「祥」という店名は「吉祥寺」から
夕方、吉祥寺のサンロード商店街を歩くと、あまりの人通りの多さに圧倒される。しかも10代〜30代の若い人が多い。都内に有名な商店街は多いけれど、ここは通りを歩く年齢層がダントツに若いのだ。「住みたい街ランキング」で常に上位とあって、家族連れの地元民も多いし、ここを目指してくる若者も多い。そんなサンロードを歩くこと数分、ギターケースを背負った2人組が、黄色い暖簾の店に吸い込まれていった。『九州らーめん祥』だ。
「祥」という店名は「吉祥寺の中心地になるよう、“吉祥寺”の中央の字からとりました」と、店主の八巻旭さん。ラーメン店を数店経営している小林学さんからラーメンを学び、2009年に『九州らーめん 祥』をオープンさせた。
豚骨スープと極細麺の博多ラーメンを主軸に、塩ラーメンやつけ麺も出している。看板料理の祥ラーメンは、本場博多にも何度も足を運び、師匠と共に作り上げたオリジナルのラーメンだ。
開店時間は10:30から深夜3:00までと長いので、ランチタイムにはもちろん、飲んだあとの締めにも、終電を逃した時にも開いているから使い勝手がいい。吉祥寺に『祥』があって良かった!と思う人も多いと思う。
マイルドな豚骨スープ
麺は神奈川県の工場に特注。讃岐うどんにも使われている良質な小麦を使い、喉ごし良く、モチモチした食感に仕上げている。麺の硬さは、「こなおとし」「はりがね」「ばりばり」「ばり」「ふつう」「やわめ」の6段階。ラーメンを注文すると麺の硬さを即座に聞かれる。おすすめは「ばりばり」か「ばり」だが、実は「やわめ」もイケるそう。極細麺なの調理時間も短いため、食券を買って注文すれば、すぐに出てくる。
博多ラーメンならではの硬さを求める人には「はりがね」がおすすめだ。豚骨スープは、丁寧に下処理をした豚骨を、店内の圧力寸胴鍋で強火で一気に炊き上げ、抽出している。試行錯誤を重ね、マイルドでコクのあるスープを作り出した。濃厚だが、脂の臭みはないので、博多ラーメン特有の匂いが苦手な人もぜひ試して欲しい。
基本の祥ラーメンは690円。チャーシュー1枚にキクラゲ、ネギがのったシンプルなラーメンだ。飲んだあとでも、するすると食べられるようなボリューム。これに卓上に並んだ小瓶に入った7種類の調味料や具をトッピングして、自分好みの味にアレンジするのが『祥』流。トッピングは、ラーメンコショー、すりゴマ、生にんにく、紅しょうが、辛し高菜、辛もやし、食べるラー油。辛し高菜や食べるラー油は自家製だ。
博多ラーメンの定番の紅しょうがは、迷わずのせて、そのあとはラーメンコショーを少しだけかけてみて欲しい。甘めの豚骨スープが、ピリリと引き締まった味になる。生にんにくは、皮をむいた丸のままなので、その場で器具を使って潰して入れる方式だ。麺の替え玉は100円。替え玉を入れるタイミングでトッピングを加えても、また違った味を楽しめる。ちょっとグレイドアップするなら、チャーシュー3枚に豚の角煮、黄身がトロトロの味玉が入った金祥ラーメン920円を。
肉が丼を埋め尽くす「特金祥」
いいとこ取りの全部盛り、特金祥980円はボリュームたっぷり。味玉に加え、通常のチャーシュと薄切りの柔らかいチャーシュー2種に、ゴロンとした角煮も加わり、肉が丼を埋め尽くす。ニンニクの焦がし油が入った黒祥ラーメン920円は、黒いスープで見た目のインパクトはあるが味はあっさり。香ばしいニンニクの風味もほどよく、ラーメンコショウをかけて味わうのがいい。あっさりとしたラーメンで小腹を満たしたいなら、透き通ったスープに柚子の香りが広がる塩ラーメン・ゆず塩900円がおすすめ。
サイドメニューの肉汁ギョウザ430円は、パリパリの薄めの皮に、肉汁があふれる具が詰まっている小ぶりなギョウザだ。1皿6個で一口サイズなので、ラーメンやビールと一緒に注文してもちょうどいい。替え玉のように、カウンターから追加注文するのも可能。
客席はカウンター15席と2人掛けのテーブルが2卓。広めのカウンターにはトッピングの容器がずらりと並び、今日は何を入れて「味変」を試そうか迷ってしまう。
取材・文・撮影=新井鏡子