でかでかとした赤い看板に吸い寄せられる

行列ができることも多いという人気店。
行列ができることも多いという人気店。

『武道家 吉祥寺店』は、早稲田にある『武道家 本店』の2号店として2013年8月にオープンした。赤文字ででかでかと「武道家」と書かれた看板が印象的だ。
店内は白い壁で、奥に細長く伸びる木目調のカウンターに赤い椅子が並ぶ。前面がガラス張りのため、開放的で入りやすい雰囲気だ。旨いラーメンが食べられそうだと期待してしまう。

カウンター13席のみの店内。
カウンター13席のみの店内。

大量の豚骨で仕込む濃厚スープは後口スッキリ

トッピングがたっぷりとのった特製らーめん。
トッピングがたっぷりとのった特製らーめん。

店内に入ると、家系特有のトンコツスープの香りに包まれる。券売機で特製らーめん1050円を。特製らーめんはチャーシュー2枚、海苔8枚、半熟味玉、ネギ、ホウレン草がトッピングされた豪華版だ。やっぱり家系ならば、ライス100円も一緒に注文したい。

食券を渡すときには、家系ならではの「麺の硬さ」「味の濃さ」「脂の量」といった好みを伝える。しばらくして丼が到着。豚骨醤油特有の香りが鼻をくすぐる。やっぱりこの香りは素晴らしい。

まずはスープから。ひと口飲めばガツンとした濃厚な豚骨醤油の味わいと鶏油(ちーゆ)の香りが広がる。噂に違わぬコッテリ感がある。これはスープの作り方に何か秘密があると思い、店長の河埜丈士さんにうかがうと「スープは1回に100~120㎏という大量の豚骨を使います。超強火で煮込み、トロッとして濃厚な味に仕上げています。これは初代の店長の味を再現したものです」と話してくれた。確かに濃厚だが、後口は醤油のキレを感じられ、意外なほどスッキリと味わうことができる。

鶏油は鹿児島県産の鶏皮を使用し、1日寝かせてから火力を微妙に調整しながら、1時間~1時間30分ほど煮込むという。ここに九条ネギを入れている。そうすることによって、ネギの香りが加わり、より味わい深いスープが完成するそうだ。

卓上にはコショウのほか、豆板醤やニンニク、ショウガなどがあるので、好みの味に仕上げよう。
卓上にはコショウのほか、豆板醤やニンニク、ショウガなどがあるので、好みの味に仕上げよう。

スープを受け止める麺と絶品のトッピング

1日に約180個仕込むという半熟味玉は人気だ。
1日に約180個仕込むという半熟味玉は人気だ。

合わせる麺は家系御用達の酒井製麺製の中太麺だ。小麦の風味が伝わる麺と濃厚な醤油トンコツスープが相まって、箸が止まらなくなる。

トッピングもいい。トロリとした半熟味玉はもちろん、九条ネギのシャキシャキ感と風味もいい。特に旨いのは噛みごたえのあるチャーシュー。河埜さんによると「肩ロースを約2時間、強火で煮込んだ後に4時間ほど特製ダレにつけ込んでいます。提供前にスチームすることで、柔らかさとフレッシュ感を出しています」。なるほど、スチームすることで、できたてと同じような味を再現しているのだ。

家系ラーメンのスープにはライスがよく合う

カウンターにある丼には、青カッパ(キュウリの漬物)が大量に入っているので、一緒に食べよう。
カウンターにある丼には、青カッパ(キュウリの漬物)が大量に入っているので、一緒に食べよう。

ライスも濃厚スープとよく合う。ライスは炭を入れてガス釜で炊いているので、つやつやと光って甘さがある。
チャーシューをおかずに食べるもよし、スープに浸した海苔で巻いてもよし、おじや風にスープをかけるのもよし……。おかわり自由なので、満腹になれること間違いなし。

初代店長のラーメンを守り続ける

店長の河埜丈士さんとスタッフの熊谷有花さん。
店長の河埜丈士さんとスタッフの熊谷有花さん。

河埜さんは、この店がオープンした頃からアルバイトとして働いていたという。「ほかの店舗で店長を、というお話もありましたが、吉祥寺店に愛着があったのでここで店長をさせていただくことになりました。スープやトッピングなど、初代店長が作ったラーメンを守っていきたいと思います」と話してくれた。

超濃厚なスープでありながら、スッキリと味わえるラーメンは、学生のみならず、さまざまな年代に愛される。入店のしやすさから女性からの支持も高いという。

吉祥寺でガッツリラーメンが食べたいならば、ここがオススメだ。

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-5-11 丸善ビル1F/営業時間:11:00~翌2:00/定休日:無/アクセス:JR中央線・京王電鉄井の頭線吉祥寺駅から徒歩1分

取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン