老中国菜 知味斎
ハレの日に出かけたい中華の名店
先代から店を引き継ぎ、リニューアル。火柱を上げながら鍋を振るう厨房の様子を小窓から垣間見られ、ワクワク感が抑えられない。運ばれてきたのは柏の農家から仕入れるチンゲン菜など、季節野菜が満載の天然塩炒め。歯触りシャキシャキで、 奥深い野菜の香味が複雑に絡み合い、舌の上で広がっていく。上品な香りを放つ海老と黄ニラの春巻きや、四川唐辛子が味を引き立てるやわらかな仔羊背肉など、本格中華がめくるめく。
中国料理 知味隆
気張らぬ風情で味わう本格中華
店主の古橋隆一さんは、『知味斎』本店・支店の料理長を歴任した後、2017年5月に店を構えた。中国野菜の醍醐味を味わうなら蟹あんかけを。中国料理はコースに一品、野菜が主役の皿があり、「チンゲン菜は形が個性的で、絵になるんです」と、先述の知味斎に卸している石山さんのチンゲン菜を軽く油通ししてツヤを出し、スープで炊く。歯触りとほろ苦さが絶妙で、蟹あんが包むようにとろりとまろやか。手間を惜しまぬ本格派が気安く楽しめる。
ChineseBar&Restaurant 漸
路地裏に潜む中華バルでくつろぐ
路地裏に隠れる店は、2017年5月に開店。店主の岡崎康則さんは「『知味斎』の総菜工房だった所なんです」と、中華の基礎を学んだ修業先に縁を感じたそう。畑仕事で会得した目利き力で、農産物直売所などで生きのいい野菜を見つけている。さっと油通しして、リズミカルに鍋であおる空芯菜は、小気味よい歯触りと旨味が酒のアテに抜群。また、イクラの紹興酒漬けをのせた土鍋ごはんやカクテルなど、中国酒の使い方も新鮮だ。
構成=フラップネクスト 取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=井上洋平、高野尚人
『散歩の達人』2017年10月号より