蛤SOBAだけじゃない! 濃厚卵が主役のまぜSOBAにご注目

銀座三原通り沿いに立ち並ぶラーメン店のなかで異彩を放つ『むぎとオリーブ 銀座本店』。2014年にオープンして早々にビブグルマンを獲得した名店だ。三重県桑名産の蛤を使った看板メニューの貝出汁ラーメンは、今なお注目を集めている。

GINZA SIXの裏通りにあり、女性1人でも入りやすいこぎれいな店構え。とてもラーメン店には見えない。
GINZA SIXの裏通りにあり、女性1人でも入りやすいこぎれいな店構え。とてもラーメン店には見えない。
一見してイタリアンの店かと思ったら、看板に「Clam(二枚貝) Ramen」と書かれていた。
一見してイタリアンの店かと思ったら、看板に「Clam(二枚貝) Ramen」と書かれていた。

メニューは、SOBA・つけSOBA・まぜSOBAの3タイプ。スープはすべてしょう油味で、蛤SOBAと鶏SOBA、蛤・鶏・煮干しをブレンドしたトリプルSOBAがある。つけSOBAは蛤と鶏をブレンドしたつけ汁だ。

SOBA・つけ SOBA・まぜSOBAは、それぞれプラス300円で特製(トッピング増)にできる。
SOBA・つけ SOBA・まぜSOBAは、それぞれプラス300円で特製(トッピング増)にできる。

今回のお目当ては店の二枚看板のひとつである、濃厚日本一卵のまぜSOBA。店長の田中悟司さんによると、「蛤SOBA目当てに来られる方は多いんですが、常連さんや女性のお客様はよく、まぜSOBAを注文されるんですよ。スタッフのまかないでも一番人気です」とのこと。蛤SOBAも捨てがたいけれど、まぜSOBAを選んでまちがいなさそうだ。

“まぜそば”といえば、油そばや台湾まぜそばといったスープのないラーメンだが、この店のまぜSOBAとはいかなるものか?

壁面の掲示物を見ると、兵庫県産の「日本一こだわり卵」というブランドたまごを使用しているらしい。“日本一”を謳うたまごのお味、気になる~!

まぜSOBAには、「第1回たまごかけごはん祭り」でグランプリを受賞した「日本一こだわり卵」を使用。
まぜSOBAには、「第1回たまごかけごはん祭り」でグランプリを受賞した「日本一こだわり卵」を使用。

「はじめはSOBAとつけSOBAだけだったんですが、この卵に出合って、まぜSOBAを始めたんです。卵の濃厚さとおいしさをダイレクトに味わっていただけるように、卵をからめながら食べる麺をオーナーといっしょに開発しました。もともと裏メニュー的な存在だったのが、いつの間にか人気メニューになっていました」と田中さん。“卵が主役”のまぜそばか。それは楽しみだ♪

あっさりオリーブオイルと濃厚卵の組み合わせの妙!

やってきました、濃厚日本一卵のまぜSOBA! 結びかまぼこと三つ葉、長芋がトッピングされていて、めっちゃ和テイスト。見るからに油そばのようなゴッテリ感はなさそう。さて、どうやって食べようか。いきなり混ぜちゃう?

濃厚日本一卵のまぜSOBA950円の麺の量は200g。特製1250円は300g。それぞれプラス100円で100g増量。
濃厚日本一卵のまぜSOBA950円の麺の量は200g。特製1250円は300g。それぞれプラス100円で100g増量。

すると、「まずは、そのまま召し上がってみてください」と田中さんにすすめられたので、麺をひと口。んん、この香りと味……、油そばのオリーブオイル・バージョンか!

「オリーブオイルとブレンドしたしょう油ダレで麺を和えています。湯切りする時にあえて麺の表面にキズをつけたり、適度に水分を残してオリーブオイルを乳化させたりすることで、麺に味をからみやすくしています」。

茹で上がった麺にオリーブオイルをたっぷりからめて、手早く特製しょう油ダレと和える。
茹で上がった麺にオリーブオイルをたっぷりからめて、手早く特製しょう油ダレと和える。
京都の老舗製麺所「麺屋 棣鄂」の特注麺。まぜSOBAには、もっちりした中太麺を使用。
京都の老舗製麺所「麺屋 棣鄂」の特注麺。まぜSOBAには、もっちりした中太麺を使用。

