充実の体験プログラムを遊びつくすのにこれが必須!「てっぱく抽選アプリ」
『てっぱく』の大きな特徴の一つが「体験プログラム」の多さ!新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から一部プログラムの休止や内容変更があるものの、それでも内容の濃さはハンパないっす。
館内の「体験プログラム」を楽しむ前に絶対用意したいのが「てっぱく抽選アプリ」。体験プログラムのほとんどは事前抽選制で、当選することで体験が可能なシステムになっていてその抽選を行うのがこのアプリ。ダウンロードはどこでもできますが、実際に抽選が行えるのは『てっぱく』の敷地内でスマホに位置情報を取得してから! 抽選は開館時間と同時に受付スタートで、瞬時に結果がわかります。もし落選してもキャンセルが出た場合に再び抽選が行える旨の通知が来る、ありがたいシステムになっています。
日本最速の新幹線を運転できる!人気の「E5シミュレータ」
体験プログラム、もちろんどれも楽しいですが、やっぱりね……これは欠かせないっすよ。憧れの運転士になれる「運転シミュレータ」!!『てっぱく』の運転シミュレータは5車種5路線とめっちゃボリューミー。その中でも超絶おすすめなのが「E5シミュレータ」!
E5系新幹線の実車同様のリアルなモックアップ(模型)で時速320Km運転を体験できる、日本最速の鉄道シミュレータで、使用映像も収録用の臨時列車を走行させて収録されたこだわりの映像が使用されています。
国内を走る新幹線の運転機器はブレーキとマスコン(アクセル)が別々になっているツーハンドルタイプ。ただ、在来線のツーハンドルとは決定的に異なる点があり、ブレーキとマスコンの位置が在来線と新幹線で左右が逆になっています。通常、在来線では右手の位置にあるブレーキが新幹線では左にあるんですね。この理由は諸説ありますが、新幹線の運転はブレーキ操作よりも高速走行中の定速運転を維持する必要があり、マスコンをきめ細かく操作するため、日本人には右利きの人が多いために右手にマスコンを持ってきたとか。ちなみに僕は左利きですが、操作性にはなにも問題なしです!
今回、体験させてもらったのは東北新幹線福島→仙台を運転する中級。受付では白手袋を受け取り、それを付けて乗務に臨みます。(白手袋はお持ち帰りOK!)運転が初めてでも係員さんがていねいに教えてくれるので、なにも心配はいりません。
運転席に座ると、「おお、スタイリッシュ!!」。長いノーズを持つE5系は、運転席周りもとってもスマート。ていうか、新幹線の運転席に座っている時点でレア体験すぎて気分は最高潮!『てっぱく』じゃないとできないですからね、これは……。
運転前には係員さんから「しっかりと指差確認と声を出して確認動作をしましょう!」と促されますが、せっかくなので恥ずかしがらずにしっかりと指差確認を行いましょう!実際の運転士さん同様に「目で見て指で指差し確認して、口で読み上げて、耳で確認しながら」、シミュレータといえども遊び感覚ではなく、真剣に、安全に仙台を目指します!!
どんどん加速していって……最高時速320km!走行中の前面展望はまさに飛ぶような光景が広がります!
仙台駅が近づき、東北新幹線の信号システムである「DS-ATC」のパターン通りに減速していくと、オレンジに黒線が入った「停車場接近標識」が見えてきます。このタイミングで「停車場接近、仙台停車、編成U、10両停車位置U」と声を出しながら指差確認。東北新幹線は編成も両数も多種多様なので、こうした確認が欠かせないんですね。勉強になります!
駅構内に入るとマニュアルでブレーキを扱って停車するのですが、ここでも新幹線ならではのポイントが。在来線の場合、車両の先端とホームにある「停止位置目標」を合わせて停止させるのですが、先端の長い新幹線ではちょっと事情が異なっています。
新幹線では、自身が座っている運転席の真横くらいにある運転室内の「矢印」と停止位置目標を合わせて停止させるため、最後の瞬間は横を向きながら停車させるのが「新幹線流」なんです。
その感触をもらすことなく再現するためにこのシミュレータでは、「横風景専用のモニター」が完備!なので、実車同様に横を向いて停止させる体験ができちゃうんですよ。しかも低速時にブレーキをかけた時に聞こえるE5系先頭車特有の「あの」ブレーキ音も完全再現されており、なんというか控えめに言って至福のシミュレータです。まもなく僕も35歳になり、おそらくもう新幹線運転士になることは叶わないでしょうし……。
日本でここだけ!本格的蒸気機関車運転シミュレータ「D51シミュレータ」
続いて、ご紹介したいのが本館1F「車両ステーション」内にある「D51シミュレータ」。その名の通り、蒸気機関車の運転シミュレータです。(日本でここだけ!)しかも、可動式で走行シーンに合わせてシミュレータが揺れ動く!!
