◆散歩コース◆

体力度:★★☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 1月~12月
  • 最高地点 375.3m(物見山)
  • 登山開始地点 113m(武蔵横手駅)
  • 歩行時間 4時間25分
  • 歩行距離 約11km
スタート
武蔵横手駅
駅前の広い国道から関の入林道へ入る。道は沢沿いにつけられた舗装路。林の中の沢を眺めながら進む。

五常の滝
この滝の見学は有料で、小さな受付がある。途中から登山道になり、ヤセオネ峠に出ればもう少し。

物見山
山頂から下りて行くと展望の開けた駒高の集落へ出る。この周辺の山村の風景がとくに心に迫る。

駒高
駒高で舗装路に出て、再び登山道。日和田山への岩場の急坂を上がれば、もう登りはほぼないようなもの。

日和田山
展望はいいが、山頂下の金刀比羅神社まで下りれば、さらにいい。長い休憩後、巾着田を目指して下る。

ドレミファ橋
巾着田に入ったら、中の道を通り抜けて高麗川に架かるドレミファ橋を渡ってまた森の中へと入っていく。

高麗峠
展望のない峠からゴルフ場の脇を通って抜けるのがちょっと辛いか。抜ければもう温泉は近い。

ゴール
宮沢湖温泉バス停

アクセス:
[行き]池袋駅から西武池袋線で飯能駅へ。飯能駅から西武秩父線で武蔵横手駅へ、約1時間5分。
[帰り]宮沢湖温泉バス停からイーグルバスで飯能駅北口へ。飯能駅から西武池袋線で池袋駅へ、約1時間10分。

温泉からの帰りだが、宮沢湖温泉バス停から飯能駅ではなく、JR川越線の武蔵高萩駅に出ることもできる。所要時間は25分、運賃は300円。

今回のスタートは武蔵横手駅になるが、物見山、日和田山、巾着田という人気のコースは、次の東吾野駅からスタートすることが多い。それにはわけがあって、桃源郷といわれるユガテに立ち寄って行きたいからだ。そちらを回る場合は歩行時間はプラス1時間というところだろうか。

ただし、こちらのルートは桃源郷こそ行かないが、五常の滝という見ごたえのある滝に立ち寄ることができる。どちらをとるかだが、今回は滝見を優先した。

駅から関ノ入沢沿いの舗装の林道へと入る。少し進むともう民家はなくなる。沢沿いの道が心地よい。水もかなり透明度が高い。ときおり、陽射しが木の間から水面に届くと、きれいに反射していた。

落差12mの名瀑、五常の滝に到着

林道を30分ほど歩くと滝の入り口に。ここで見物料を払う。滝見で入場料は久しぶり。料金を取るところはあまりないので払うことはめったにないが、滝は好きなので滝見代は別に気にならない。とはいえ料金によるか。2、300円では気にならないが、これが1000円となると考えどころ。五常の滝はけっこういいので、料金を払ってでも見るべし。

滝の雰囲気がなかなかいい五常の滝。水量が多い時季はさらにいい。
滝の雰囲気がなかなかいい五常の滝。水量が多い時季はさらにいい。

滝を高巻くように林道がつけられている。滝の上に出たら、まもなく「物見山・日和田山」の標識を右へ。左に折れれば北向地蔵方面へ。ここから登山道になる。

暗い樹林の中をしばらく上がっていくと、突如視界が開けた。陽当たりのいい小瀬名という集落。以前は家は四軒あったそうだが、今は住んでいるのかどうか。先で無人販売所があり、柚子、カリンなどを販売していたので、最低一軒はあるようだ。

また小瀬名には前の戦争時に飛行機が墜落し、陸軍の兵士4名が死んでいるが、その慰霊碑が畑の中に立っていた。この辺りは入間や横田の飛行場が近いので、戦争中はよく墜落したところらしい。

ユガテ方面からの道と合流し、ヤセオネ峠から物見山へ上がってから駒高の集落へと出た。この山村集落からの眺めもいい。「ふじみや」という茶屋があったので立ち寄ってみた。週末だけ店を開けているそうだ。

