町田仲見世商店街の中にある「七面」でラーメン。
とても久しぶりに町田で乗り換える。大学生だった頃に散々遊んだ町。まずあの娘がエレベーターガールのアルバイトをしていた小田急デパートのエレベーターに乗り面影を探し、夜な夜な仲間と語り合った円形マックをしばし眺め進むパークアベニュー。
途中ずいぶんとな大通りが貫通しているもほぼ雰囲気はあの頃のまま。その大通りを超えて少ししたところにある町田仲見世商店街。その入り口に大行列。二分する並びの先は小籠包と大判焼き。
その並びを描き分けて奥に進むと柔らかく光が射しこむ、古いと新しい店舗が入り交じる天井の低い少し坂道のアーケード商店街。
その中頃にらーめんの幟。手打風ラーメンとほんのり光る黄色の看板に「七面」。ここで40年近くになる町の中華。
ひらく扉から覗く店内。お母さんに「いらっしゃい」と声を掛けられ「空いてますよ」とカウンターに通される。
カウンターだけの小さなお店。厨房に齢を重ねるお父さんとお母さん。外の看板に別格と謳われるラーメンをお願いしお冷でのどを潤す。
静かな店内に流れる音はパチパチパチジュー、カチャカチャカチャ、トントントントントンとお腹が鳴る心地よい音と「お忘れ物ないように」、「お気を付けください」、「お久しぶり」と丁寧で小気味よく柔らかな声。
おまちどうさまと配膳されるラーメンは海苔が添うてらてらと油膜はる琥珀のスープに大判のチャーシューと幅広のメンマに刻みの青菜と輪切の葱がみっちりと載る凛々しい顔。ひゃー、おいしそう。
いただきますとレンゲでズ。あつつのやさしく円やかな塩けに獣と魚介と野菜の旨みがギュンと詰まるイカす醤油のスープ。おいしい。やばいレンゲがとまらない。ひとしきりただ啜りおいしいに浸る。麺と具が取り残されて無くなる水面から顔を出す。
一息つき啜る細く縮れの手打風のほんのり柔めの中華麺。スープを纏い旨みとコクと共に喉を滑り駆け抜けるぱっつんの小麦
ほろほろと肉肉しいチャーシューの肉感と味が染む太めのメンマの噛み心地にシャキシャキとした青菜と葱もみんな主役。
楽しいラーメンの時間。麺と具を平らげて、丼を持ちスープを飲み干し、大きく息を吐き包まれるしあわせ。
活気と丁寧と気配りが満るこの空間で積み重ねた日常が詰まる古き良きに胡坐をかかない今時も滲むノスラー。
芳ばしい薫りを振りまくギョーザとかラーメンのスープで煮込まれたというカレーとかあれもこれも食べたいが膨らむ気持ち。またいつか。ごちそうさまでした。