『sobasay(ソバセイ)』食べ進めるたび風味増す機械打ち十割そばは完飲必至[小伝馬町]
「十割そばを、もっとカジュアルに味わってもらいたいなと思って」と、店主の梅澤豪さん。旬の産地のソバ粉を用いた“手打ちに劣らぬ機械打ち”の十割そばが自慢だ。さらに、四季折々で変わり種もあり、この日はカルダモンを練り込んだそばが。ひと口つゆを飲むと控えめな薄味だが、そばをすすると本領発揮。噛めば甘みがじんわり広がり、追ってソバ粉の芳香が花開く。出汁のかつお節の香りと融合し、味の厚みは増すばかりだ。カルダモンとパクチーの爽快感に後押しされ、気づけば器にはつゆ一滴残らない。完食完飲なり!
『sobasay』店舗詳細
『特撰ひやむぎ きわだち』このツヤをとくと見よ! 衝撃の生ひやむぎ体験[錦糸町]
店主の永井康太さんは、元そば職人。修業先で口にした生ひやむぎに心奪われ、2021年に日本初の専門店を開業した。「風味の決め手は、石臼挽きの全粒粉です」と、香川県産の全粒粉と群馬県産の小麦粉を独自配合。人気は、細麺と平打ち麺の合盛りだ。細麺をいただけば、プリプリの食感と喉越しが衝撃! 一方、平打ち麺は全粒粉のザラリとした食感が舌に触れ、噛めば小麦の甘みと香ばしさが口の中を埋め尽くす。どちらも魚介香るあっさり風味のつゆと相性ばっちり。同じひやむぎなのに異なる味わい。いやはや、面白い!
『特撰ひやむぎ きわだち』店舗詳細
『阿波や壱兆(いっちょう) 本店』夏の大定番・そうめんを自由自在にアレンジ[西荻窪]
店主・田中嘉織さんの出身地である徳島県の名産・半田そうめんの専門店。「麺が太いので温かくてもコシが持続するし、カレーのような濃い味も合うんです」。そう話す田中さんのアイデアが光るのが、日々期間限定で提供される気まぐれそうめん。鶏むね豆乳出汁そうめんも元々その1つで、人気が高まり温・冷2種の通年メニューに。田中さんの母の味を再現したという濃縮出汁が決め手で、クリーミーなのに飲み口は軽やか。冷やしだとさっぱり感が増し、ラー油のピリ辛も後押し。飲み干さずにはいられないおいしさだ。
『阿波や壱兆 本店』店舗詳細
『京都冷麺 アジョシ 虎ノ門』手打ち&ゆでたてが生み出す、プリッとはじける麺が衝撃![虎ノ門・虎ノ門ヒルズ]
透き通るような麺の色は、ソバ粉の中でも上質な御膳粉(ごぜんこ)を使っているから。麺のタネは店内で粉をこね、打ち立てを韓国製の油圧式製麺機でところてんのように麺を押し出して一気にゆで、冷水で締めて仕上げる。この工程の手際やタネの水分量の見極めで、麺の硬さが変わってしまうという。京都冷麺 極は、具がスダチだけとシンプルだからこそ、みぞれ状に凍らせた黄金スープの旨味が際立つ。ひと口すすれば出汁を取った和牛の肉のやさしい甘みとほんのわずかな塩味、スダチの爽やかさが溶け合う繊細なバランスに脱帽!
『京都冷麺 アジョシ 虎ノ門』店舗詳細
『焼肉 冷麺 ユッチャン。 六本木』ハワイからやって来たクセになるシャリシャリスープ[六本木]
ハワイで人気の『ユッチャン コリアンレストラン』の葛冷麺が日本上陸。6時間以上煮込んだ牛骨スープがシャーベットになっていて、ひんやり感だけでなく、旨味もしっかり。クズ粉とソバ粉を合わせた黒い麺は表面がツルっとして噛むともちもちで、スープのインパクトに負けてない。トッピングのダイコンとキュウリをかじると、酢漬けの甘みと酸味が滋味深いスープのアクセントに。単品でも頼めるが、ランチは焼き肉付きセットがお得。LAカルビをはじめ、甘辛い肉を食べた後は、さらに冷麺のおいしさが際立つのだ。
『焼肉 冷麺 ユッチャン。 六本木』店舗詳細
『ウミノイロ』これでもかと凝縮されしホンビノス貝のエキスが爆発のラーメン[勝どき]
マグロ卸業者が営む海の家『フィッシャリーズテラス』内で2024年5月に営業再開。「マグロ丼がウリですが、冬に何か温かいものをと始まったのがラーメンだったんです」と、店主の岩井哲人さん。しかし夏となれば、ホンビノス貝出汁100%の冷やしをぜひ試したい。今年(2024年)は、人気ラーメン店『ソラノイロ』が監修したコシある全粒粉入り中太麺を使用。スープとよく絡めてツルリといけば、口の中で貝のうまみが爆発。ほんのりアサリ香るカエシの塩味が後引く味わいで、箸が止まらなくなるやつ。うーん、なんだか活力が沸いてきた!
『ウミノイロ』店舗詳細
『キッチンきらく』江戸×秋田の伝統が融合した癒やしの味噌ラーメン[神保町]
厨房に立つ『麺や七彩』のオーナー・阪田博昭さんは、干すことで食感や旨味が増す技術に着目し、稲庭うどんの職人と共に「稲庭中華そば」を開発。夏は10種類以上の冷がけが登場するが、特に味噌は注目の一杯だ。「そもそも、味噌は体を温めてくれるもの。冷房で体を冷やしがちなこの時期にピッタリなんです」と、店主の月舘志乃ぶさん。江戸甘味噌にニンニク、ショウガ、ゴマを合わせた特製スープはとろみが強く、しなやかな麺がコク深い甘みと塩味が調和し、優しく体に溶け込んでいく。疲れた体が、息を吹き返していくようだ。
『キッチンきらく』店舗詳細
『冷やし中華専門店 HiyaChu(ヒヤチュウ)』豊かな発想力と食への興味で冷やし中華の新ステージへ[西荻窪]
「決まりは中華麺を使うことと、冷たい状態の2つであとは自由!」とは、店主の三浦直子さん。定番のブラックビネガーは、ただのお酢とは違う穏やかな酸味のまろやかな味。かと思うと八角の華やかな香りが食欲を刺激し、ツナチャツネの味変も楽しい。同じく定番のうにクリームも、中華麺に合わせた醤油と酒粕の芳醇な風味のハーモニーが見事。居酒屋やフレンチなどに食べに行っても冷やし中華へのアレンジばかり考えているという三浦さんは、期間限定メニュー作りにも邁進中。2024年8月は宮古島食材のコラボメニューが登場。
『冷やし中華専門店 HiyaChu』
取材・文=どてらい堂(Sobasay、特撰ひやむぎ きわだち、ウミノイロ、キッチンきらく)、井島加恵(阿波や壱兆、京都冷麺 アジョシ 虎ノ門、焼肉 冷麺 ユッチャン。 六本木、冷やし中華専門店 HiyaChu) 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年8月号より