毎回何か新しい発見があるカフェ
明治通りから一本道を入った商店街にあるカフェ。プレハブ2階建ての店舗は、1級建築士でもある店主の中澤宏仁さんが自ら設計した。店内は温かみがあり、居心地のいい空間になっている。1階はカフェスペースで、カウンター席とテーブル席を合わせて15席。
2階はイベントスペースになっている。演奏会や展示会、読書会、ワークショップ、日常のなかにある映画上映会「ゆるいえいがかん」など、さまざまなイベントを行っている。
中澤さんは「飲食だけでなくプラスαの何かを体験、経験して欲しいと思います。例えば、食事に来たついでに映画鑑賞したり、隣のお客さんとおしゃべりしたり、また子供が学校でこんなことあったよと報告しにきてくれたり、誰もが気軽に立ち寄れる『場』として利用していただければと思います」と話す。
コラムや本など、来る度に何か新しいコトに出会える
さらに楽しみがある。メニューを挟んだクリップボードには、中澤さんが書いたコラムがある。こだわりメニューの一つであるカレーに対する思いや「ゆるいえいがかん」など、お店に関わることから、日頃、中澤さんが思っていることなど実にさまざまな『yurucafe』にまつわるいろいろなストーリー。お客さんの中にはこのコラムを読むために訪れる人もいるという。不定期での連載になっているので、新しいものに出会えたらラッキーだ。
物々交換ならぬ、「BOOK BOOK(ぶくぶく)交換」も好評。「お客様が次に読んでほしい人をイメージしてメッセージを書き、本をラッピングして持ち寄っています。タイトルを分からなくしているので、メッセージを頼りに選んでいただきます。普段、あまり読まないジャンルの本に出会えるので、それによって新しい興味を持っていただければうれしいです。どなたでも自由にご参加できます」。
まろやかな甘みとピリリとした辛みがいいカレー
名物はメニュー名に店名が付いたユルカレー650円。ココナッツミルクをたっぷりと使い、オリジナルでブレンドした7種類の香辛料を合わせている。
ひと口食べると、ココナッツミルクのまろやかな甘みが広がり、続いてスパイスのピリリとした辛さと苦さが押し寄せてくる。しっかりとした弾力がある鶏肉や柔らかに煮込まれた玉ネギがいいアクセントになっている。
中澤さんは元々料理が好きで、カフェを開店する前にも建築事務所の社員に振る舞っていたという。「これからもジャンルにこだわらず、季節に合わせて自由にさまざまな料理を作っていきたいです」。
クラフトビール800円~は常時5~6種類を用意。中澤さんが選んだものや目白の酒屋・『田中屋』の北山さんから提案されたものなどがあり、ユニークな品ぞろえになっている。カレーと一緒に厳選したクラフトビールを飲むのもこの店ならではの過ごし方だ。
誰でも立ち寄れる地元密着の雰囲気
中澤さんは「ふらっと気軽に立ち寄れる場にしたいと思っています。江戸川橋から移転したのですが、池袋から近いにも関わらず、下町感のある雑司ヶ谷が私のコンセプトにピッタリでした。今では地元の方と挨拶や会話も楽しめています」と話してくれた。
「yuru」~く、休憩ができる。そんな居心地のいい日常のカフェで、リラックスしたひと時を過ごしたい。
取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン