『PUENTE zerowaste(プエンテ ゼロウェイスト) shop&cafe』賢く買い物してエコで健やかな毎日を[石神井公園]
スパイスや調味料、乾物などを量り売り。「すべて実際に使ってよかったもの。体や環境のことを考えて吟味してほしいですね」とは、店主の苅部加代子さん。ゼロウェイスト(無駄ゼロ)はもちろん、一度味わえば納得のおいしさ。
・9:30~16:30、日・月休。
・☎なし
・Instagram:puente_zerowaste.cafe
『NAMINAMI』ふらっと立ち寄ってコーヒーでもお酒でも![石神井公園]
ベーカリーで働いていた黄さんと妻の南さんの2人で切り盛り。コーヒーと焼き菓子、パンのほか、黄さんが好きだというクラフトビールやジンも。ちょっとしたイートインスペースもあり、散歩の休憩にもぴったり。
・10:00~17:00(土・日・祝は11:00~)、不定休。
・☎なし
・Instagram:naminami_bake_coffee
『RAYAN(ライアン) RESTAURANT』本場のモロッコ料理はスパイス使いが決め手[上石神井]
シェフはモロッコ出身のハサンさん。現地のレストランのほか、モロッコやサウジアラビアの大使館でシェフを務めた経験を持つ。クスクスは野菜のうまみの引き出し方、タジンは酸味と甘みを差し引きしたマイルドな味わいに技が光る。
・11:00~15:00・17:30~23:00、金昼休。
・☎080-4088-9295
『Rumah Ayu(ルマ アユ) 薬膳スープと身体に優しいご飯』薬膳スープと野菜で体をととのえる[上石神井]
店主の西 友佳子さんが「自分や家族の健康のために薬膳を習いはじめたのがきっかけ」で開いた薬膳料理カフェ。わっぱ弁当には野菜の副菜が5種以上入り、二十四節気に合わせたスープは週替わり。ハーブティーとデザートだけでもOK。
・11:30~16:00頃(月数回~18:00)、日・月休。
・☎03-5903-9552
・Instagram:rumah_ayu2021
『東京おかっぱちゃんハウス』古民家を生かしたユニークなイベントに注目![上石神井]
「モノづくりを通して交流できる場所をつくりたい」とアーティストのBoojil(ブージリ)さんが立ち上げた古民家のイベントスペース。自主企画や国内外の作家さんの展示などを約3カ月ごとに行うほか、持ち込み企画や場所貸しも。イベント時のみオープン。
・営業日はInstagram(okappachanhouse)を確認。
・☎03-6904-7606
『Flune(フルネ)』オモシロ雑貨からマニア垂涎(すいぜん)のチャーミーちゃんまで[石神井公園]
チャーミーちゃんのラインアップは都内一! 福岡発の「ハイタイド」や韓国の「ZERO PER ZERO」のアイテムから猫グッズ、ベビーグッズ、バッグ、器、キーホルダーまで店主の吉田さんがピンと来たアイテムがぎっしり並ぶ。近所の子供たち向けに文房具も充実。
・基本的に土・日・祝の11:00~17:00に営業。
・☎なし
・Instagram:flune_shop
『soufflé par le vent(スフレ パルヴァン)』手みやげにしたい焼き菓子天国[石神井公園]
“風に吹かれて”を意味する店名どおり、「気取らずに好きなものを作っていきたい」と話す店主の藺草努さん。さまざまな洋菓子店や飲食店を経て2023年独立した。バターたっぷりのフィナンシェなど焼き菓子はギフトに最適。
・11:00~19:30(土・日・祝は~19:00)、月休(祝の場合は翌火休)。
・☎070-9087-0834
『FILIPPO Bacaro(フィリッポ バーカロ)』使い勝手抜群のイタリアンバル[石神井公園]
界隈の人気ピザ店『PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO』の新店。ワイン1杯から本格イタリアンを楽しめ、店長の野澤圭吾さんがナポリで学んだ焼き菓子・スフォリアテッラは絶品。本店のピザもオーダー可。
・11:30~14:00LO・17:30~23:00LO(土・日・祝は通し営業)、水・木休。
・☎090-5693-2068
『おもちゃのやまむら』子供時代を思い出す懐かしいおもちゃがいっぱい[武蔵関]
1972年創業。手と頭を使って遊ぶおもちゃがメインで電子ゲームはない。祖父母が孫に買ってあげられる手ごろな価格帯が中心。「こういう店が少なくなっているから、できる限り続けていきたい」とは、2代目の山村浩久さん。
