焼き菓子 komugi
オーガニックな材料で手作り
生地が焼ける匂いに全身を包まれ、恍惚(こうこつ)! 2016年、菓子屋横丁の東の入り口にオープンしたこの店は、老舗が立ち並ぶ一角で比較的新しい仲間。「身内や友達のために作っていたところ、都内のオーガニック食材店に卸すようになったのが、店を始めたきっかけ」と店主の立脇純子さん。地元の果実がふんだんに使われ、自家製ジャムのスコーンやマフィンは「冷やして食べるのもおすすめ」だ。
『焼き菓子 komugi』店舗詳細
菓匠右門 川越けんぴ工房直売店
揚げたての味わいにほくほく
やっぱり川越でサツマイモは外せない。銘菓「いも恋」で知られる『菓匠右門』が新たに手掛ける芋けんぴ専門店は、店の奥のフライヤーで仕上げを行い、揚げたてを食べさせてくれると話題だ。使用するサツマイモは芋焼酎の原料にもなる「黄金千貫」で、熱を通すとふわっと香ばしくなる。表面を覆い、つやっと輝く蜜はサツマイモエキスたっぷりの芋蜜。バリボリした歯応えに食欲があおられてぺろり。
『菓匠右門 川越けんぴ工房直売店』店舗詳細
玉力製菓
職人魂と伝統的な製法を大事に守る
ニッキやかりんの昔懐かしい玉飴や、花模様が目を楽しませてくれる組飴など、代々家族で飴を手作りし、かれこれ約100年。作業風景をのぞくと、淀みのない流れるような動き、鉄壁のチームワークに思わず「おおー」と感嘆の声が漏れる。現在は4代目を中心に全工程が手作業で行われ、決まったレシピはなくその日の気温や湿度を踏まえた「職人の勘」が命。小さな一粒から熱い思いがあふれる。
『玉力製菓』店舗詳細
松陸製菓
江戸時代から続く、界隈きっての古株
寛政8年(1796)創業、何を隠そう菓子屋横丁を興した鈴木藤左衛門の直系店だ。江戸時代から引き継がれる鍋など古い道具も現役として使われ、「明治期の帳簿が残っていて、少なくともその頃からきなこ玉は作られていたようです」と8代目の鈴木正利さん。全長約95cmのふ菓子は正利さんが生んだ川越名物で、黒糖による確かな味は見た目のインパクトに匹敵。どちらも押さえておきたい。
『松陸製菓』店舗詳細
取材・文=信藤舞子 撮影=金井塚太郎
『散歩の達人』2020年10月号より