彩り硝子工芸
江戸切子の魅力や技を丸ごと体感
自由研究のために子供がやってきたのが体験を始めたきっかけ。工房の中に入り職人と同じ機械を使って、納得いくまで削らせてくれる。ここまで本格的な体験はなかなかない。「お客さんの希望をできるだけ叶えてあげたいんです。伝統はエンターテインメント。触れて、感じて、楽しいと思うことで広がっていきますから」と話す職人の熊倉さん。多少不格好でも、試行錯誤しながら自分の手で仕上げる達成感は半端ない。
『彩り硝子工芸』店舗詳細
ギャラリー凛
遊び心をプラスした江戸切子の進化系
「基本は真面目だけどチャーミング。前向きに楽しんで作っている作品に惹(ひ)かれますね」とは、亀戸出身の店主・大山祐佳里さん。同級生だった江戸切子職人・大友健司さんが見せてくれたタンポポ柄に感動し、江戸切子の魅力に開眼したそう。職人が考えた文様ではなくデザイナーによる柄だったり、吹きガラス職人が使ったグラスを使ったり、江戸切子の枠を飛び出した、この店ならではのユニークなグラスに出合うことができる。
『ギャラリー凛』店舗詳細
すみだ珈琲
手仕事の温もりがコーヒーを引き立てる
硝子店を営んでいた父親の実家の近くでカフェをオープンすることになり、一緒にできることを相談して出来上がったのが、江戸切子のカップ。口に運ぶたび、ゆらめく光や愛らしい模様に心がほころぶ。コーヒーは自家焙煎で、すみだブレンドは深煎り、やや深煎り、浅煎りを用意。深煎りをチーズケーキと合わせると、苦みとコクのある甘みが溶け合い、キャラメルのような味わいに。築約50年の建物を改装した落ち着いた空間も心地よい。
『すみだ珈琲』店舗詳細
江戸切子スクール「HANASHYO’S」
未来のために職人技を伝授
創業から約70年の『江戸切子の店 華硝(はなしょう)』が営む江戸切子スクール。3代目となる弟の熊倉隆行さんと姉の千砂都さんの2人が立ち上げ、現在は160人ほどが学んでいる。職人やインストラクターから直々に指導を受けながら、伝統の文様を一つずつマスターでき、江戸切子の職人として飛び立つ人も。千砂都さん曰く、「伝統をつないでいくためには、江戸切子のファンを増やすことが大切。その一端を担えればうれしいです」。
『江戸切子スクール「HANASHYO’S」』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=井島加恵 撮影=オカダタカオ、鈴木奈保子