こちらも今回、体験させていただけることに。最新鋭の新幹線車両から蒸気機関車への乗り継ぎということで、ドキドキワクワクしながら、先ほどE5系でいただいた白手袋を付けようとしていたら、操作を教えていただける係のお兄さんが「あ、D51ではこっちなんです!」と一言。
運転を教えてくれるやさしいお兄さんの手にはまっさらな軍手が!SLは石炭を燃やして走るため熱を帯びます。そのため、本物の機関士さんは白手袋ではなく軍手でSLに乗務されていますのですが、思わず「すげえな、てっぱく……」と口からこぼれましたよね。ここまで再現するとは。
ちなみに揺れ、走行音、蒸気やエアーの音もリアルな「D51シミュレータ」ですが、さすがに火は入ってませんから、熱くないのでご安心を。もちろん軍手もお持ち帰りOKです。
本物のSLは必ず機関士さんと機関助士さんの2人1組で運行されていて、機関士さんは運転を、機関助士さんは釜に石炭をくべ、水や蒸気のコンディションなどを確認する役割を担っています。現在では新型コロナウイルス対策として、ペアでの体験はできないのですが、こちらのシミュレータも2人態勢での体験も可能で、イミテーションの石炭で投炭も行えます。なお、体験には本物同様の操作が必要なため「E5シミュレータ」は小学生以上、「D51シミュレータ」は中学生以上から体験できます。
SL運転の経験は初めて、ということで今回は初級の釜石線花巻→新花巻間を運転させていただくことに。しかーし!花巻を出発する時点でその手順の多さにすでに大混乱!車でギアにあたる「逆転機ハンドル」を操作し、ブレーキを解除して、「加減弁ハンドル」(アクセル)を引きつつ、動輪の空転に注意して慎重に発車します。
発車してからも、シリンダー内にたまった水を吐き出す「ドレン」を操作し、走行中も蒸気圧に注意しながら、逆転機ハンドルをまめに操作し、もちろん信号や制限速度、乗り心地に定時運行を意識しなければならないのだからもう大変!!最初の停車駅は壮大にオーバーランした上、出発時のドレン操作では踏切通過中に思いっきりドレンを吐いたため、踏切で待つおじいさんにとてつもなくひどいことをしてしまいました……。
さらに上り勾配中にある新花巻駅では速度が落ちすぎてブレーキをかけることなく駅に停車してしまう結果に。もう極めつけには停車時にブレーキをかけなかったために上り勾配の影響を受けて後退してしまいました。今度来るまでにSLのこと、もっと勉強してきます(涙)
平日なら予約不要で楽しめるシミュレータもあり!
『てっぱく』にはこの他、運転系のシミュレータとして、京浜東北線E233系、高崎線211系、山手線205系のシミュレータがあり、これらも全て本物同様の運転台で体験できるのはもちろん、保安システムの「ATC」や「ATS-P」もリアルに動作。
特に山手線の「205シミュレータ」は少し懐かしい映像に加え、デジタル化されるまでの旧タイプのATCという組み合わせになっています。
さらに!南館の1Fには209系のモックアップを使用した車掌さんの業務が体験できる「車掌シミュレータ」があります。
運転士育成用カリキュラムに即した体験プログラムもあるぞ!
たくさんの体験プログラムの中でもちょっとだけ異色なのが「運転士体験教室」。こちらは実際に運転士養成用機器を元にしたシミュレータを使用したプログラムで、単に運転体験をするだけでなく、安全運行や信号の仕組み、経済性を意識した省エネ運転などを座学で学んでいくカリキュラム。かなり本格派の体験プログラムで、帰りの電車内で、これらを当たり前のようにこなすプロの運転士さんの凄さに感銘を受けるはず。
この日体験した上級では、信号や制限速度、ダイヤを守りつつ、効率的なエコ運転を行うというもの。かなりムズい!!
「一段制動三段弛め」(強いブレーキを一度にかけて、三段階で弛めて停める方法)が必須課題として挙げられている上級では増しブレーキ1回でも0点になるほどシビアな採点!
満点を取るのはものすごく困難ですが、100点を達成した猛者には『てっぱく』のロゴマーク入り特製白手袋がプレゼントされます!(2021年11月現在は特別版で実施されているため、通常の記念品とは異なります)
まとめ:どの体験も楽しすぎるので、鉄道博物館に行くなら『てっぱく抽選アプリ』は忘れずに!
以上、鉄道博物館のシミュレータについてお話しさせていただきました!どれも楽しいのはもちろん、心から「プロの運転士さん、車掌さんってすごい!」思ってしまうほどリアルな体験ができます。
各シミュレータの体験には事前に「てっぱく抽選アプリ」での当選が必要で、E5・D51・車掌シミュレータと運転士体験教室は1回510円、205・211・233シミュレータは無料で平日は先着順、土休日は「てっぱく抽選アプリ」による当選が必要です。また、D51は中学生以上、E5・運転士体験教室は小学生以上(体験教室のみ小1〜小4は保護者同伴)で体験可能です。
あなたも憧れの体験を、ぜひ『てっぱく』で!
取材・撮影・文=村上悠太(ユータアニキ)