友人のためにトラックを探す私に訪れた変化

それ以降、外出した折にはミニストップのトラックを探す癖がついた。それは単に「Mさんに写真を送ってあげたい」という一心で、「かわいいトラック」という気持ちは、まだ私の心には芽生えていなかったのである。そんなある日、神田の交差点で左折するミニストップのトラックを発見し、すかさず写真に収めた。

Mさんが探していたソフトクリームトラック。確かにかわいい。
Mさんが探していたソフトクリームトラック。確かにかわいい。

写真を見返してみると、確かにかわいい。他にもかわいいデザインのトラックがあるのかも知れない、と初めてトラックに興味がわき始めた。

思い返してみれば、「かわいいデザインだな」と常日頃思っていたトラックなどもあり、「かわいいトラック」はいつも身近に走っていたのだ。

私が日ごろからかわいいと思っていた倉庫会社のトラック。「五十嵐」の「50」に雪が積もっているのがかわいい(撮る際には停止しています)。
私が日ごろからかわいいと思っていた倉庫会社のトラック。「五十嵐」の「50」に雪が積もっているのがかわいい(撮る際には停止しています)。

ただ私がそれに無頓着なだけであった。かくなる上は、Mさんの趣味に乗っかり、私も「かわいいトラック」を探してみたいと思い始めた。

ミニカーにしたいトラックを追う

Mさんによると、かわいいトラックの基準とは、「ミニカーになりそうなデザイン」とのことであった。実際にミニカーになっている、ヤマザキパンのトラックなどがその典型であろう。

ヤマザキパンのおなじみのデザイン。この女の子は現在どうしているのだろう。
ヤマザキパンのおなじみのデザイン。この女の子は現在どうしているのだろう。

Mさんのアドバイスに従い、「このトラックをミニカーにしたい」という基準でトラックを追ってみた。

まず、トラック自体が小型で、車体全体が塗装されているタイプ。

全体がチキンラーメン色に塗装されたトラック。広告としても効果が高そう。
全体がチキンラーメン色に塗装されたトラック。広告としても効果が高そう。
物流会社のトラック。全体がイメージカラーの黄色に塗られている。
物流会社のトラック。全体がイメージカラーの黄色に塗られている。
コーヒー会社のトラック。この会社のホームページのトップにはこのトラックが紹介されており、力を入れていることがわかる。
コーヒー会社のトラック。この会社のホームページのトップにはこのトラックが紹介されており、力を入れていることがわかる。
全体にイラストがあしらわれたトラック。おしゃれな印象。
全体にイラストがあしらわれたトラック。おしゃれな印象。

ミニカーになったさまが容易に想像できるかわいさであるし、その力の入れようを見ると、企業側がトラックを「走る看板」として捉えているのだなと伺わせる。

一方、キャラクターなどのイラストでかわいさ勝負に出るトラックもある。

主力商品であろうパンが、シンプルにあしらわれている。
主力商品であろうパンが、シンプルにあしらわれている。
80年代風桃太郎のイラストがかわいい。
80年代風桃太郎のイラストがかわいい。

パンのイラストと、「キムラヤのパン」という文字が書かれた『木村屋總本店』のトラックがこの代表だ(キムラヤのパンのトラックは実際ミニカーになっている)。

キャラクターは描かれていないものの、配色がかわいいトラックもある。

スジャータのおなじみの配色。Mさんによれば、スジャータのキャラクターの少年少女があしらわれたバージョンもあるらしい。
スジャータのおなじみの配色。Mさんによれば、スジャータのキャラクターの少年少女があしらわれたバージョンもあるらしい。

これもまた、ミニカーにしたらかわいらしいに違いない。

「店名のフォントがかわいい」タイプのトラックもいる。

文字しか書かれていないが、その字体がかわいいというタイプ。
文字しか書かれていないが、その字体がかわいいというタイプ。

フォントが丸文字風のトラックはなぜか小型のものが多く、そのサイズと相まってよりかわいらしさが増しているように思う。

ひとの趣味に便乗すれば、共有できる

今後もさまざまなデザインのかわいいトラックを発見していきたいと考えてはいるが、一つ問題がある。というのもバイク通勤をしている私は、通勤路でかわいいトラックに遭遇しても、写真を撮ることが難しいという点だ。

「あ、あのトラック、Mさんに見せてあげたい」と、いつも地団駄を踏むことになる。そこで「これこれこういう配色の、こういうトラックを、今日〇〇通りで見かけて」と逐一文章でMさんに報告することになるのだが、果たしてMさんはそれを迷惑に思っていないだろうか……と少し心配になりつつも、友人と趣味を共有できることを幸せに思いたい。

絵・写真・文=オギリマサホ