気さくなマスターとのビートルズトークに花が咲く

それが突如不動産バブルの余波に巻き込まれ、店を手放すことに。店主の米田一郎さんは東京に出戻る形で高田馬場に出店することになった。

ビルの入り口から地下に降りていく階段の壁には、ビートルズをはじめとするロックスターのポストカードや写真が所狭しと飾られている。
店名に由来して、ジョン・レノンのソロやジョンがメインに映るポスターが飾られている店内。なかでもこのポスター(写真右)は貴重だそう。

「計画性がなく、なんとなく続けていたら高田馬場に25年、軽井沢時代から合わせると30年近くの時間が経ってしまいました。客層は40代以上の社会人が中心です。つまり、オープン当時学生だったお客さんがそのまま年をとったということ(笑)。土地柄か、昔から劇団員の人が多く、最近は外国人の姿もかなり増えました」

店内の雰囲気の参考にしたのは、ロンドン・アールズコートにある老舗パブ『トルバドール』だというこだわり。
米田さんがビートルズと同じくらい愛してやまないのが忌野清志郎。70年代後半、渋谷の街中で遭遇し、サインをもらったことがあるという。

『GLASS ONION』という店名から、マニア好みの通なお店を想像しがちだが、米田さんは所謂マニアとはひと味違うビートルズの楽しみ方を提案する。
「『GLASS ONION』という曲はジョンが曼荼羅に影響されて作ったのではないかと考えたり、『イマジン』はイングランドとアイルランドのことを思って作ったのではないかと想像したりすることが好きなんです。ビートルズを相対的、客観的に捉えて、その曲が生まれた背景を考えることに意味があるんじゃないかと思っていまして」

リヴァプールを訪れた常連客がポールの生家の前で拾ってきたという落ち葉。
米田さんは、かつてリヴァプール『キャヴァーン・クラブ』のステージに立ったこともある実力者。毎週水曜のセッションデーに加わることもある。

世界中のビートルズゆかりの地に足を運び、現地調査に基づいたさまざまな説を唱える米田さん。そのユニークな話を聞き、酒を肴に楽しいビートルズ談義に花を咲かせたい。

【Master’s Choice 1/213】I Am the Walrus
ジョン・レノンの生き方や歌詞のすべてに影響を受けているという米田さん。「この曲はビートルズ・ナンバーの中でもかなり重要な曲ではないかと思います。その後のロックをつかさどっていると言ってもいいかもしれません。とにかく、ジョンのシャウトがカッコいい。何度聞いてもしびれます」

取材・文=竹部吉晃 撮影=小野広幸

住所:東京都新宿区高田馬場1-17-18/営業時間:18:00~26:00/定休日:無/アクセス:JR・地下鉄高田馬場駅から徒歩5分
1982年夏、『国立Liverpool』がオープンした頃、東京にはライブハウスが20軒ほどしかなかった。そんな時代、大学卒業のタイミングでこのライブハウスを立ち上げたのが、マネージャーの河辺実さんだ。※『Liverpool』は2020年6月に閉店しました。本記事は2019年8月取材当時の内容です。
下北沢には20軒ほどのライブハウスがある。打ち込みサウンドが一世を風靡する今も、楽器を背負った若者の姿を見かけることができるこの音楽の街にあって、もっともビートルズ愛にあふれているのが『下北沢BREATH』だ。