・11:00~17:00頃、水休(土・日に不定休あり)。
・☎03-3928-0573
『友野屋酒店』歴史を受け継ぎながら、新しい試みにも積極的[石神井公園]
戦前から約90年続くマーケットの一角。3代目の吉原さんが企画する日本酒、ワイン、クラフトビールの会は大盛況だ。毎週末には試飲会を実施し、奥で営業している魚屋や肉屋の商品をつまみに飲めるのも楽しい。
・8:30~21:00(金・土は~22:00、日・祝は10:00~20:00)、無休。
・☎03-3996-0155
『Per Luna(ペル ルーナ)』新メニューの源はたゆまぬ好奇心[武蔵関]
住宅地に突如現れるイタリア総菜とワインのお店。店内にぎっしり貼られた付箋は今まで登場したメニューと聞いてびっくり。前菜からメイン、ドルチェ、焼き菓子もあり、予約制でコースも対応可。オーダーしてから作ってくれるパスタやパニーニも。
・11:00~14:00・17:00~20:00、水休。
・☎03-6904-9366
『すいすい』ほっとくつろげる地元民憩いの酒場[石神井公園]
日本酒好きの父と共に店に立つのは、居酒屋で経験を積んだ滝川雅也さん。ワインは、この店のオープンを機にソムリエの資格をとった母が厳選。近隣の野菜を使ったシンプルな料理が多く、常連の年配層に加え、最近は若いお酒好きの客も増えている。
・17:00~23:00、月・第3火休。
・☎03-6336-3702
・Instagram:masaya_suisui
『LiT(リット)』街に新しい風を吹かせる大人の隠れ家が誕生![石神井公園]
イタリアンやフレンチの経験で培った自由な発想から生まれる料理は、ひと皿ごとに驚きの連続。ヒュウガナツの甘酸っぱさと苦味を効かせたサワラのカルパッチョやホタルイカの肝を生かした手打ちパスタなど、五味のバランスが秀逸で、自然派ワインがするする進む。
・17:00~明かりが消えるまで、日休(不定休あり)。
・☎03-6913-2422(予約制)
・Instagram:lit_shakujii
穏やかな緑と、洗練の中に残る庶民感がいい塩梅
ここ数年でマンションが続々と建てられて人口が急増。その多くが若い子育て世代で、住民の平均年齢がグッと下がった気がする。今どきのしゃれた店もちらほら見かけるようになった。コーヒーと焼き菓子の店『NAMINAMI』は、新しく街に加わったお店のひとつだ。
「この街で住みながらお店をやろうと思って引っ越してきました。朝、石神井公園を通って店に来られるのがいいですね」とは、店主の黄聖安さん。同じく新店の『PUENTE zerowaste shop&cafe』の店主・苅部加代子さんも「以前、夫が住んでいてなじみはあったんですけど、子育てと健康な生活を考えたらここにたどり着きました」と話す。
もともとこの街は江戸時代から行楽地としてにぎわっていた三宝寺池を中心に発展。その後は風光明媚な環境にひかれた富裕層の邸宅が池の周りに建てられ、現在の街並みがしだいにできあがっていった。この街の心地よさに吸い寄せられるのは昔も今も同じだ。
巷(ちまた)では石神井公園が井の頭公園化してきたという声も聞くが、それは表向きの顔。南口には戦後から続く商店街があり、最近のイメージを鵜呑(うの)みにして訪れると「あれ?」と驚く人も多そう。少し前には庶民の味方の「まなマート」というスーパーがあったのだが、再開発で閉店になってしまった。ショックを受けた住人も多く、かくいう私もその一人。
石神井の素顔の部分が消えていくのはせつないが、昭和9年(1934)創業の昭和風情ただよう『友野屋酒店』は健在だ。
「昔は南北の行き来が本当に大変でした。駅が高架になってから住人も増えて活気が出ましたね」とは、3代目の吉原さん。今なお再開発は継続中だが、利便性が上がっても、ほっとする石神井公園らしさはなくなりませんように!
同じ石神井という地名が付きながら、西武新宿線の上石神井駅はひっそりした印象で、隣の武蔵関駅はさらに昭和感が色濃い。一見何もなさそうだが、こういう開発前の街こそニッチなお店が潜んでいるのだ。
今回紹介している上石神井と武蔵関の物件では、好きなことや得意なことを貫く姿にわくわくした。古民家のイベント&レンタルスペースの『東京おかっぱちゃんハウス』は、世界も視野に入れているそうで、ここを目掛けて海外から人が訪れる日が来るかも⁉ 西武新宿線沿線は比較的地味だけど、掘り出し甲斐(がい)のある穴場なのだ。
取材・文=井島加恵 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年6月号より