渡名喜島とは?

渡名喜島は那覇から北西に向かって約58㎞の海上、北に粟国島、南東に慶良間諸島、西に久米島を望み、これらの島のほぼ中央に位置している。面積は3.84㎢、周囲は12.5㎞ほど、人口は360人弱という小さな島だ。

小さいながらも、北部はゆるやかな丘陵地帯、南部は石灰岩が露出した山岳地帯と、異なる表情を併せ持つ。これは渡名喜島の成り立ちに由来する。数千年前までは2つの島に分かれていたが、徐々にサンゴ礁が発達したため双方の間に砂が堆積し、いつしかひとつにつながったといわれている。今でも集落に砂地が広がっているのは、ここがかつて堆積した砂の上に作られたためだ。

渡名喜島集落内の道
渡名喜島集落内の道

那覇から渡名喜島へ行くには、泊港からのフェリーを使う。ただし1日1本午前中のみ、渡名喜島から那覇への便もやはり午前中に1本しかないため、必然的に日帰りはできなくなる。もしどうしても日帰りしたい場合は、午後に一本だけ増便する4~10月の金曜日を狙うしかない。しかし朝イチの便で那覇港を出て10時55分に島に着き、帰りの便は15時35分発、滞在時間約4時間半という強行スケジュールになってしまう。ならば宿泊したいところだが、島内に宿は数軒しかなく、多くの人を受け入れられない。このハードルの高いアクセス方法こそ、渡名喜島が穴場であり、美しい自然や景観が保たれている理由の一つだろう。

渡名喜島は観光地としての開発はほとんどされておらず、島の一番の名物は、未開発の島だからこそ残る自然と、伝統的な街並みといえるかもしれない。特徴的な地形や、多くの希少な動植物が残る自然の豊かさから、島全体が県立自然公園になっている。また、フクギ並木に囲まれた白い砂の道、赤瓦屋根の家屋といった沖縄の昔ながらの集落が今でも残り、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

フクギ並木
フクギ並木

渡名喜島のおすすめの過ごし方

那覇からのフェリーで島に到着したら、時間はもう11時近く。そろそろお腹が空いてくる頃だ。渡名喜島では時間を気にせずゆっくり過ごすのが醍醐味だが、島内で昼食を食べられるのは売店を除いて『ふくぎ食堂』のみなので、なるべく早めに行って腹ごしらえを。沖縄そばや島での食材を使った料理を楽しめる。

『ふくぎ食堂』の沖縄そば
『ふくぎ食堂』の沖縄そば

食事が済んだら荷物は宿に預けて、集落の散策へ。生い茂るフクギの木が日よけになり、夏場でもさほど暑く感じないのがうれしい。赤瓦屋根が連なる白い砂道の並木道は、まさに古き沖縄の風景。ぶらぶら歩いていると、地元の人がおしゃべりしている姿に出会うことも。ここが普通の暮らしの場ということがよくわかる。樹齢200年以上の立派なふくぎの木だけでなく、昔ながらの商店や古い井戸さえも、この風情溢れる集落の大切な一部なのだ。

集落を抜けた先に広がるのは、島民憩いの場「あがり浜」。約700m続く白い砂浜と青く澄んだ海を味わったら、民宿で車か自転車を借りて島を南下してみよう。足と体力に自信があればもちろん徒歩でも。約3時間で一周できるが、夏場は炎天下を歩くことになるのでご注意を。

あがり浜
あがり浜

島の東側に残る旧道「シュンザ」で見られる荒々しい岩や山々も、渡名喜島ならではの景色だ。その少し先にある「アンジェーラ浜」にもぜひ立ち寄りたい。集落から少し離れているせいか、人影まばらな静かな海だ。ウミガメが生息していることで知られ、満潮時には肉眼で見られることも。そして、島一番の絶景ポイント「大本田(ウーンダ)展望台」へ。久米島や粟国島、慶良間諸島が一望できるここでは、山の深い緑と海の青という自然が生み出すコントラストに魅了される。

あがり浜からアンジェーラ浜へ向かう途中のシュンザ
あがり浜からアンジェーラ浜へ向かう途中のシュンザ
アンジェーラ浜
アンジェーラ浜

まだ夕食まで時間があれば、集落から近い夕日の名所「てぃだ公園」へ。静かな海にゆっくりと沈む日を眺め、心穏やかなひと時を過ごすには最適だ。そしてお待ちかねの食事は各民宿で。新鮮な魚や地元の野菜料理などの島の恵みに舌鼓を打ったら、居酒屋『西門(いりーじょう)』で、地元の人とのおしゃべりに興じるのもおもしろい。

フクギ並木近くの『西門(いりーじょう)』
フクギ並木近くの『西門(いりーじょう)』

すっかり夜が更けた頃、集落のメインストリート村道1号はフットライトに灯され、白砂の道が幻想的に浮かび上がる。夜道を散策しながら再びあがり浜まで足を延ばすと、頭上には天の川も鮮明な星空が。宿泊しなければわからない、とっておきの風景だ。

渡名喜島のイベント情報

渡名喜島の主なイベントは、5月から7月の夏期に集中している。離島だけあって海とゆかりの深い祭祀が大切にされていて、「シノマーシ」や「海神祭」では、大漁や航海安全などを祈願する。旧暦の6月25日に行われる「カシキー(綱引き)」の前日の「となき祭り」には屋台などが並び、花火も打ち上げられるので観光客でも参加しやすい。

カシキーの様子
カシキーの様子

渡名喜島の名物

特産品の「もちきび」はイベント等でしか購入できないが、もちきびを使ったちんすこうやきびだんごは、フェリー出航前のみ開店する港の売店で販売される。島で採れたらっきょうやにんじんの漬物もおすすめ。

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協力:沖縄県・(一財)沖縄観光コンベンションビューロー

・渡名喜島の魅力についてもっとみる(外部サイト)
https://ritohaku.okinawastory.jp/15islands/tonakijima/

・渡名喜島の観光情報について (外部サイト)
http://tonakijima.jp/

 

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