ローカルに開墾! 日々を潤す書店と喫茶『本屋イトマイ』[ときわ台]

おこもり感たっぷりの喫茶側は、独り静かに本を読むにふさわしい。私語厳禁。
おこもり感たっぷりの喫茶側は、独り静かに本を読むにふさわしい。私語厳禁。

話題の新刊からZINEやリトルプレスまで、生き生きとした本棚に心躍らされる書店側。わざわざ訪ねて味わいたいスイーツメニューがあり、迷う時間も愛しい喫茶側。店主・鈴木さんの思いとセンスが詰まった両側が同等に、個性を放って息づいている。「今までにない街の本屋さんに」。そんな構想が着実に形となり、本は必ずここで買う、という人も。「新刊をもっともっと充実させたいです」。

選書に書架作り。コーヒーを入れ、ケーキを焼く。何役もこなす鈴木さん。
選書に書架作り。コーヒーを入れ、ケーキを焼く。何役もこなす鈴木さん。
バスク風チーズケーキ580円、ブレンドコーヒー550円~。
バスク風チーズケーキ580円、ブレンドコーヒー550円~。

店主おすすめ本

『Water』(左右社) 坂口恭平 絵・著

毎日書き、そして描き続ける坂口さんに心惹かれた一冊。

『本屋イトマイ』店舗詳細

住所:東京都板橋区常盤台1-2-5/営業時間:営業日時は公式TwitterとInstagram参照/アクセス:東武鉄道東上線ときわ台駅から徒歩すぐ

ご近所のニーズににこやかに素早く対応『書林 朝日書店』[志村坂上]

病院が近く、入院の供にパズル本や脳トレ本が人気。まとめ買いをする人も。
病院が近く、入院の供にパズル本や脳トレ本が人気。まとめ買いをする人も。

12坪の店内は、壁一面に並ぶコミック本を筆頭に、ビシッと整頓された本棚が圧巻だ。創業は1950年。「義母が都電で神保町に通い、トタンに本を並べたのが最初」と、関西から嫁いだ豊中紀子さんが昔風景を語る。夫亡き後、親しくしていた取次人の森井裕(ゆたか)さんが引き継ぎ、紀子さんも常連客もほっとした。定年退職後にオーナーとなった森井さん、「本を手渡しながらの会話が大切。街の本屋の役目です」。

駅近。店先の植え込みに季節を感じる。
駅近。店先の植え込みに季節を感じる。
森井さんと、永遠の看板娘・豊中さん。なじみ客は気軽に本をリクエスト。
森井さんと、永遠の看板娘・豊中さん。なじみ客は気軽に本をリクエスト。

店主おすすめ本

『板橋マニア』(フリックスタジオ) 監修 板橋区

地元の暮らしに役立つ情報満載、ロングセラーの一冊。

『書林 朝日書店』店舗詳細

住所:東京都板橋区小豆沢2-18-7/営業時間:9:30~20:00(日・祝は11:00~18:00)/定休日:無/アクセス:地下鉄三田線志村坂上駅から徒歩1分

古書店文化を守る! でかいミッションを抱く『水たま書店』[下板橋]

店内。「古本屋の店頭のように、100~1000円までの本を並べてます」。雑貨は水田さんのコレクションだ。
店内。「古本屋の店頭のように、100~1000円までの本を並べてます」。雑貨は水田さんのコレクションだ。

奈良県から上京して音楽家を志すも縁あって高円寺の『都丸書店』で働き、古書店の仕事を習得した水田欽(まこと)さん。ネット販売に重きを置くが、「地域の人にちょろっと寄ってもらいたいし、僕自身が誰かと話したい」と事務所兼倉庫に小さな店舗を設えた。

好みの音楽をかけ、買い取り本に埋もれ、値付けしながらゆる~く営むが、時折、延々と本談義していく人も。「お客さんの方が詳しくて勉強になります」。

店舗奥に非公開の書庫がある。
店舗奥に非公開の書庫がある。
白い提灯が目印。近所の人が不要本を置いて行くことも。
白い提灯が目印。近所の人が不要本を置いて行くことも。

店主おすすめ本

マルクス=エンゲルス全集『資本論』全5冊揃(大月書店)

扱いが多い「マル経関連本」。「もちろん僕は未読です(笑)」と店主。

『水たま書店』店舗詳細

住所:東京都板橋区大山金井町3-6/営業時間:11:00~19:00(土・日は~18:00)/定休日:不定/アクセス:東武鉄道東上線下板橋駅から徒歩7分

バンド・デシネのアートフルな世界へ!『MAISON PETIT RENARD(メゾン プティ ルナール)』[板橋]

壁面はギャラリー。原画に出合えるチャンスも多い。「バンド・デシネを知るきっかけを、ここで」と、デビエフ・ティボーさん、紫代さん。
壁面はギャラリー。原画に出合えるチャンスも多い。「バンド・デシネを知るきっかけを、ここで」と、デビエフ・ティボーさん、紫代さん。

翻訳家として、錚々たる日本のマンガを故郷・フランスに紹介し続けているデビエフ・ティボーさん。逆に、フランスの漫画=バンド・デシネの魅力を日本に伝えたいとの思いが沸々と込み上げ、ギャラリー兼ショップをオープンした。「ニッチだけど、いいものがたくさんある」と、選書・分析して紹介。アートを志す人、フランス語を学ぶ人のほか、装丁や絵に魅了されるファンも増えている。

「きつね塚通り」にひと際映えるオレンジ色テント。
「きつね塚通り」にひと際映えるオレンジ色テント。
フランス語が読めなくても感覚で伝わる。
フランス語が読めなくても感覚で伝わる。
絵本も充実。表紙を開き未知の世界へ!
絵本も充実。表紙を開き未知の世界へ!

店主おすすめ本

『ワイン知らず、マンガ知らず』(サウザンブックス社) エティエンヌ・ダヴォドー著 訳者 大西愛子

食とマンガ。2つの文化に触れて学べる作品。原書も扱う。

『MAISON PETIT RENARD』店舗詳細

住所:東京都北区滝野川6-75-5 鈴木ビル102
/営業時間:9:00~18:00(水は~13:00、土は14:00~)
/定休日:日・祝/アクセス:JR埼京線板橋駅から徒歩4分

取材・文=松井一恵 撮影=原幹和
『散歩の達人』2023年6月号より