天然温泉・糀料理・くつろぎのスペース。3つが融合した温泉施設

シンプルな黒い外観が目を引く。
シンプルな黒い外観が目を引く。

JR本庄駅からのバスを降りると、緑豊かで広々とした風景が広がる。古くからこの地で親しまれてきた「白寿の湯」が、『おふろcafé 白寿の湯』としてリニューアルしたのは2016年のこと。全体的に改装し、シンプルで清潔感のある施設として生まれ変わった。

エントランスに入ると、ふんわりとアロマの香り。「おふろcafé」というだけあって、どことなくしゃれた雰囲気が感じられる。

木や石など自然のものを生かし、落ち着いた色合いの内観。
木や石など自然のものを生かし、落ち着いた色合いの内観。

関東有数の源泉濃度!濃さが決め手の赤褐色のお湯

この濃い色!そして成分の堆積が千枚田のよう。
この濃い色!そして成分の堆積が千枚田のよう。

源泉は埼玉県の神流川(かんながわ)の流れを汲み、地下750mの古生層から湧出する濁った赤褐色のお湯。成分はナトリウム-塩化物強塩泉で、皮膚の脂肪分や分泌物が乳化して洗い流されるため、肌がつるつるになる美肌の湯。なめてみると海水と同じくらいのしょっぱさだ。

特筆すべきはその濃度。なんと温泉として認められる基準値の30倍の濃さで、温泉成分が吸収されやすい高張泉という特徴ももつ。このままの濃度だと湯あたりする人が続出するため井戸水で加水しているが、それでも関東トップクラスの温泉濃度を誇る。より高い効果が得られるのではと、ついつい期待してしまう。湯船の縁や床に結晶化した温泉成分が、まるで千枚田のように堆積しているのが濃さの証明だ。そのため床がゴツゴツしている。

見晴らしのいい露天風呂が最高!体の芯までぽかぽかに

山も近く、広々とした露天風呂。
山も近く、広々とした露天風呂。

目の前は山という開放的なロケーション。風が吹き抜けるのが心地いい露天風呂に浸かろう。温度が低めなので長くゆったりと楽しめる。赤褐色のお湯の上に白い湯気が立ち込め、ふわふわと広い空に上っていく。ぼんやり眺めているだけで慌ただしい日常を忘れ、心底リラックスできる。

熱いお湯に入りたい人は内湯にどうぞ。天然温泉が源泉に近い温度で楽しめる。

女性浴室限定ではあるが、糀入りの泥パックが無料。天然泥に含まれる鉱物「モンモリロナイト」が余分な皮脂を取り除いてくれる。顔につけると、温泉で温まった肌にぴたっと付き、少しひんやりして気持ちいい。15分ほどで洗い流すと、びっくりするほど肌がもちもちになった。いいことずくめの泥パックだが、パックをしながら湯舟に入ることはできないので注意すること。

糀入りの泥パック。肌がもちもちつるつるになる。
糀入りの泥パック。肌がもちもちつるつるになる。

桶の形のソファやハンモック。おしゃれな空間でくつろぎのひとときを過ごす

落ち着ける雰囲気のくつろぎ処。日差しもあたたかく入る。
落ち着ける雰囲気のくつろぎ処。日差しもあたたかく入る。

温泉に入った後は眠くなるもの。ごろ寝できる畳部屋でうたた寝もいいし、くつろぎ処でひと休みするのもいい。くつろぎ処の本棚には漫画と雑誌がいっぱいで、コーヒーやマッサージ機などが無料で提供されるのがうれしい。桶が埋め込まれたソファは、大人が2人でゆったり横たわれるくらいの大きさで、深さは湯船程度。桶の中にコンセントもあるので、スマホの電池を気にせずくつろげる秘密基地といった空間だ。そして窓際のハンモックに揺られると、また眠くなってしまう……。煩わしさから離れて、ゆったり贅沢な時間が楽しめる。

地元の食材を使った玄米と糀料理。テーマは「健康」

「寝かせ玄米の糀御膳 選べる肉・魚」1408円
「寝かせ玄米の糀御膳 選べる肉・魚」1408円

発酵食品や糀、地元の食材にこだわる健康をテーマにした食事処でお腹を満たそう。地元・神川町の「ヤマキ醸造」が造る無添加の醤油や味噌に、糀をブレンドした自家製の糀調味料を使った料理をはじめ、埼玉県産の地粉を使ったそばや地ビールなどメニューも豊富だ。

この日は「寝かせ玄米®の糀御膳 選べる肉」をいただいた。玄米は埼玉県産のキヌヒカリ。炊いた後に数日間寝かせる「寝かせ玄米」という独自の手法で炊いている。ぱさぱさしていたり固かったりする印象のある玄米だが、びっくりするほどもちもちしていてとてもおいしい。豚肉を塩糀に漬けることでとても柔らかくなり、糀の風味が味わい深かった。漬物や副菜がたくさん付くので、多くの品目が食べられるのも健康的だ。

地元の名産品や、全国から取り寄せた調味料などがたくさん。
地元の名産品や、全国から取り寄せた調味料などがたくさん。

最後にお土産処に寄っていこう。「ヤマキ醸造」の商品である味噌や醤油、発酵食品、地元の野菜など地産地消を考えた土産物がずらりと並ぶ。全国から取り寄せたこだわりの醤油や日本各地のサイダーのほか、寝かせ玄米®のレトルトパックもあり、ここならではの充実した品揃えだ。体にいいお土産をたくさん買って、丸一日楽しめる施設だった。

廊下には絵馬を結べるスポットがある。
廊下には絵馬を結べるスポットがある。
住所:埼玉県児玉郡神川町渡瀬337-1/営業時間:10:00〜23:00(最終受付22:30)/定休日:無/アクセス:JR高崎線本庄駅からバス30分の下渡瀬朝日工業前下車徒歩1分

取材・⽂=ミヤウチマサコ 画像提供=おふろcafé 白寿の湯