好みのツボをグイグイ押してくれる店のご近所っていいなあ。明日も明後日も、ここで食べたい。通うために店の近くに引っ越す、そんな人生があっていいかも。荻窪界隈には住みたくなるグルメがたくさん。和食・洋食・エスニック、今日は何を食べようか。駅近、徒歩5分、ちょい遠くも出揃いました。帰り道は部屋探し……。
駅前にはノスタルジックな雰囲気が漂う商店街があり、はたまた駅から少し離れると閑静な住宅街が広がるという異なる顔を持つ西荻窪。お店のジャンルも街の雰囲気同様幅広く、個性あふれる店が軒を連ねている。とはいえ、カレー、イタリアン、フレンチ、ラーメンなどバラエティ豊かな店が多くあるからこそ、どの店を選べばいいのかというのは悩みもの。今回はそんな時に覚えておきたい、西荻の空気を存分に堪能できて、もちろん味も申し分ないという珠玉の店をセレクトした。

motenasi

名物土鍋ごはんで締めるかそれとも持ち帰るか

季節の土鍋ごはん1880円。写真はホタルイカ。

店主の平川裕(ゆたか)さんは、旬魚や故郷の長崎料理を用意。季節満載で迷うが、ごはんセットのお供に、盛り合わせるのもいい。酒の肴にするなら、チョコ?と見紛う鶏レバーを。柑橘ジュレが軽やかさを醸し、後から鶏の風味がふんわりふくらむ。そして、外せないのが2合炊きの土鍋ごはん。「うちのことを忘れないでね」との思いを込め、食べきれない分をおにぎりに。「味がなじんだ翌朝が食べごろです」。

おにぎり目当て多し。
鶏レバーの柑橘ジュレがけ480円、秋の吹き寄せサラダ980円、山形の地酒「山川光男」グラス550円。

『motenasi』店舗詳細

住所:東京都杉並区荻窪5-11-15 1F/営業時間:17:30~23:00LO/定休日:不定休/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩3分

呉さんの台湾料理

主菜+副菜で一杯の後、中華粥が胃の腑に染みる

日替わりランチセット1000円。台湾紹興酒グラス550円~。写真は回鍋肉、トマトと卵の炒め物、杏仁豆腐、しらすとセロリの粥。

親鶏と豚の背骨、野菜でとった出汁を使い、手際よく鍋を振るのはオーナーシェフの呉瑞榮さん。台北で料理を学び、新宿御苑で店を営んだが、体を壊して閉店。「こぢんまりとやりたくて」と、荻窪の路地で再開した。夜もいいが、昼の日替わりセットはヘルシー&お得。主菜で紹興酒をやり、締めに中華粥を口に運べば、野菜の食感がいいアクセント。滋味を痛感する。週末は、昼も単品注文可能だ。

呉さん。
2013年より営む。

『呉さんの台湾料理』店舗詳細

住所:東京都杉並区天沼3-1-5/営業時間:11:00~14:00LO・17:30~22:30LO(日・祝は~21:30LO)/定休日:火・水/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩3分

osteria quanto basta

北イタリアの珍しき郷土料理に心躍る夜

ラディッキオとサルシッチャのリゾット1300円、バッカラマンテカート800円、グラスワイン480円~。

「修業先のシェフが北イタリア出身で」と、店主の加藤惠一さん。その縁で現地に行き、トウモロコシ粉の粥・ポレンタが大好きに。それをいったん冷やして焼き、干し鱈ペーストをのせたバッカラマンテカートが、ワイン担当で妻の暢美さんセレクトのワインにピタリ。イタリアンチコリで赤紫のラディッキオと、サルシッチャをほぐし入れたリゾットなど、郷土料理の応酬は、一人ならハーフで堪能を。

北海道産チーズ盛り合わせ1200円。
加藤さん夫妻。

『osteria quanto basta』店舗詳細

住所:東京都杉並区天沼3-14-9 アイドマビル1F/営業時間:18:00~翌2:30LO(日は~23:30LO)/定休日:水・第2火/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩12分

CURRY BAR シューベル

つまみで飲んだ後は奇想天外カリーで

初来店限定セット1600円は飲み物とつまみ付き。鰹のたたキーマは+200円で。小皿はしびれるおつまみ宇宙280円。レモンサワーと。

そば屋のようにつまみと酒で緩みながら、カリーを待つ。これが、店主・シューベルさんが望む利用法だ。「ひねくれものなんで、誰も思いつかないカリーを」と、創作する。代表作は、鰹のたたキーマだ。スパイスでマリネしたカツオをソテーし、大山鶏を使うベースと合わせてキーマに仕立て、仕上げにタタキと薬味をのせる。これだけでも驚くが、レモンで味変、さらに出汁を注ぐ食べ方に、仰天。

