魚菜とお酒 まめたろう
海香るひと皿に陶酔、旬の極みを日常に
さっきまで生きていたカワハギ。そのキモのなまめかしい色が、荻窪で出合える最高の鮮度を伝えている。「スルメイカのえんぺらも、まだ動いています」と店主の伊藤さん。小田原から届く朝捕れの天然魚を求めて、𠮷祥寺の魚屋へ出向くのが日課だ。おひとり様も何品か満喫できる前菜の盛り合わせ、一杯五勺の日本酒に、にまっ。まめに通って日本の旬を心ゆくまで味わいたい。厨房は伊藤さんの独り舞台ゆえ、時間に余裕を持ってどうぞ。
『魚菜とお酒 まめたろう』店舗詳細
bar Pigrone
魅惑のカウンターは地元民立ち寄り処
通りに面した出窓から見える、カウンターに並ぶ笑顔が楽しそう!その笑顔の中心にオーナーシェフ・島川尚(たかし)さんがいる。生まれも育ちも荻窪で、「もともと飲むのが好きで」と、デザイナーから料理人に転身した。タイのアラで取る出汁に白身魚のラビオリと山ウドを合わせる閃(ひらめ)きに、和食の経験が光る。素材の魅力が素直に伝わる穏やかな味は、5時間煮込むふんわりトリッパもしかり。ワインが中心だが、常連客に応えて黒霧島も置く。
『bar Pigrone』店舗詳細
和食 ゆず
好きな主菜を選ぶ定食、悩み過ぎて困ります
今食べたい主菜を、自在に組み合わせて注文する定食屋。トンカツや唐揚げ、アジフライといった墨字が壁の品書きに躍って、誰か選んで〜と願いたくなる。しかし、「何を食べるかは、お客さんの自由」と店主の佐藤秀雄さんはうれしそうに言い放つ。1978年の開店当初、定食は昼だけで、夜はちょいと高級な割烹だった。ある時、「夜も定食がいい」と希望されて今のスタイルに。が、板前魂は現役で、なじみの魚屋がある豊洲に通う。
『和食 ゆず』店舗詳細
フィリピンレストラン ATE
酸味>辛味のエスニック、未体験料理に開眼!
ルソン島カビテ市出身の竹内真弓さんが、故郷の家庭料理でもてなしてくれる。「フィリピン料理を初めて食べる人に、まずこれを」とすすめるのはシニガンスープ。酸味あるタマリンドの果実を使う、ちょい辛でさわやかな風味の一品だ。本場では、雨季に体を温めるために食べるそう。ヘルシーさが特徴かと思いきや、鉄板で登場するシシグは、マヨネーズを多用したB級グルメ。2、3人で訪ねてバラエティーに富むメニューを制覇したい。
『フィリピンレストラン ATE』店舗詳細
モロッコ料理 tamtamu
スパイスが奏でる魅惑の味は華やか&滋味深い!
「クミン、コリアンダーなどスパイス遣いが基本です」と、オーナーの太田さん。モロッコ滞在で食べて覚えた家庭料理を再現している。トマトペーストをよく使うのも特徴で、ラム肉のハンバーグは、トマトとマーマレードの酸っぱ甘いソースとラムからあふれる肉汁がとろけ合う。タジン鍋料理のほか、生卵をマッシュポテトで覆い、小麦粉の皮で包んで揚げる変化球も。モロッコワインと合わせると旅心地に。
『モロッコ料理 tamtamu』店舗詳細
カンラン 広島流お好み焼き
安いデカイ旨い熱い広島魂をシェア!
主役のキャベツは、「甘さが最高」と店主・北崎政男さんが惚れ込む愛知県産。「その中でも一番いいものを」。そう念じて注文する。届いたら、時季で変わる水分量や固さを見極め、厚さ3.1cmある鉄板の温度を微調整。集中する政男さんに代わり、「お好み焼きのビチビチって音を聞き分けるんです」と妻のみどりさんが教えてくれた。華麗なコテさばきを眺めつつ、広島産レモンを使う一品料理やサワーを満喫。
『カンラン 広島流お好み焼き』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=松井一恵(team まめ) 撮影=木村心保