【洋食】
ニューヨークの街角みたいな店内で名物のチョップドチーズサンドイッチを『The Daps Famous Hood Joint』
井の頭通りを三鷹方面に歩くこと約5分、アメリカから輸入した雑貨とアメリカのローカルなサンドイッチなどを販売する『The Daps Famous Hood Joint(ザ ダップス フェイマス フード ジョイント)』がある。名物は、店主がニューヨークのイーストハーレムにある名店、『Hajii’s(ハジーズ)』で学んだレシピで作るチョップドチーズサンドイッチで、チキンオーバーライスやフレンチフライ、スナック菓子も置いてある。
地元の人々だけでなく、インバウンド客や横田、横須賀、座間基地に所属するアメリカ兵たちもわざわざこの店にやってくるという。そんな名店直伝のチョップドチーズサンドイッチ1150円は、鉄板の上で薄切りのビーフを焼きながらチョップして粗めに刻み、特別に配合したスパイスや調味料で味付けする。フレッシュなレタスとトマト、チョップしたビーフが見えなくなるほどチーズがたっぷりかかった具材を軽くトーストした特製のパンではさむ。
中腹の階段に座りガブリと豪快にかぶりつくと、ジューシーなビーフの旨味とチーズのコク、シャキシャキのレタスやトマトが相まって、むむむ、これはクセになる味だ! 店内のシチュエーションも手伝って、ニューヨークに行った気分になれる。
『The Daps Famous Hood Joint』店舗詳細
素材を最大限に生かした“イタリアのマンマの味”を『La Creatura(ラ・クレアトゥーラ)』
吉祥寺駅北口のサンロード商店街でも『シュープラザ吉祥寺本店』は大きくて目立つ店舗だ。そのビルの3階にあるのが、2002年創業のトラットリア『La Creatura』。イタリアの郷土料理や伝統料理がリーズナブルにいただけるレストランとしてスタートし、とくにランチタイムはマンマが作ったような親しみやすいメニューが味わえる。
料理はパンやドレッシング、ソースからなるべく手作りにこだわっている。それは、スープひとつにしても素材の味わいがダイレクトに感じられるから、そしてそもそもイタリア料理には素材を生かした料理が多いからだ。また、ワインはイタリア産のみを取り扱い、イタリア全土からさまざまなテイストのものを取り揃えているのもこの店の特徴だ。
ローマ風ピッツァは生地が薄く、直径30cmほどの大きさが特徴だ。耳の部分はパリッと軽い食感で香ばしく、中の生地はモッチモチ。噛み締めるとフルーティなトマトとピッツァソース、チーズがあふれてしまうほどジューシーだ。フルーツのようなチェリートマトは甘酸っぱく、トマトベースのピッツァソースは旨味が凝縮。さらにチーズのコクやバジルの香りが食欲を誘う。ディナーは人気のメインディッシュ、牛ホホ肉ワイン煮込みや鮮魚の香草パン粉焼きと野菜のグリル〜や、自家製の手打ちパスタとともに、多彩なワインも楽しめる。
『La Creatura』店舗詳細
とろける角煮のハンバーガーをワイルドにかぶりつけ! 『バーガー喫茶 ちるとこ』
吉祥寺駅北口を出て、中道通りを進むと見えてくる『バーガー喫茶 ちるとこ』。半地下にある店舗は少しミステリアスだが、扉を開けば温かみのある照明とウッド調のインテリアが広がり、BGMにはジャズやクラシックが流れていて、レトロな喫茶店のように落ち着ける空間だ。昼はハンバーガー&喫茶メニュー、夜は『半地下酒場 きちりん』として営業しているところも面白い。
ハンバーガーのメニューを開くと、クラシックハンバーガー1350円や、ベーコンチーズバーガー1700円などオーセンティックなものと、和風のエッセンスを加えた角煮バーガー1650円やわさびアボカドバーガー1650円など、オリジナリティあふれるハンバーガーがそろう。サイドメニューのコーナーには、レトロ喫茶によくある喫茶プリン550円やクリィムソーダ750円などがあってそそられる。
ちなみに、オープンから15時までのランチタイムはドリンクが無料で付くからお得だ。煮込んだ一番人気の角煮バーガーは甘めの味付けで、牛100%のパティとの相性がバッチリ。ボリュームがあるけれど見た目よりあっさりとした味わいで、どんどん食べ進められる。市販とは違うスパイシーなクラフトコーラにもよく合う。
『バーガー喫茶 ちるとこ』店舗詳細
土・日・祝のみオープンの正統派洋食店『ヨシダゴハン』