麺に味がしっかりからまっていて、もちもちしていておいしい。ちなみに、しょう油ダレが濃くないので麺の風味をしっかり堪能できる。

さあ、“日本一の卵”をからめてみましょう。黄身をつぶして麺に混ぜると、ねっとりしてきたぞ。そのお味は、ズバリ極濃&コク旨! 麺にもオリーブオイルにも負けず、卵の旨みがずっと感じられるのがスゴイ。

濃厚な黄身をまとった麺は、もっちり感が倍増。この後、味変のお楽しみが待っている!
濃厚な黄身をまとった麺は、もっちり感が倍増。この後、味変のお楽しみが待っている!
ビタミンEを豊富に含み濃厚な旨味を持つこの卵は、まぜSOBAのほか卵かけご飯300円でいただくことができる。
ビタミンEを豊富に含み濃厚な旨味を持つこの卵は、まぜSOBAのほか卵かけご飯300円でいただくことができる。

丁寧に低温調理された豚かたロース肉と鶏むね肉のしっとり感&やわらかさ、香り高い三つ葉のアクセント、オリーブオイルで軽く素揚げした長芋とみじん切りにした長ねぎのシャキシャキ感。すべてがバランスよく盛られているので、この1杯でいろんな味と食感が楽しめる。

味変でおどろきの七変化! あまりのおいしさに麺特盛にしたくなるほど

まぜSOBAを注文すると、数種類の味変調味料が用意される。意外な味の組み合わせが見つかるかも?
まぜSOBAを注文すると、数種類の味変調味料が用意される。意外な味の組み合わせが見つかるかも?

ここで、お味を七変化させるワザをご紹介。一度に麺を混ぜ切らずに、ちょこっとずつお試しあれ。

その1、混ぜずにそのまま食べて、オリーブオイルのからんだ麺の旨さを堪能する。

その2、濃厚卵をからめて食べて、卵そのものと麺の旨さを味わう。

その3、エシャレット風味のオリーブオイルで、新たな香りと味わいを楽しむ。

エシャレットを効かせたオリーブオイルをちょい足しすると味が締まる。
エシャレットを効かせたオリーブオイルをちょい足しすると味が締まる。

その4、粉チーズと黒コショウで、カルボナーラ風にアレンジ。おどろくほど味が変わっておいしいので、こちらはぜひチャレンジしていただきたい!

ほんのりしょう油の和洋折衷カルボナーラに早変わり! 濃厚卵を活かした最強のアレンジ。
ほんのりしょう油の和洋折衷カルボナーラに早変わり! 濃厚卵を活かした最強のアレンジ。

その5、タバスコでピリッと辛みを効かせる。

その6、リンゴ酢でさっぱり味にする。

その7、追い卵&特製しょう油ダレで、さらに濃厚なまぜSOBAをいただく。

いくつも試しているうちに麺を完食してしまった。これなら特盛だって食べられそうだ。

こんなにもおもしろい食べ方ができるメニューを考えた田中さん。蛤の貝出汁ラーメンを創作して業界にその名をとどろかせた岩田圭介氏が2014年に立ち上げた『むぎとオリーブ 銀座本店』を、オープンして半年ほど経った頃から任されている縁の下の力持ちだ。

店長の田中悟司さん。イタリアンやフレンチの世界で修業を積んだ腕利きの料理人。
店長の田中悟司さん。イタリアンやフレンチの世界で修業を積んだ腕利きの料理人。

「長らく店を続けるなかで、ご無沙汰していた方が店にいらしてスタッフに声をかけてくださったり、地元のお土産を持ってきてくださったりと、人とのご縁がたくさんできました。自分たちを応援してくださる方々の声を聞くと、銀座の地に店が根づいてきたんだなあとうれしく思います。日々ブラッシュアップしながらもっともっと店を良くして、多くの人に銀座に足を運んでもらえるようにしていきたいですね」。

「カジュアルな雰囲気づくりにこだわった」という店内は、カウンターのみ12席。
「カジュアルな雰囲気づくりにこだわった」という店内は、カウンターのみ12席。

この店が客の心を惹きつける理由は、話題性や料理の味だけではない。「人のため、地域のため」を想う真摯なつくり手がいて、その心意気が店の端々に感じられるからこそ『むぎとオリーブ』は魅力的なのだ。店の魅力は料理人の心にあり!

住所:東京都中央区銀座6-12-12 銀座ステラビル1F/営業時間:11:30~15:00LO・17:30~20:30LO(完売次第閉店)/定休日:月/アクセス:地下鉄東銀座駅から徒歩5分、地下鉄銀座駅から徒歩6分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=コバヤシヒロミ