竹林とジャズに包まれて……。『菩提樹』
寺院の竹林の隣に立つレンガ小屋。扉を開ければ、壁一面の窓に青々とした竹林がまるで絵画みたいに広がっている。「定年退職したあと、自宅を広げて平成9年に喫茶店にしました。好きな音楽とコーヒーで楽しく暮らせればいいかなとね」とは店主の清水雄治さん。JBLのスピーカーから流れるのはモダンジャズ。コレクションはレコードとCD合わせて2200枚以上あるという。竹を観ながらジャズにどっぷり浸れる空間なんて、きっと他にはない!
『菩提樹』店舗詳細
明治建築の母屋で韓国スイーツを。『茶寮おもだか』
柄ガラスの引き戸、見事な梁はり、吹き抜けの明かり取りの窓など、明治3年(1870)築の養蚕農家母屋は都内とは思えぬ風情。駅から離れた立地ながら、土間や囲炉裏端のテーブル席に人々が和やかに集う。父の実家で営む、河内直子さんとご主人・申泳均(シンヨンキュン)さんは、韓国のお茶やスイーツも用意。なかでも黒砂糖やシナモン、ピーナッツの餡を包み焼きしたホットクは素朴な甘みにほっこり。韓国ランチは辛さ控えめで地元野菜満載。
『茶寮おもだか』店舗詳細
森の中でお茶している気分!『森のカフェ』
窓にヒノキの柱が林のごとくはめ込まれ、森の木立に隠れているよう。「ログ調の空間に薪ストーブを置きたくて」という、徳枝ママの注文に建築家が応えた空間では、広々したカウンターで本を読むもよし、ハンドドリップする本橋母娘と会話するもよし。また「ご近所さんや常連さんが持ち寄ったものも多くて」と、螺旋階段脇のレコードや音楽雑誌が圧巻。さらに、小さな本棚の本は持ち帰りや据え置き自由。ゆるゆる過ごす人、続出だ。
『森のカフェ』店舗詳細
庭木と生き物石像に和むテラス席。『茶房 山もも』
多磨霊園前の石材店には、茶を振る舞い、心付けをいただく文化があったそう。生花販売、エクステリアなども手掛ける3代目社長の山田忠勝さんは「今の時代に合わせる形で」と、茶房を始めた。広々した店内もいいが、テラス席が気持ちいい。カエルや恐竜の石像がユニークで、バラ、キウイ棚、サクランボ、リンゴなどが可憐(かれん)な花を咲かせて実をつける。黒蜜、あんこからお手製のあんみつとともに、降り注ぐ光と自然を満喫したい。
『茶房 山もも』店舗詳細
女性が活躍する是政の一軒家カフェ。『cafe bond』
看護師の仕事もしているオーナーの中津久美子さんが2019年に一軒家を改装してオープンしたカフェ。スタッフ6名は全員女性で、協力しながら家庭と仕事を両立しているという。食事のメニューは「家庭だとめんどくさくて作らないようなもの」を心がけているという。ケーキは日替わりで3、4種。ランチからティータイムまでゆっくり過ごす人が多い。焼き菓子を焼く水曜日はテイクアウトオンリーの日。出来立てを購入できる。
『cafe bond』店舗詳細
府中本町で自家焙煎コーヒーを。『脇町珈琲』
平日の日中に西荻でシェアカフェをしていた店主の脇田さんが、自分の好きなようにやりたいと準備を重ね、2019年4月にオープン。かつて肉屋や魚屋などが集まっていた一角をモダンに改装。店内に焙煎機を置き、自家焙煎したスペシャルティコーヒーを丁寧にハンドドリップして提供。NYチーズケーキやカヌレといった自家製のお菓子も楽しめる。ほかのお客さんがいないときの裏メニューとして、手相鑑定なども行っている。
『脇町珈琲』店舗詳細
復活した府中のレトロなカフェ。『珈琲屋マロコ』
大国魂神社の近くの路面にあった牛乳販売店が『珈琲屋マロコ』として営業を始めたのは1970年。2015年に建物の老朽化で一度閉店したが、地元の人の熱い要望を受け、2年半のブランクを経て再オープン。店内のレトロな雰囲気はオーナーが収集した骨董品によるもの。ブレンドは中深煎り、深煎り、浅煎りの3種から選べる。人気メニューは昆布入りの厚焼き玉子と海苔をパンで挟んだ「たまごサンド」。店長手作りのスコーンも好評だ。
『珈琲屋マロコ』店舗詳細
愛知の喫茶文化魂を受け継いだ分倍河原にあるカフェ。『coffee and bake douceur』
小さい頃から喫茶店に通っていた愛知出身の店主の藤原さんは、自分の店を出したいと、学校に通ったり、さまざまな店で働いたりと準備を重ね、2018年2月にオープン。席幅を広くしたり、背もたれの椅子を置いたりと、どんな人でもゆったり過ごせるような店舗づくりを心がけている。お菓子は常時6種類ほど。ドリンクは常時6、7種のコーヒーに加え、コーヒーが苦手な人も楽しめるよう、他の種類も多く揃えている。
『coffee and bake douceur』店舗詳細
こだわりのオーディオと自家焙煎コーヒー。『Cafe CINQ』
大國魂神社の脇にある『Cafe CINQ』。店内には焙煎機があり、注文を受けてから焙煎する。焙煎方法は浅煎り、中煎り、深煎りの3種。淹れ方もハンドドリップ、フレンチプレス、エアロプレスの中からセレクト。また店内奥の壁面を占める音響設備はすべて現役で、クラシックやジャズなどジャンルに適したスピーカーで聴くことができる。店主の佐藤さんが2020年の緊急事態宣言の休業中に作ったNゲージの鉄道模型目当てに鉄道ファンも訪れる。
『Cafe CINQ』店舗詳細
取材=下里康子、佐藤さゆり(teamまめ)、藤村恭子 撮影=加藤昌人、高野尚人、藤村恭子