今はなき吉祥寺の老舗『シャポー・ルージュ』でコックとして働いていた吉田順さんが、2014年に開店。「日本生まれの洋食は、日本食の1つです」と、ご飯に合う味を大切に作る。牛と豚の合いびき肉に、つなぎを加えてしっかり練るハンバーグは、洋食の定番デミグラスソースをたっぷりかけて。牛スジ、仔牛の骨、鶏ガラと香味野菜、ワインを入れて4、5日じっくり煮込み、濃厚ながらすっときれいな後味が自慢。皿に残ったらご飯を絡めてたいらげたいほど。
『ヨシダゴハン』店舗詳細
[洋食の日]土・日・祝11:30~14:30・17:30~21:00(月・木・金が祝の場合は[洋食の日]となりオムライスの提供はなし)/定休日:火・水/アクセス:JR中央線・京王電鉄井の頭線吉祥寺駅から徒歩7分
【中華・アジア】
閑静な住宅地で老舗中華料理店の味を引き継ぐ『龍華』
吉祥寺駅北口から徒歩くこと12分。民家が立ち並ぶ閑静な住宅地に中華料理店『龍華』がある。店主の哲さんは、丸の内にあった大正11年(1922)創業の老舗中華料理店「山水楼」で約20年腕を振るい、1988年に独立。杉並区善福寺の青梅街道沿いに『龍華』を構えたが、1992年には移店し現在の吉祥寺北町にオープンし現在に至る。
「山水楼」でやってきた昔ながらの手法で調理し、ラー油やメンマなど可能な限り手作りするのがこだわり。メニューは昼・夜共通で、ご飯もの麺もの、定食などのほか、エビのチリソース煮や肉野菜炒めなどといった一品メニューもあるが、一番人気は五目焼きそば1100円だ。
中華麺を蒸し、キツネ色になるまで焼いたものにエビとイカ、豚肉、白菜などの野菜を入れ、醤油や塩、ラーメンスープなどで味付けた五目あんかけがたっぷりとかけられる。野菜はシャキシャキ、エビやイカもプリッとしていて、全体的にまろやかなやさしい味付けだ。外側をパリッと焼き付けた麺は香ばしく中はもっちりとして五目あんによく絡む。
『龍華』店舗詳細
/定休日:月・火(不定あり)/アクセス:JR中央線・京王電鉄井の頭線吉祥寺駅から徒歩12分
鶏と昆布のあっさりスープでいただく、つるモチッ!生米麺のフォー『チョップスティックス 吉祥寺店』
吉祥寺駅北口を出て徒歩3分。ヨドバシカメラ方面へ進み、裏通りに入るとアジアの香りが漂う『チョップスティックス』が現れる。店主の茂木さんは、イギリスで米麺に出合い、さらにベトナムでの食体験からヒントを得て、国産米を使った生米麺フォーを日本で開発した。
米粉の配合や製麺技術に試行錯誤を重ね、米の香りがあり独自のモチモチ食感を実現させた。ランチタイムには、生麺フォー、越南鶏飯(コムガー)などの炊き込みご飯、生春巻きなどを組み合わせたがセットがあり、10種の生麺フォーと2種のブンから、炊き込みご飯は3種から選べる。
なかでも定番の蒸し鶏のフォーは、国産鶏のガラと北海道産昆布でとったスープが、あっさりとしながら旨味が深く、無化調とは思えないほど。もちもちの麺とやわらかな蒸し鶏、シャキシャキの生春巻きも現地を思わせる。食後には、ほんのり甘みを感じるハス茶のサービスも。にぎやかな吉祥寺の路地裏で、ちょっとしたアジア旅行気分を味わえる。
『チョップスティックス 吉祥寺店』店舗詳細
【定食】
山盛りにびっくり!クリスピー&ジューシーな唐揚げ定食『BOB KITCHEN』
井の頭公園駅から徒歩2分のところにある『BOB KITCHEN』がオープンしたのは2022年の4月。オーナーの「感度が高い人が多い吉祥寺で、“音楽と飲食”という新しいものを作りたかった」という思いから開店に至った。まずは食事が充実していることをアピールするため「食」に焦点を当てているが、いずれは店内で定期的にさまざまなミュージシャンのライブを行う予定だ。
メニューは基本的に定食で、四万十ポークのトンカツや大きな唐揚げ定食! そのほかにも焼き魚などの定食とハンバーグ、カレーなどがあり、それぞれに手作りのお総菜が4つ付くのもうれしい。
一番人気の、BOB定番の鶏の唐揚げ定食(3個)1230円は、大分の中津風唐揚げを参考にしたオリジナルの味付けだ。塩コショウやごま油で下味をつけ、一晩寝かせた後に醤油やニンニク、ショウガを加えてさらに寝かせるという手の込みよう。2度揚げすることでパリッとしながらも中はジューシー。全4種からひとつ選べるオリジナルのつけだれを付け味変しながら食べられるので、ご飯がすすむ!
