日本はカレーに侵略されている
日本の国民食カレーは増殖している。もしかしたら、いや絶対にカレーは意志を持っていて、私のようにカレー愛の強い人を支配している。こうして徐々に日本を侵略しているのだ。前回、市販のカレー粉で「カレーハイ」を作ったとき、カレーを作っているのか、酎ハイを作っているのかわからなくなったのが良い証拠だ。
今回は懲りずに“スパイス”を使って、“カレー”を〇〇ハイにする。
「全てをハイにする」とは??
「全てをハイにする」は、自粛期間中に“買い出し”を楽しむために生まれた遊びだ。「何に焼酎を入れると美味しいか」を考えながら、スーパーやコンビニへ行き、家でオリジナルの“〇〇ハイ”を作るだけ。この遊びをはじめれば、いつもの売り場が輝いて見え、どこへ行くのも立派な散歩。少し視点を変えるだけで、心がハイになる。
「全てをハイにする」の基本ルールは以下。
ルール①焼酎に入れたら美味しそうなもので割って飲んでみる
ルール②食べ物を粗末にしない
スパイスの内訳は、ほぼ「カレー」
せっかく美味しいもの2つを掛け合わせるのだから、最高の「スパイスカレーハイ」が作りたい。肉や野菜を入れることは叶わないので、とにかく自分が好きなカレースパイスをかき集めてハイを作ることにした。
今回「スパイスカレーハイ」に入れたスパイスは8種類。必ずしもこれが美味しいというわけではないので、家にあるスパイスを入れよう。あえて、2、3種類にしぼって作ってみるのも面白いと思う。
<カレーハイのスパイス>※量は全て適当
・唐がらし
・カルダモン
・スターアニス
・クローブ
・クミン
・カレーリーフ
・コリアンダー
・ブラックペッパー
スパイスを焼酎に漬けこむのではなく…
焼酎にスパイスを漬ける方法もあるけど、思いついたときに好きなスパイスの配合で「スパイスカレーハイ」を作りたいので、今回は空炒りして香りを出すことにした。すぐ焦げてしまうので、要注意。
スパイスを軽くすりつぶしながら、焼酎と混ぜ合わせる。植物の種に乾いた葉っぱ、見た目は完全に子供のおままごとだが、こちとら大真面目。この工程に入る頃には、家中にスパイスの匂いが充満している。宅配便の人が来たら「(お、この家、カレー作ってるな?)」と思われるだろう。
体にいい味しかしない「スパイスカレーハイ」
スパイスを混ぜた焼酎を氷の入ったグラスに移し、炭酸を注ぐと……
できた。
見た目はすごく理想型に近い。が、味が漢方っぽい。うま味になる素材が少ないので当然の結果とも言えるのだが、最後に振りかけたターメリックが拍車をかけている。健康のための飲み物って感じがよくない。
作ったハイたちを飲み進めながら、「スパイスカレーハイ」の足りない何かを探す。おつまみは、南インドカレーによく付いてくる豆のせんべい“パパド”。
どんどん「カレー」の世界に飲み込まれていく
ふと思いついて、すりおろしたショウガを入れてみる。一口飲んだ瞬間、頭にエレクトリカルパレードの曲が流れた。スパイスの香りに生ショウガの爽快感がプラス。口に流れ込んでくるスパイスを奥歯で噛み締めると、広がる香りに脳がスパークする。ちょうどカレーと酎ハイと合いの子になっていて、非常に美味しい。
ここに、「スパイスカレーハイ」は完成した。
が、悔しい。
なぜ今、私はカレーが食べたいのか。カレーのことばかりを考えていたせいで、「スパイスカレーハイ」よりも「カレー」が恋しいのだ。
心も体も全てが「カレー」になってしまった。
今回は全てをハイにすることは叶わなかった。皆さんも「スパイスカレーハイ」を作るときは、気をつけてほしい。
<おまけ>他のスパイスハイも作ってみた
ついでに同様の手順でクミンハイ、カルダモンハイも作ってみた。クミンハイは香ばしくて麦茶っぽさがあり、特有の苦味が少し気になるが、クミン好きとしては合格点。カルダモンはスッキリ香って、レモンが合いそうな爽やか系のハイになった。
写真・文=福井晶