江戸期から続く小さな町の酒蔵『山形県河北町アンテナショップ かほくらし』[三軒茶屋]
雛とベニバナで江戸期より栄える河北町は、山形県のほぼ中央にあり、最上川支流に造り酒屋が2軒、健在だ。「もてなしの定番は、お茶と菓子より地酒と煮物・漬物です」と、支配人の高塚浩子さん。「あら玉」で知られ、山形産の酒米や麹菌にこだわる『和田酒造』の他、「県外流通の少ない『朝日川酒造』もコシヒカリやササニシキの原種・亀の尾の町内産で仕込む古酒が人気です」。米の香りを堪能したい。
『山形県河北町アンテナショップ かほくらし』店舗詳細
魚をつまみに味わう三陸沿岸の酒『三陸SUN』[東高円寺]
「都会の親戚宅をイメージしています」と、所長の福山陽平さん。大船渡市を中心に、青森・岩手・宮城の県をまたぎ、三陸地域の活性を目指す拠点だ。地酒は酒蔵から直で仕入れ、冬季限定どぶろく、地元青森でも希少な「七力」も並ぶ。作り手の思いとともに、地元の習慣話もお届け。「『酔仙』の『雪っこ』は、冬が来たと感じる酒です。甘くて飲みやすいけど、みんな足元から崩れていきますよ(笑)」。
『三陸SUN』店舗詳細
淡路島の酒米を一手に担う土地『日本橋室町すもと館』[新日本橋]
酒蔵があるのは淡路市だが、洲本市は淡路島屈指の米処。「(市内の)五色町の酒米も使うんですよ」と、店長の高木郁さん。島内に2蔵あり、まず名が挙がるのは「都美人」。タマネギに代表される、甘みの強い食材を用いた郷土料理にも調和する。「温暖な気候がそうさせるのか、人柄おだやか、酒はまろやかでやわらかい印象です」。島外では滅多に出回らない地元『千年一酒造』の酒も見逃せない。
『日本橋室町すもと館』店舗詳細
長崎でも手に入りにくい地酒揃い『有楽町 ひらど商館』[有楽町]
隠れキリシタンの聖地が世界遺産に認定される平戸。「南蛮由来の文化が最初に入ってきた地ですが、日本古来の神社や寺と共存しているんです」と、広報担当の豊池潤一さん。酒も然り。今も棚田で米作りし、酒米を栽培。北部・南部に酒蔵があり、西日本最古で日本最西端に立つ酒蔵『福田酒造』と、明治期創業の『森酒造場』がファンを二分する。限定流通の稀有な酒が揃い、うれしい限りだ。
『有楽町 ひらど商館』店舗詳細
博多を飛び出し、筑後の酒に注目!『ザ・博多 有楽町店』[ 有楽町 ]
博多といえば筑前国福岡藩の城下町。とはいえ、酒の主力は筑後・八女市のもの。「最近は博多にとどまらず、扱うエリアを広げていて」と、店長の藤嶋久美子さんは苦笑するが「博多の方が好む日本酒を押さえています」と胸を張る。焼酎文化が根強いにも関わらず、江戸期から日本酒が造られるのは、筑後地方が九州一の穀倉地帯で、酒米の産地ゆえ。博多で愛される日本酒と味を見つけたい。
『ザ・博多 有楽町店』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=小野広幸