『BOB KITCHEN』店舗詳細
おばあちゃんの手料理をお手本にした定食を『四歩(しっぽ)』
吉祥寺駅から歩いて15分ほどの住宅地にある『四歩』は、どこかに懐かしさを感じる雑貨やアンティーク家具を集めた店だ。カフェスペースで食べられる本日のごはんセットは、週替わりでメニューが変わり、メインが2種類から選べる。どのおかずもおばあちゃんの料理がお手本になっていて、この日は「鶏団子と車麩とかぶの煮物」を注文。
「鶏団子と車麩の煮物」は、ほろりとくずれる鶏団子と出汁をたっぷり吸った車麩がやさしい味わい。うんうんとうなずきながら、顔がほころぶ。小鉢も食感や味付けがかぶらないよう考えられており、いろんな料理を少しずつ、あれも、これもと楽しんでいるうちに満腹になる。「旬の食材も使いつつ、野菜たっぷり。たくさん食べてほしくて、この形になりました」と店主の宮崎さん。晩ご飯を食べに通う近隣住民がいるというのも納得の満足感だ。
『四歩』店舗詳細
元寿司職人が提供するフルコースのような定食『階段ノ上ノ食堂』
吉祥寺駅から歩いて1分、公園口からある通りのビルの2階にある。店主の浜名晃さんは元々高級寿司店の職人の経歴をもつ生粋の料理人。祖父の代から吉祥寺で寿司店を営んでおり、継ぐつもりでいたが、全国で食べ歩くうちに、旬の食材を使用した食堂を作りたいと一念発起。『階段ノ上ノ食堂』をオープンさせた。
メニューは日替わりの定食が4種類。浜名さんは鉄板料理店で働いた経歴もあるため、肉料理の腕前も確かだ。そのほか、海鮮丼定食や毎年冬のお楽しみカキフライ定食もおすすめ。定食に必ずついてくる副菜は、少しずつ色んな旬の料理が盛り合わせてある。副菜やサラダを堪能したあとにドン!とメインがやってきて、定食でありながらもコース料理のような喜びがある。土・日の定食には、お刺し身とデザートも付く。
『階段ノ上ノ食堂』店舗詳細
自然食にこだわった定食で本当のおいしさを『もんくすふーず』
吉祥寺駅から徒歩5分ほど。吉祥寺通りの『いせや』を通り過ぎたあたりに『もんくすふーず』がある。自然食にこだわる定食店で、創業以来、添加物や保存料は不使用、米や野菜は無農薬、有機栽培のものを使用。店主の小林さんは、地元の旬の食材や伝統料理が、そこに暮らす人にとって体にいいという考えかたで、なるべく地元の野菜を使うように心がけているという。
定食は日替わりで、野菜が中心のおかず、魚、鶏肉の3種類から選べる。この日の野菜定食のメインは、里芋と野菜五目赤味噌煮。体にいい料理は、心にもしみる。食べ終わったら、きちんと「ごちそうさま」が言いたくなった。
『もんくすふーず』店舗詳細
質のよいおろしたての魚を手軽に『里の宿』
真っ赤に輝く金目鯛、色とりどりの小鉢にご飯。本日の煮魚定食を注文したら、栄養たっぷりの食卓になった。「煮魚のタレは開店から30年以上、注ぎ足しながら使っているんです」と店の方。おお、甘辛で深みのある味わいは店の歴史そのものだったのか。
女性常連客が多いのも納得のしゃれた店内だが、素材の良さは極めつき。井ノ頭通り沿いに南に6分の鮮魚店『魚初』の直営店で、豊洲市場での仕入れや下ごしらえは『魚初』担当だ。さらに、漬物も自家製、ご飯はコシヒカリと美味ぞろい。『魚初』自体、手作り総菜やご飯も揃うが、さらに「姉妹店の居酒屋『せんぎょ屋』もあります」と店主の鈴木さん。定食に総菜に酒の肴までこんなにいい魚を食べるのが日常とは羨ましいぞ、吉祥寺民。
『里の宿』店舗詳細
店内なのにお弁当!仮面の下の実力派『カヤシマ』
喫茶店とも食堂とも居酒屋ともつかぬ何とも不思議な営業形態に、お店の中なのにしょうが焼き弁当とはこれ如何に。「最初は喫茶店だけだったんだけど、食事もお酒もやり始めたらちゃんとやりたくなちゃってね」と店長の佐藤孝一さん。弁当スタイルも出前をやっていた頃の名残だそうだが、片付けるのにも便利だし、とそのままに。しょうが焼きはタレの鍋で肉をしゃぶしゃぶする独自の調理法。普通のものと一味違う、濃厚な味わいだ。
『カヤシマ』店舗詳細
あっぱれ! 元気な笑顔と庶民派価格『まるけん食堂』
