すてきな装いのコボちゃん像を発見してツーショット撮影。
すてきな装いのコボちゃん像を発見してツーショット撮影。

スイーツも、ランチも、買い物も

門前町や花街の面影を残す神楽坂は、料亭や旅館のある路地のイメージも強く、「和の街」という印象があるかもしれない。しかし、1952年の東京日仏学院(アンスティチュ・フランセ 東京)開館などが影響してかフランス文化も根付いており、坂のある雰囲気も似ていることから「リトルパリ」や「日本のモンマルトル」と呼ばれることもあるほど。

道中に2人が足を止めたのは、そんなパリの香りが漂う『Aux Merveilleux de Fred(オー・メルベイユ・ドゥ・フレッド)』。フランス北部の都市・リールに本店を構えるパティスリーで、アジア初出店の店舗として2020年にオープンした。大きな窓から、山と積まれたメレンゲ菓子やかわいらしいフォルムのケーキが並んでいるのが見える。

『Aux Merveilleux de Fred』の軒先で、お店が気になる方と言葉を交わす2人。
『Aux Merveilleux de Fred』の軒先で、お店が気になる方と言葉を交わす2人。

2人がセレクトしたのは、メレンゲをホイップクリームで覆いチョコレートチップでコーティングした北フランスの伝統スイーツ「メルベイユ」だ。「SNSでグルメ情報を発信するときは、写真や動画で魅力的に見えることを重視して、スイーツを選ぶことが多いです」と話していたゆうきさんも「今年食べたなかで一番おいしい!」と太鼓判。店舗の上階にはカフェスペースもあるため、イートインでいただくのもよさそうだ。

チョコレートチップのほかにも、ナッツやキャラメルなど数種類のフレーバーがある。
チョコレートチップのほかにも、ナッツやキャラメルなど数種類のフレーバーがある。

さらに少し進むと、広々とした木製の階段、その奥にアーチ型の屋根が特徴的な建物が見えてくる。ここは、新潮社の倉庫を隈研吾建築都市設計事務所のデザイン監修でリノベーションした場所。複合商業施設「la kagū」としてオープンし、2019年にリニューアルを経てライフスタイルショップ「AKOMEYA TOKYO」の旗艦店『AKOMEYA TOKYO in la kagū』として生まれ変わった。店の1階には食品や調味料など日本各地の名品が棚にずらりと並び、2階では雑貨やインテリアグッズの販売、さらに期間限定のポップアップやワークショップのエリアもある。

フレグランスをじっくり吟味。 旅行の際は、現地の道の駅に立ち寄って買い物することも多いそう。
フレグランスをじっくり吟味。 旅行の際は、現地の道の駅に立ち寄って買い物することも多いそう。
人気商品の炊き込みごはんの素 鯛めしと、新米の真空2合パックをゲット!
人気商品の炊き込みごはんの素 鯛めしと、新米の真空2合パックをゲット!

次に立ち寄ったのは蔵前発のセレクトショップ『REN』で、この神楽坂店は2023年春のオープン。店内にディスプレイされた革小物やバッグはどれもシンプルなデザインながら細部までこだわり抜かれたものばかり。本革とは思えないほどの柔らかさと軽さが特徴のトートバッグや、同じ牛革でも部位や製法によって表情の違いがわかる財布など、説明を聞きながら見比べてみるとより楽しい。

「こういう小さめの財布に買い替えたいんですよね」と言いながら、 手にとってじっくり眺めていた。
「こういう小さめの財布に買い替えたいんですよね」と言いながら、 手にとってじっくり眺めていた。

夢中になって歩いていたら、すっかりお昼時。今日のランチは、外堀沿いにある『CANAL CAFE』でいただく。店はレストランサイドとデッキサイドに分かれていて、デッキサイドは外堀上に張り出した開放的なテラス席。JR中央・総武線を利用する人なら、青空の下で気持ちよさそうにお茶する姿を車窓から見たことがあるかもしれない。外堀の潤いある風景は写真撮影にもうってつけだ。

レストランサイドでいただくランチ。自慢のピッツァは15種類ものなかから選べる。
レストランサイドでいただくランチ。自慢のピッツァは15種類ものなかから選べる。
デッキサイドでドリンクとスイーツをいただく。春は桜の名所にもなる場所だ。
デッキサイドでドリンクとスイーツをいただく。春は桜の名所にもなる場所だ。

歩けば歩くほど、街の雰囲気が変化

ランチを終え、ぐっと南へ下ってゆくと街の空気ががらりと変化。飯田橋駅前のにぎやかな界隈を抜けるとすっかり閑静で、風格ある雰囲気が漂う。

「都心はどんどん景色が変わるからおもしろいですね。長時間歩いてもあっという間に感じるし、ぜんぜん疲れた感じがしません」と、さすがは街歩きも慣れた2人。

早稲田通りを南に向かって歩く。
早稲田通りを南に向かって歩く。

皇居の北側に位置する一帯は、千鳥ヶ淵・牛ヶ淵・清水濠に囲まれた「北の丸公園」。江戸城の北の丸跡に造られ、四季折々の植物や動物に出会えるほか、周囲には文化施設も多い。敷地は約20万平方メートルと広大で、都心とは思えないほど自然豊か。2人も「結構広さがありますね」とのびのびした表情で、小川を渡ったり滝を見つけて写真を撮ったりしていた。

江戸城の面影が残る園内は、池もあって散歩に最適。
江戸城の面影が残る園内は、池もあって散歩に最適。

今度は「北の丸公園」を北側へ。「このあたりは、普段あまり歩く機会がないので新鮮」と街並みを興味深く眺める2人の前に現れたのは、美しい素木の鳥居。「東京大神宮」だ。明治13年(1880)に伊勢神宮の遥拝殿として創建され“東京のお伊勢さま”と称され親しまれている。伊勢神宮の神々のほかに結びの働きを司る神様を祀っており、神前結婚式を初めて行った神社であることから縁結びの御利益が有名だ。きょうかさんがおみくじを引いてみると、なんと大吉!

