東京メトロ日比谷線「築地」駅と東京メトロ有楽町線「新富町」駅の丁度間あたりに位置するのが、本日のコース「築地二丁目」。
ちなみに、観光地でもおなじみの築地場外市場は四丁目です。

実は築地二丁目エリア、戦前からの古民家が密集する、レトロ散策にはもってこいの場所。
二丁目から一丁目に向かう横断歩道の角地には、創業明治35年、今年で120年の節目を迎える「宮川商店」さん。職人さん下ろしたての鶏肉を購入できることから、開店中は行列ができ、芸能界からも絶大な支持を得ているこちらのお店も良い趣が。

回れ右をして、いざ路地の中へ。車が一台通るのがやっとというほどの道を彩るのは、年代を感じさせる古民家の数々。
いずれも内装をリノベーションしたり、外観も修繕を繰り返しながら今に至る歴史の重鎮たち。
そういった古民家を利用した飲食店もちらほらと。
この街の雰囲気を残そうとなさる皆さんの意気込みを感じます。
もしくは、解体して新しく建築する方が難しいような…。

さて、ここで小話を。
ご存知の方も多くいらっしゃる「東京大空襲」。第二次世界大戦において都内に甚大な被害をもたらし、銀座から日本橋にかけての一帯も焼野原となりました。
にもかかわらず、銀座から徒歩10分足らずの築地二丁目界隈には、戦前からの古民家がいまだに残っているんです。

それには、築地には外国人居留地があったからではないかという理由があります。

築地二丁目から徒歩8分ほど、町名は変わりますが、明石町には1901年に創立された聖路加国際大学病院があります。
こちらの病院を創設なさったのが、アメリカ聖公会宣教医師として来日したドクター・トイスラーさんです。
キリスト教の精神に基づいた理念をもつこちらの病院の周辺には、教会や来日した職員たちが宿泊されていた場所もあったため、この近辺は空襲を免れたのではないかと言われいるんです。
不幸中の幸い、だけでは終わらず、今に至るまで生き抜いてきたという猛者たちでもあるんですね。

さて、今回の目的地はそんな築地二丁目の路地裏にお店を構える「天まめ」さん。

美味しい寒天というのは勿論、東京都神津島産天草のみから毎日仕込んでらっしゃるほか、沖縄県波照間産100%の黒糖から作る水飴等不使用の黒蜜。さらには煮豆や粒あんなども全て自家製という拘りをもつお店です。
てきぱきと複数のコンロを牛耳る、お店の寒天のようにすっきりとした女将さんの接客が、朝から気持ち良い。
今回はお店の美味しいものがぎゅっと詰まった「天まめ」を。

お伺いするたびに聞ける材料や女将の拘り、それに伴う自然環境の変化等に耳を傾けるのもまた一興。

歯切れの良い弾力の寒天、ほっくほくのお豆たち、絶品のあんこと黒蜜…
口の中でひとつになる瞬間に思いを馳せながら帰路へ。

まだ帰りたくないと思うことが多い散歩ですが、家に帰るのが楽しみになるような散歩もありですよね。


天まめさんはテイクアウト販売のみですが、近隣にはベンチが設置された公園も点在しているので、築地散策のルートにも組み込んでみてくださいね♪