ビートルズ好き少年がたどり着いた場所
中学生のときビートルズの映画を観て以来、ビートルズにのめり込んだ。学生時代にはレコード店経営も経験した音楽狂は、なんとライブハウスまで作ってしまった。
当初はビートルズ専門だったが、世はバンドブーム前夜。新宿のライブハウス『新宿ルイード』と縁があったこともあり、瞬く間に若手注目株が出る人気のハコになった。「シーナ&ロケッツが出たときは400人入った!」と、河辺さんは当時の熱狂ぶりを振り返る。
日本ロックシーンに歴史を刻む場所ながら、今もビートルズサウンドを体感できる場所として多くのファンを集める。「2回引っ越していて、ここで3軒目。スピーカーや吸音設備など、やっとやりたいことができるようになりました」。メイヤーのスピーカーは低音がしっかり鳴り、一つ一つの音がクリアに響く。音楽もスマホで楽しめる現代にあって、この店が伝えるのは「演奏」の面白さ。奏でる側も聴く側も、生でビートルズを感じる喜びに浸れる。
「ぜひ一番前の席で観てほしい。バンドが一生懸命やってる姿を感じ取れるんです」。そう話す河辺さんの笑顔は、映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』に胸を熱くした中学生のあの頃と何も変わっていない。
取材・文=半澤則吉 撮影=小野広幸
※『Liverpool』は2020年6月に閉店しました。本記事は2019年8月取材当時の内容です。