はじめは日比谷に鎮座し、関東大震災後の昭和3年(1928)に現在地に移った。
はじめは日比谷に鎮座し、関東大震災後の昭和3年(1928)に現在地に移った。
早速、2人でお参り。
早速、2人でお参り。

穏やかな時間を過ごしているうちに、気づけばすっかり陽が傾いている時刻。少し北上して、スタートと同じJR飯田橋駅西口に到着すればゴールだ。

ゴール地点で踏破のポーズ! 健脚な2人はまだまだ歩けそうな雰囲気だ。
ゴール地点で踏破のポーズ! 健脚な2人はまだまだ歩けそうな雰囲気だ。

「歩いてみると、車で通るのとは全く見え方が違いますよね」と、今日歩いた時間を振り返るきょうかさん。「お店を見つけたり、小さいことにも気づいたりできるのが楽しかったです」。

「普段は、事前にリサーチしたりリストアップしたりしてから家を出ることが多いんです。でも、歩いてみるからこその発見があってよかった。特に『Aux Merveilleux de Fred』に出会えたのはうれしかったですね」とゆうきさんも頷く。

また、都心のエリアならではの気づきもあった。以前来たことのある場所が数年経って変化していて興味深かったそう。

「飯田橋は記憶よりもビルが増えていたし、神楽坂にはこんなお店ができたんだっていう驚きもあるし。他のエリアも同じように散策してみたいなと思いました」

エリアの魅力をしっかりと満喫したばかりでなく、思いがけない出会いや発見もあった1日。2人の旅の記録に、またひとつ新たな景色が加わったはずだ。

 

この「駅からハイキング」は予約不要(一部コースを除く)・参加費無料のイベントで、飯田橋コースのほかにも気軽に参加できるコースがもりだくさん。興味のあるエリアやジャンル、参加したい日付で探してみよう。

開催予定コース

北千住駅コース ▶︎ 2024年1月10日〜1月16日
代々木駅コース ▶︎ 2024年1月19日〜1月28日
田端駅コース ▶︎ 2024年1月26日〜2月1日
御茶ノ水駅コース ▶︎ 2024年2月2日〜2月6日
目黒駅コース ▶︎ 2024年2月8日〜2月14日
秋葉原駅コース ▶︎ 2024年2月17日〜2月25日
新宿駅コース ▶︎ 2024年2月20日〜2月25日
大森駅コース ▶︎ 2024年3月7日〜3月11日
浜松町駅コース ▶︎ 2024年3月14日〜3月18日
渋谷駅コース ▶︎ 2024年3月19日〜3月24日

1月20日代々木駅・2月17日秋葉原駅限定で、受付時にこの記事の画面を見せるとちょっぴり「プレゼント」があります!
※プレゼントはなくなり次第終了となります。
※イベントは予告なく中止となる場合があります。
※掲載の内容は2024年1月現在の情報となります。

立ち寄りスポット詳細

1. 不二家 飯田橋神楽坂店
☎03・3269・1526/10時~20時/無休/東京都新宿区神楽坂1-12/JR飯田橋駅から徒歩2分・地下鉄飯田橋駅すぐ

2. 毘沙門天 善國寺
☎03・3269・0641/境内自由/東京都新宿区神楽坂5-36/地下鉄飯田橋駅から徒歩5分・JR飯田橋駅から徒歩7分

3. Aux Merveilleux de Fred
☎03・5579・8353/9時~19時/無休/東京都新宿区矢来町107-2/地下鉄東西線神楽坂駅から徒歩1分

4. AKOMEYA TOKYO in la kagū
☎03・5946・8241/11時~20時/無休/東京都新宿区矢来町67/地下鉄東西線神楽坂駅から徒歩1分

5. REN 神楽坂店
☎03・5946・8458/12時~19時/火休/東京都新宿区神楽坂3-6-11/地下鉄飯田橋駅から徒歩3分・JR飯田橋駅から徒歩4分

6. CANAL CAFE
☎03・3260・8068/11時30分~22時(日・祝は~21時30分)/第1月休/東京都新宿区神楽坂1-9/JR飯田橋駅・地下鉄飯田橋駅から徒歩1分

7. 北の丸公園
☎03・3211・7878/入園自由/東京都千代田区北の丸公園1-1/地下鉄九段下駅から徒歩3分、地下鉄東西線竹橋駅から徒歩5分

8. 東京大神宮
☎03・3262・3566/境内自由(授与所は8時~19時)/東京都千代田区富士見2-4-1/JR飯田橋駅・地下鉄飯田橋駅から徒歩5分

取材・文・撮影=中村こより