近くに住んでいる人・働いている人がうらやましくなるような店の代表格が、この『まるけん食堂』。この店だけ昭和にタイムスリップしたかのようなレトロ感と、ホッとする雰囲気、そして価格設定。近くにあったら毎日通うこと請け合いだ。日替わりには、ボリュームある肉か魚のほか、切り干し大根やひじき煮など優しいおふくろの味も登場。生アゲ生姜焼きといった一品も多く、好物を自在に組み合わせ、マイ定食を仕立てる“まるけん上級者”も多い。
『まるけん食堂』店舗詳細
【和食】
養殖所経営の川魚専門店で味わう希少な富士の介丼『小川の魚 吉祥寺店』
吉祥寺駅公園口から末広通り商店街に入り、細い路地に入ると『小川の魚 吉祥寺店』にたどり着いた。店主・小川勇一さんは、「1975年ごろから川魚養殖をはじめた祖父の事業を引き継ぎながら、趣味の食べ歩きが高じて飲食店も始めてしまったんです」とほがらかに話す。
提供するのは自身が飼育する川魚料理。ウナギのほかニジマスやヤマメ、イワナなどを、山梨と八王子にある養殖所から生きたまま店に運んで調理するから新鮮でおいしい。
なかでも珍しいのは山梨県のブランド魚「富士の介」だ。日本発のキングサーモンとニジマスを掛け合わせた品種で、脂のりが良く味がプリプリとしている。近年、富士の介の需要が高まり、すっかり高級魚となった。しかし養殖場直営のため、酢飯の上に富士の介の刺し身とマスの卵を盛り付けた富士の介丼が、ランチでは1400円でいただける。丼のほかに味噌汁、3種の漬物、卵焼き、冷奴、茶碗蒸しがついてきて、ボリューム満点。大満足のメニューだ。夜はさらに提供メニューも増え、刺し身や炭火焼きなどをお酒と一緒に楽しめる。
『小川の魚 吉祥寺店』店舗詳細
ミニ天ざるそばセットで満腹満足の絶品ランチ!『うな天』
吉祥寺駅北口から徒歩3分の『うな天』は、割烹出身の大将が手がけるうなぎと天ぷらの店だ。落ち着いた和風の店内には、ボックス席とカウンター席があり、一人でもふらりと入りやすい。
ランチはうなぎをはじめ天ぷらやそばのメニューが揃っていて、おなかの具合にあわせてさまざまなメニューを選べる。なかでも人気のランチはミニ天ざるそばセット1100円。茹でたてのそばは喉ごし良く、自家製のそばつゆとも相性抜群だ。天ぷらの揚げ油は太白胡麻油を使用していて、軽やかな仕上がりになっている。天丼にはナス、エビ、イカなどの天ぷらがのり、塩や自家製タレで自由に味わえるのも楽しい。そばと天丼のほかにサラダや味噌汁も付いているところもお得感がある。
夜は国産うなぎの蒲焼や刺し身、定食を酒と楽しむ常連客も多く、取材時には大将が特別に提供したあなごの薄造りも絶品だった。気軽に本格和食を楽しめる一軒だ。
『うな天』店舗詳細
【夜定食ならこちらも!】
テンション上がる総菜盛り合わせ『きっちん大浪』
吉祥寺駅から歩いて6分の井の頭通り沿いにある『きっちん大浪』は、野菜たっぷりの副菜がついた焼き魚定食が自慢。この店の前身である飛騨高山料理を提供する店にお客として通い、店を手伝っていた清水さんが大将から引き継ぐ形ではじめ、一人で切り盛りする。
鯖の西京焼き定食は、西京漬けにした鯖と総菜の盛り合わせにご飯とお味噌汁がついており、食べごたえ抜群だ。副菜となるお総菜の盛り合わせは日替わりで、7〜9品もついてくるのがうれしい。「1人で全部作っていて電子レンジもないので、魚を焼くあいだ待ってもらうのにお総菜の盛り合わせをつけています。酒のおつまみとしても重宝されているんですよ」と清水さん。
焼き魚は必ず焼きたて。ジリジリとたっぷりの脂がにじんで、身もふっくらジューシー! さらに、ご飯はなるべく精米したて、味噌汁には前の店の大将に教わった飛騨の味噌を使用し、定食に使う野菜はなるべく地のものを仕入れるという。きちんと“おいしい”に向き合う姿勢から生まれた定食は、胃袋の迷子に効く味だ。
『きっちん大浪』店舗詳細
取材・文=福井 晶、眞鍋じゅんこ、松井一恵(team まめ)、半澤則吉、かつとんたろう、パンチ広沢 撮影=福井 晶、鴇田康則、加藤熊三、小野広幸、オカダタカオ、加藤昌人、パンチ広沢