味変!
店主は元バンドマン。

『CURRY BAR シューベル』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南1-23-11/営業時間:12:00~15:30LO(土・日・祝のみ)・18:00~24:00LO(日・祝は~21:00LO、土/祝前日は~24:00LO)/定休日:月/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩4分

葉地 Hachi

玄米ごはんも選べる健やかなる食事を

天然魚お刺身盛合わせ2000円前後~。この日は〆サバや花ダイ胡麻酢他。小鉢、玄米か白米、味噌汁。日本酒「天遊琳」100㎖ 610円。

藁入り珪藻土など天然素材をつかった店内で、青木規雄・奈緒さんが温かく迎えてくれる。吉祥寺で約8年間、立ち飲み酒場を営んでいたが、新天地のここでは一人でも家族でも通えるよう、食事に重きを置いた。「今日も元気なのは、食のおかげさま」と、食材への思いは深く、小田原の地魚を筆頭に、天然魚の旬を大事にしている。日々動く献立に、奈緒さんの故郷・三重県で醸される日本酒を添えて。

青木さん夫妻。
ほっとする風情。

『葉地 Hachi』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北4-34-12/営業時間:12:00~14:00LO・18:00~22:00LO/定休日:木の昼・火・水/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩10分

ごはんちゃさる〜ん COZY

今日のごはん何かな?想像するのも楽しい

サラダや小鉢も充実の日替わり定食、鳥胸肉レモン炒め1000円。ビール小瓶400円。

「お隣の花屋さんがとっても素敵で、ここに」と、店主の山下えみ子さんが生き生きと話す。カフェや甘味処で経験を積みながら、独立の夢を膨らませてきた。イメージしたのは、ごはんを食べてお茶を飲み情報交換できるサロンのような空間。「今、徐々にそうなってきてるんです」。季節の変化を感じながら献を立て、食材は、自転車で通勤途中に八百屋や肉屋など地元の個人商店を巡って、調達する。

サラダや小鉢も充実の日替わり定食、鳥胸肉レモン炒め1000円。ビール小瓶400円。
小さな家のよう。

『ごはんちゃさる~ん COZY』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南3-4-6 /営業時間:12:00~14:30LO・18:00~20:30LO/定休日:日・月の昼・水の夜/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩4分

コノコネコノコ

終電着でも、ちゃんとごはんにありつける

おまかせ前菜3品盛り1200円。羊肉の麻婆豆腐900円、花巻300円。凍らせライムのジンリッキー 850円はライムを残してお代わり可。

いずれ夫婦二人で飲食店をと、夫の駿太郎さんはフレンチや中華、妻の美生さんは家庭料理の店やバーで10年ほど経験。さらに旅先で覚えた料理もメニューにちりばめて、日付が変わってたどり着いても空腹にやさしい店を築いた。「何料理って決めず、おしゃれ過ぎず、どこか家庭的」を目指してセルフビルドした空間は、包容力たっぷり、時間の流れまったりで、食べ飲みしているとお尻に根が生える。

野田さん夫妻。
ネコはいません。

『コノコネコノコ』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北3-32-10豊和ビル1F /営業時間:18:00~翌2:00ごろ/定休日:不定休/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩5分

CICLO

シンプルな伊料理は、明日への活力!

お一人様限定前菜盛り合せ1200 円。セージが香るパスタ1300円、自然派ワイン1000円前後~。

ガラス越しに見えるスタッフとお客の表情が、羨ましいほど楽しげだ。「働く大人に明日がんばってほしくて、メシ作ってます」と、岡部卓シェフをはじめ、スタッフ皆さんの意気込みが頼もしい。パスタとワイン1杯でも歓迎で、疲れた夜なら、薬効あるセージをどっさり使うピエモンテ州の家庭料理を。爽やかな風味が脳天まで駆け抜け、瞬時に元気復活だ。ワインは、毎年イタリアの生産者を訪ね、畑や暮らしを見聞きして選ぶ。

スタッフの皆さん。
岡部シェフ。
この場所にあったそば屋の名残。

『CICLO』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南2-22-6/営業時間:17:00~24:00LO(土・日は14:00~)/定休日:水/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩2分

構成=フラップネクスト 取材・文=松井一恵、佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=原幹和、オカダタカオ
『散歩の達人』2019年11月号より