繁田園本店
自社工場をもつ老舗茶舗の味を
阿佐ケ谷駅前、明るいパール商店街の先にある『繁田園本店』で、朝は焙じ茶だよねと急須でマイボトルに注ぐ朝一番。香ばしい味にホッとする。
「店頭で焙煎するんです」という女将さんの言葉がうれしい。JRの線路の向こう側の『うさぎや』でかわいらしくうさぎ万頭をお供に、東京給茶巡礼がスタート。
一福桃
旧街道散策のひといき処
中央線と山手線を乗り継ぎ、品川駅から京急に乗って新馬場駅。未だだ良き建築が点在する旧東海道の一隅に店を構える『一福桃』の、ウインドー越しにどら焼きの皮を焼く光景に釘付け。でもそれはお茶のお供さ。茎茶の概念を超える雁ヶ音棒茶をボトルに入れて、どら焼き・福かさねもいただき、甘みと品のある味わいと共に旧街道ちら見のひととき。
駿河屋 青野茶園
ビルの狭間の隠れオアシス
地下鉄浅草線直通の京急と三田線を乗り継ぎ、御成門駅から歩いての『駿河屋 青野茶園』へ。女将さんに珍しいそば焙じ茶をボトルに入れていただき、店舗が虎ノ門ヒルズ界隈にあった時代の昔話も伺うひととき。『田村町木村屋 アトリエ』のマドレヌの懐かしい味と、そば茶独特の風味を和らげる焙じ茶の優しさに、西新橋の来し方を思う。
お茶の秋山園 砂町銀座店
最強商店街の買い物に疲れたら
再度三田線の人となり、新宿線に乗り換えて西大島駅。しばし明治通りを歩けば砂町銀座のにぎわいの中だ。『お茶の秋山園 砂町銀座店』ご主人のイチ押し、茶師十段之茶をボトルに入れ、甘みと渋みの優雅な融合に人気商店街のにぎわいをしばし忘れる。でもすぐ並びの『水天宮たいあん』のたい焼きも忘れずに。
壽々喜園 浅草本店
外国人観光客も御用達の一杯
明治通りまで戻って、都バスを乗り換えて浅草到着。観音裏の『壽々喜園 浅草本店』で、名前通りに爽やかな甘みある煎茶・清澄の緑をボトルに入れてもらう。世界一濃い、藤枝抹茶ジェラート プレミアムNo.7の濃厚さと食感も楽しい玄米茶ジェラートが、予想外に緑茶に合うことを実感する。奥浅草という言葉も生まれた観音裏をゆるり漂うかな。
マルキク矢島園
アイデアマンの主人が選ぶ一服
日も暮れてラストスパート。地下鉄銀座線と山手線を乗り継いで、大塚駅の北口商店街にある『マルキク矢島園』に到着。ご主人が選んで作ってくれたスポーツグリーンティーの、鮮やかな緑と飲みやすさに驚く。
ラストのお供は、『ぼんご』のおにぎり! お茶とごはんは相思相愛ね。
都内各地に広がる給茶スポットとお茶Bar。その近所のおいしいお供は、街歩きをグッと盛り上げる。
取材・文=高野ひろし 撮影=佐藤七海(編集部)
『散歩の達人』2019年12月号より