標高375mの物見山の山頂。日高市と毛呂山町との境界にある。山頂にはベンチのようなものはあるが、ないのは展望だけ。
標高375mの物見山の山頂。日高市と毛呂山町との境界にある。山頂にはベンチのようなものはあるが、ないのは展望だけ。
物見山から下りてくると、山の中腹に点在する駒高の集落がある。駒は高麗(こま)で、高いところの高麗ということでこの地名がついたのだろうか。いいところだ。
物見山から下りてくると、山の中腹に点在する駒高の集落がある。駒は高麗(こま)で、高いところの高麗ということでこの地名がついたのだろうか。いいところだ。

岩場を上がって日和田山の山頂へ。ここからの眺めもいいが、この先の金刀比羅神社下からの眺望は、コース上最高のものだろう。

日和田山から下りて行くと、金刀比羅神社があるが、その下が絶景の場所。巾着田などの眺望が抜群だ。
日和田山から下りて行くと、金刀比羅神社があるが、その下が絶景の場所。巾着田などの眺望が抜群だ。

さすがに見物人も多かったが、鳥居の先に巾着田が広がる景色は絶景と言っていい。下山は、男坂と女坂があるが、傾斜の緩い女坂を選択し、巾着田へまっしぐら。中を抜けて、高麗川のドレミファ橋を渡って高麗峠へ。まっすぐ飯能市街へ行くもよし、左の宮沢湖近くの温泉に行くもよしだ。今回は宮沢湖温泉へ向かう。

巾着田の中を小川が流れていた。きれいなところだ。巾着田は直径が500mほど。面積は22ha。高麗川に囲まれたなかに昔は水田があったが、今はコスモスや菜の花、それに有名な曼珠沙華(ヒガンバナ)が咲く。
巾着田の中を小川が流れていた。きれいなところだ。巾着田は直径が500mほど。面積は22ha。高麗川に囲まれたなかに昔は水田があったが、今はコスモスや菜の花、それに有名な曼珠沙華(ヒガンバナ)が咲く。
周囲が2㎞ほどの宮沢湖。湖畔には2019年に「ムーミンバレーパーク」が開業した。
周囲が2㎞ほどの宮沢湖。湖畔には2019年に「ムーミンバレーパーク」が開業した。

山歩きメモ

温泉はとくに入らなくてもいいという人は、巾着田から高麗駅へ。20分程度で駅。また高麗峠から飯能駅へ行くコースもある。これは駅まで1時間程度。

アドバイス

五常の滝の上までは舗装路で歩きやすい。物見山の直下は岩場の登りになるので注意したい。金刀比羅神社下からのルートは女坂がおすすめ。男坂を下るのは少々危険。その先はとくに問題はなし。

五常の滝

山中に名瀑あり。滝の雰囲気が素晴らしい

滝に行く途中に五常の教えを広めた熊沢蕃山廟(くまざわばんざんびょう)などがある。熊沢蕃山とは江戸時代初期の陽明学者。
滝に行く途中に五常の教えを広めた熊沢蕃山廟(くまざわばんざんびょう)などがある。熊沢蕃山とは江戸時代初期の陽明学者。

落差が約12m。滝は滝本体と周囲の景観と滝壺が重要だが、この滝はかなりレベルが高いと思う。滝壺の水も澄んでいていい。周囲の森の様相もなかなか。「仁儀礼智信」の五つの道徳にちなんだ五常を滝名に冠している。必勝祈願の滝でもある。入山料200円(高校生以上)、月・火・水休み。

宮沢湖温泉 喜楽里別邸

宮沢湖を見下ろす展望の湯でくつろぐ

眺望のいいテラス。レストランも併設。
眺望のいいテラス。レストランも併設。

1941年に灌漑用の貯水池としてできた宮沢湖は、現在は「ムーミンバレーパーク」などがある別世界になった。その宮沢湖を見下ろす絶景地に温泉施設がある。2009年に開湯した温泉で、緑に囲まれた露天風呂が魅力だ。

住所:埼玉県飯能市大字宮沢27-49/営業時間:9:00~23:00(最終受付22:00)/定休日:不定/アクセス:西武鉄道池袋線飯能駅からバス15分の宮沢湖温泉下車すぐ

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ』より