ナポリタン? いえいえ違います『二代目だるま本店』
メニューには焼きそばだけで約20種。定番のソース味のほか、カレーや塩、黒焼きそば、イタリアンなど味のバリエーションに驚く。「小麦の風味とコシの強さを味わってもらいたいので、あえて中麺と太麺を選んでいます」と店主の北條秀人さん。「ソバリタン」は、焼きそばソースとトマトケチャップの合わせ技。歯応えのある太麺に濃厚ソースが絡み、ボリュームもあるのでひと皿でも満腹に。
『二代目だるま本店』店舗詳細
生地を熟成させ二度焼きするピザ『RUHMATO(ルフマート)』
ガラスケースに並ぶピザは全6種類。全粒粉と有機栽培の小麦、天然酵母のサワードゥを使うことで、おだやかな酸味と小麦の香りがする良い生地になるそう。7~8割ほど焼き上げてからガラスケースで熟成させるため、生地の加水率を落とすことなく、しっとり&もっちり食感に。注文を受けてから具をトッピングして、仕上げの焼きを行う。ピザというより一皿のメイン料理を食べているかのような完成度だ。
『RUHMATO』店舗詳細
高崎っ子なら知ってるソウルフード『トリアノン群馬町店』
高崎では学校給食にも出されるバンズパン。菓子パン生地をビスケット生地で包んで焼いたもので、カリッとした外側はメロンパンのようかと思えば、ふんわりした内側は甘食のよう。切れ目を入れて、あんこやバターなどを塗るが、味噌が定番というのがローカルっぽい。各店でレシピが異なるが、この店では、バンズパン発祥の店といわれる「松浦パン」のレシピを継承している。
『トリアノン群馬町店』店舗詳細
門外不出のふっくらな焼き加減『ひょうたん山』
カウンター前の大きな鉄板で焼き上げるお好み焼きは、店主・岡本啓史さんの巧みなヘラさばきでふっくらと仕上がっていく。おいしさの秘訣を尋ねると「秘密」というお返事……。完成したお好み焼きはおよそ3㎝という厚さながら外はサックリ、中はふっくら、出汁の旨味もしっかり感じられる。秘密は分からずとも、唯一無二の味わいに、無心でかぶりついてしまう。
『ひょうたん山』店舗詳細
群馬が小麦大国たるゆえん
群馬県では夏に米を作り、冬に小麦を作る二毛作を行う農家が多い。赤城山麓一帯は排水性のいい関東ローム層の土地が広がり、日照時間が長く、山から吹き下ろす風により乾燥した日が多いなど、土壌・気候ともに小麦栽培に適しているのだ。2023年の農林水産統計をみると、小麦の収穫量2万2400t(全国7位)、栽培面積5330ha(全国8位)となっている。
こうした背景もあり、群馬県では古くから麦を使った郷土料理が作られ、独自の粉もの文化が発達してきた。このなかで高崎の粉ものグルメといえば、高崎パスタの名が上がる。
高崎パスタの起源は1968年までさかのぼる。この頃、東京や横浜ではスパゲティ専門店が次々と開業したが、高崎市では『シャンゴ』が開業。スパゲティの上にとんかつをのせ、ミートソースをかけたシャンゴ風や、ボンゴレのスープスパゲッティなどオリジナリティーのある料理が評判となり一躍人気店となった。
さらに『シャンゴ』で修業した料理人が独立し、新たなパスタ専門店をオープンするなど、高崎は瞬く間にパスタの街となっていった。群馬県自体、人口に対するイタリア料理店の数が多く、高崎市でパスタを扱う店は150店舗を超すという。
2009年、市内の飲食店がパスタの味を競う「キングオブパスタ」が開催された。当時はご当地グルメブームでもあり、大きな盛り上がりを見せ、高崎パスタは広く知られるようになったのだ。
取材・文=アドグリーン(塙 広明、千葉香苗) 撮影=新井鏡子
『散歩の達人』2024年10月号より