「1990年からサイン鑑定の勉強を始め、その道のトップを目指して研究を続けてきました。これまでに鑑定したビートルズのサインの数は3000点を優に超えると思います。また、先日はビートルズが使ったとされるピアノを鑑定するためにシンガポールまで出向きました」

本多さんの鑑定済みである「メンバー4人揃った本物の直筆サイン」(鑑定・保証書付き)は超貴重。これは1963年9月5日、イギリス・トーントンで行われたコンサートの際、ファンの女性がサイン帳にもらったもの。ビートルズ研究所会員特別価格で110万円。
本多さんの鑑定済みである「メンバー4人揃った本物の直筆サイン」(鑑定・保証書付き)は超貴重。これは1963年9月5日、イギリス・トーントンで行われたコンサートの際、ファンの女性がサイン帳にもらったもの。ビートルズ研究所会員特別価格で110万円。
店内すべてビートルズという景色が壮観。壁には直筆サインが飾られている。様々なセールが開催されており、会員登録をすればセールの告知ハガキや最新のカタログが届く。初めての人は電話で確認を。
店内すべてビートルズという景色が壮観。壁には直筆サインが飾られている。様々なセールが開催されており、会員登録をすればセールの告知ハガキや最新のカタログが届く。初めての人は電話で確認を。

国内・海外問わず多くの直筆サインや貴重品の鑑定依頼が寄せられるという本多さんが、ビートルズ・ファンとして生きていく手段となる『ビートルズ研究所』を立ち上げたのは95年のこと。その名のとおり、当初はマニアやコレクターが集うサロンのような場所だったという。この店の最大の特徴は本物へのこだわり。レコードを中心に、書籍、グッズ、サインなど、世界中から集められたアイテムの数は約5万点。その一部が店内に置かれているわけだが、貴重品の数々にファンならばその場にいるだけで幸せな気持ちになる。

同アルバムのプロデューサー、フィル・スペクターが所有していた『レット・イット・ビー』のゴールドディスク。ビートルズ研究所の中でもとくに貴重なアイテムのひとつ。
同アルバムのプロデューサー、フィル・スペクターが所有していた『レット・イット・ビー』のゴールドディスク。ビートルズ研究所の中でもとくに貴重なアイテムのひとつ。
1966年のビートルズ来日の際に日本航空がビートルズに用意した法被。これはビートルズ一行に配られた本物で、当時のロード・マネージャーのマル・エヴァンスが保管していたもの。
1966年のビートルズ来日の際に日本航空がビートルズに用意した法被。これはビートルズ一行に配られた本物で、当時のロード・マネージャーのマル・エヴァンスが保管していたもの。

「開店当時に比べると、若い人が増えていると思います。昔は親にビートルズを押し付けられて嫌がる子供も多かったのですが、最近は自分から興味をもつ子が多い。ビートルズのよさは教えられるのではなく、自然に気づき、ファンになっていくものなんでしょう」

「ビートルズは、自分が生きているという命」と言う本多さん。もともと理数系でデータ主義だったところが、思い込みで判断せず緻密に精査する鑑定の仕事に活きている。
「ビートルズは、自分が生きているという命」と言う本多さん。もともと理数系でデータ主義だったところが、思い込みで判断せず緻密に精査する鑑定の仕事に活きている。
「その分野のトップにならないとプロにはなれない」と、日々の鍛錬をおこたらず、情熱を燃やし続けてきた本多氏。数千点にもなるファイルには、これまでの鑑定の歴史である写真やコピーが保管されている。
「その分野のトップにならないとプロにはなれない」と、日々の鍛錬をおこたらず、情熱を燃やし続けてきた本多氏。数千点にもなるファイルには、これまでの鑑定の歴史である写真やコピーが保管されている。
all_you
【Master's Choice 1/213】 All You Need Is Love
中学生の頃に同級生が持ってきた日本盤のLP『ビートルズ!(ミート・ザ・ビートルズ)』が出会いという本多さんが選ぶ1曲は、「愛こそはすべて」。“愛さえあれば何もいらない”ではなく“愛が必要だ”とジョンは歌った、と本多さんは語る。

ビートルズに限らず、誰かに教えてもらうのではなく、自分自身のセンスでその魅力に気づいたものこそ、好きになる本気度が強いもの。本気になった時、ビートルズ研究所は日本一、いや世界一心地いい空間といえるだろう。

取材・文=竹部吉晃 撮影=小野広幸