つけ麺は町中華発祥で広まった珍しいメニュー
ツルツルでしたね!
麺が美しいですね。みなさん、つけ麺はどんなイメージですか。
あるとき編集者に「つけ麺」はどうですかと言われ、苦手だと言ったら「だまされたと思って」と、旧東池袋大勝軒に連れていかれました。以来ハマりましたね。まだ山岸さんがいらっしゃるころですね。
僕は中野の「つけ麺大王」で初めてつけ麺を食べた。「つけ麺大王」はつけ麺における初のチェーン店だったと思う。好き嫌いはともかく、認知度を高めたという点で果たした役割は大きかった。
80年代はあちらこちらに「つけ麺大王」がありましたね。「つけ麺大王」のラーメンは好きでしたが、つけ麺はいまいち好きになれませんでしたね。
自分、つけ麺をラーメン専門店のやつを先に食べちゃったので、丸長・大勝軒系のほうが後なんですよね。そういう人、多いでしょ今は。
そうですね、僕も専門店とかつけ麺を推しているラーメン店の味から知りました。
私もそのクチです。町中華でいまいちつけ麺がメジャーにならない理由は、ラーメンと違う麺を用意する面倒さが大きそうですよね。
冷やし中華なら同じ麺でもいいけど、つけ麺だともっと麺の存在感がほしいですね。
わかる、町中華のつけ麺はラーメンと同じ麺が多いなあ! 冷やし中華は季節限定だからやるけど、通年メニューのつけ麺は、面倒くさがりの店主には向かないのかも。
代々木上原『大勝軒』さんは、ラーメンとは別の麺でしたかね?
『大勝軒』さんはつけ麺用に別の麺を使っています。
もともと普通の麺をつけ麺に使っていたけど、太麺がうまいと気づいたそう。しかも、それが昭和30年代の話だといいます。そう考えると、つけ麺は町中華の中でもちょっと珍しい存在かも。
そう、つけ麺は面白くて、町中華発祥で、専門店に広がったメニューですよね。ほかにはそういう料理は見当たらない。以前取材した『お茶の水、大勝軒』でうかがったのは、山岸さんの旧東池袋大勝軒はもともと町中華だったけれど、つけ麺人気で行列ができて仕方なく専門店化したと言ってましたね。
毎日食べたいスッキリ味!
つけ汁についてはどうですか。僕は魚粉系がちょっと苦手で、それもつけ麺デビューが遅れた一因かと。
これこそ店主の腕が試されますよね。甘い、辛い、しょっぱい、酸っぱいのバランスが大事。
そう!バランス!代々木上原『大勝軒』さんは酸味と辛味のバランスが絶妙でした。
かなり節系の存在感が大きかった印象で、それが和風な感じを生んでいて毎日でも食べたくなる感じがして好きでした。酸味はそんなに主役級には目立っていなかったのも食べやすさにつながっていたなーと。
そうそう、代々木上原『大勝軒』は毎日食べられる味ですよね。
『大勝軒』は酸味が特徴ですよね。
大勝軒系のつけ麺は、「日本そばを中華風で食べたらどうか」というのがルーツだそうですね。なので基本和風で、誰でも食べやすいバランスなんだと思います。
日替わりメニューに味噌汁やスープがわりのつけそばが付けられるのも納得ですよね~。
パスタ的でもある? つけ麺は今後の伸び代たっぷり
麺の感想に戻っちゃいますが、少し短めですごく喉の通りがいい。大盛りでもすっと食べられました。
短いからスルッと食べられる。『大勝軒』のルーツ、荻窪『丸長』もつけそばが有名ですが『大勝軒』よりも麺が長い印象。
大盛りを食べても、もっといけそうって思える麺ですよね、代々木上原は。
僕は個人的に、つけ麺はパスタっぽい気がするのです。
どの辺がパスタでしょう?
麺の太さと、アルデンテっぽいところかな。
確かにコシが大事ですよね。ラーメンの麺とはそこが違う。
確かに、ラーメンを食べに行くぞ!という気持ちと、つけ麺を食べたい気持ちってかなり違いますよね。油そばも同様にパスタ寄りの感覚が。
ラーメンはヌードルでつけ麺はパスタって感じかな。
代々木上原は、スープ割りがまたおいしいんですよね。
スープ割り!
スープが入った容器がまた個性的ですよね!
こんな容器初めて見ました。
スープ割りも、そば湯が原点なんだろうか。味は中華でハートは日本!
気づいたらどこかのお店がキャッチフレーズにしているかもですね(笑)。
日本そばの感覚ですよね、スープ割りって。
『大勝軒』はスープ割りにすると、出汁の風味をさらに味わえますね。
そう、スープを入れたときに立ち上る香りがたまらんですね。
レンゲじゃなく、どんぶりごと飲みたいやつですね。
わーまた食べに行かなきゃ! 今30~40代くらいの2代目・3代目はつけ麺専門店で味を知っているから、これからはもっとつけ麺を出す町中華が増えるんじゃないかと期待してます。
町中華店での普及率がさほどでもない、逆に言えばこれからの町中華を支えるかもしれない有望株がつけ麺かもしれない!
代々木上原『大勝軒』さんのつけ麺、とにかくツルッツルなのに驚きました!