名古屋の人気店が下北沢に登場!
『麺屋はやぶさ』は、下北沢駅から歩いて2分ほどの場所に新しく誕生した、飲食店が集まるテナントビル“マガザン下北沢”の一角にオープンした。やや奥まった場所にあるが、看板を目印にたどり着くことができる。ラーメン店のイメージとは離れたスタイリッシュな店構えが印象的だ。
店内に入ると、ポップな色合いのおしゃれな空間が出迎えてくれる。同店のラーメンはオマール海老や魚介系スープなど海にゆかりがあるため、内装もブルーを基調とし“海の中”をイメージしているそう。流行に敏感な若者が集まる下北沢に合わせた内装は、本店に足を運んだことがある人でも新鮮な気分を味わえるだろう。
下北沢店の店主は、好きが高じて会社員からラーメンの世界に飛び込んだ宮崎和弥(みやざき かずみ)さん。会社員時代に旅行先の名古屋で何気なく立ち寄った『麺屋はやぶさ』の斬新なラーメンを気に入り、「いつかこんなラーメンを世の中に広めたい」という気持ちが芽生えたという。その後に転職を考えたタイミングで『麺屋はやぶさ』に自ら修業を志願し、3年ほど経験を積んだあと2022年12月に念願の下北沢店をオープンした。
元イタリアンシェフが手掛ける本店の味わいを忠実に再現しているため、宮崎さんは「もともと名古屋で本店に通っていたお客様が、この店に来て“あのラーメンを東京でも食べられるんだね”と喜んでくれることもあります」と話す。
海老の旨味が詰まった濃厚泡スープ
“進化系ラーメン”として数々のメディアで取り上げられている『麺屋はやぶさ』の看板メニューが、オマール海老湯(えびたん)。殻ごと粉々になるまで砕いたオマール海老をじっくりと煮込み、海老のエキスを余さず抽出しふわふわのエスプーマに。さらに泡スープの下には、煮干しと鶏ガラをベースにしたスープが隠されている。形状の異なる二層のスープが新感覚の味わいを生み出すのだ。
鮮やかなイエローのエスプーマに覆われたラーメンが運ばれてくると、つい写真を撮ることに夢中になりがちだが「温度で味わいが微妙に変化していくので、20秒以内に写真を撮って、すぐに食べていただくのをおすすめしています」と宮崎さんは微笑む。
もちもちの中太麺に絡む二層のスープ
テーブルに運ばれてきた瞬間から、海老の良い香りに包まれ食欲をそそられる。海老の旨味を存分に感じるため、一口目はエスプーマスープのみで味わうのが同店おすすめの食べ方。ふわふわのスープを口に入れると海老の旨味がじわっと染み出し、軽やかな見た目とは裏腹に濃厚な風味を楽しめる。
次はエスプーマスープと鶏ガラ・魚介系スープを混ぜて食べてみると、味わいが一気に変化! 洋風のエッセンスがありつつも和風の出汁を感じる新感覚のラーメンスープになった。食べる前は洋風の見た目から「ラーメン感が少ないのでは?」と想像していたが、れっきとした“進化系ラーメン”といえる味わいだった。
麺はスープがしっかりと絡む特注の全粒粉入り中太麺。もちもちとした食感がスープと絶妙にマッチし、食べるほどやみつきになっていく。さらに玉ねぎ、パルメザンチーズ、オレンジピューレなど数種類のトッピングにより、一口ごとに味わいの変化を楽しめるのだ。一杯でいくつもの味わいを楽しめるのも、進化系ラーメンならではの醍醐味かもしれない。
さらなる変化を楽しみたいなら、無料でついてくる味変用の辛味ソース、にんにくを使って自分好みのアレンジをしてみよう。辛味ソースは辛すぎずほど良いアクセントになり、にんにくはパンチを足してくれる。また、スープを最後の一滴まで味わうなら、ぜひライス110円(ランチは無料)の追加オーダーを。残ったラーメンスープにライスを入れ、リゾットとして楽しむのが“はやぶさ流”の食べ方だ。
イタリアン×ラーメンという斬新な組み合わせで生まれたオマール海老湯。初めて食べたときのインパクトで終わらず、アレンジして何度でもおいしさを追求したくなるリピート必至の一杯だ。
取材・文・撮影=稲垣恵美