アクセス
電車:JR・私鉄・地下鉄上野駅から上越新幹線で約1時間の上毛高原駅下車。関越交通バス鎌田線に乗り換え30分の上之町下車。同バス昭和村循環線に乗り換え5分の昭和村役場前ほか下車。(※2023年1月15日より事前予約によるデマンドバス運行を導入予定)。
車:関越自動車道練馬ICから昭和ICまで約120km。同ICから村中心部まで約6km。
道の駅あぐりーむ昭和
立ち寄らずにはいられない村の拠点
人気の農産物直売所(直通☎0278-50-3003)をはじめ、地元密着型のクレープ店、農家レストラン、うどんメニューが充実の食堂、テイクアウト専門の喫茶、足湯、観光案内コーナーがぎゅっと凝縮。風を切って自然を満喫できる自転車の貸し出しも行っている(クロスバイク4時間1000円ほか)。
こんにゃく芋生産量日本一
収穫までの多大なる手間に仰天
村内随所で目にするこんにゃく畑。生産量日本一を誇り、例年10月中旬から12月上旬にかけて生芋が収穫される。出荷までには通常3年かかるが、寒さに弱いため1年目と2年目のものは畑から掘り起こされ、貯蔵したうえでGW明けに植え直される。とてつもない手間には驚くほかない。
鍛屋地(かじやち)古墳
石室から五鈴鏡など300点超が出土
周辺の土地改良総合整備事業に伴い、1993年に発掘調査された円墳(鍛屋地二号古墳)。古墳域直径22.54mと利根沼田地方最大級の規模を誇り、築造時期は7世紀前半とされる。横穴式石室を復元し、露出した様子を間近に見られるようになっている(石室内部への立ち入りは禁止)。
●群馬県利根郡昭和村森下
『Repos(ルポ)』
店名の由来はフランス語で“安らぎ”
製造から接客・販売までを1人でこなす西澤愛美さんが自宅の一角をリフォームし、2021年12月に開店した洋菓子店。季節感あふれるケーキの品揃えは8~9種ほど。小さめながら洗練された出来ばえで、丁寧な仕事ぶりが光る。焼き菓子は、工夫を凝らしたパルメザンとドライトマトのパウンドケーキ200円など約12種を販売。
『山田商店』
地元で長年愛されるピリ辛カレーうどん
少々年季の入った雑貨屋風情ながら、昼どきには併設の食堂へ足を運ぶ地元客の姿が絶えない。一番のお目当てはタマネギから出る水分だけでじっくり煮込んだカレー。なかでもカレーうどん800円は、刻んだ鷹の爪のピリ辛風味とうどんの相性が抜群で、思わずクセになるのも納得だ。胃袋に余裕があれば、味噌仕立ての素朴なもつ煮400円もぜひ。
奥利根ワイナリー
生産から販売までスタッフ全員が従事
赤城山麓、標高700mの高原に位置する家族経営のワイナリー。土壌に合ったヨーロッパ系品種を中心に年間約3万本を生産。自社畑産ブドウにこだわったヴィンテージワイン「I’m(アイム)」シリーズはシャルドネ、メルローなど全4種(750㎖3300円ほか)。風土に根差したテロワールを存分に表現した昭和村産ワインを堪能できる。
貝野瀬ビューポイント
雄大なパノラマを独り占めできる
ゆるやかに傾斜した農地の先に谷川岳や武尊(ほたか)山などを見通す展望スポット。眼前に広がる山々の名を示した説明板があるので、山座同定も楽しめる。赤城山船ヶ鼻(ふねがはな)登山口に当たる「結婚の森ビューポイント」や子持(こもち)山の山容が印象的な「松ノ木ビューポイント」にも足を運びたい。
●群馬県利根郡昭和村貝野瀬
武尊(ほたか)神社の双体道祖神
悪霊退散の秘訣は夫婦円満にあり
集落の道端や辻などに置かれ、外界から悪霊が侵入するのを防ぐ道祖神。村内では20基ほどが確認されているが、特に目を引くのが武尊神社に置かれた双体道祖神だ。夫婦円満が悪霊を追い払い、退散させるとの信仰に基づく。境内の一角にある文政3年(1820)築の舞殿も一見の価値あり。
●群馬県利根郡昭和村貝野瀬1132
「日本で最も一番美しい村」を標榜!
NPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟する昭和村。のびやかな風景が広がり、赤城山や武尊山など周囲の山々と雄大な畑との組み合わせは、北海道の美瑛(びえい)の丘を思わせると評しても過言ではない。行く先々で手入れされた花が植えられ、小学生が書いた「ゴミを捨てないで」などの標語も掲げられるなど、住民の意識の高さも“美しい村”を支える一助になっている。
小麦工房なっちゃん
路地奥にある小さなパン屋さん
地元出身の加藤夏美さんが2019年にオープン。食パンのほか、季節の農産物を生かした総菜パンや自家製味噌だれをサンドした群馬県の郷土食みそパンなど通常13~14種が店頭に並ぶ。生地が比較的やわらかいのは年配客にも安心して食べてほしいとの思いから。販売日限定のベーグルやフランスパンはインスタグラムで確認を。
昭和の湯
入り口のミニ直売も要チェック!
建物裏手を片品川が流れ下る村営の日帰り温泉。大浴場は「和の湯」「洋の湯」に分かれ男女週替わり。いずれもジェットバスとサウナ、水風呂を備えた内風呂と露天風呂からなる。泉質はアルカリ性単純温泉で、pH9.08と滑らかな肌触りが評判だ。庭園の一角には温泉を引いた足湯も併設。
長井坂城跡
険しい断崖上に残る謙信ゆかりの山城
関越自動車道長井坂トンネルの真上に残る囲郭(いかく)式山城跡。築城時期は不明だが、永禄3年(1560)に長尾景虎(かげとら=上杉謙信)が沼田城に攻め入った際、陣を張ったと伝わる。時を経て北条方長尾氏の勢力下に置かれたが、天正18年(1590)の小田原城落城に伴い廃城。群馬県指定史跡。
●群馬県利根郡昭和村川額
赤城山船ヶ鼻(ふねがはな)登山道
周回コースで気軽に半日ハイクを
複数のピークがカルデラを取り囲む赤城山。派生する尾根上にある船ヶ鼻山(1466m)へ向け、「結婚の森ビューポイント」のある昭和村側登山口から「楢水(ならみず)コース」(片道4km)「牛石コース」(5.8km)が整備されている。山頂手前のつつじ平からは谷川岳、榛名(はるな)山、浅間山の眺めがよい。
旅のワンポイント
伽藍(がらん)を大火から守った雲昌(うんしょう)寺の大ケヤキ
推定樹齢700年の老樹。弘化4年(1847)発生の火事でケヤキは大きく損傷したが、寺への延焼を防いだとされる。群馬県指定天然記念物。
メガソーラーの先に山並みを見通す展望地
「貝野瀬ビューポイント」からほど近い「展望の丘」。丘の上からは「いちご昭和村生越ECO発電所」の太陽光パネル群を一望でき、圧巻。
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2022年11月号より