巣鴨・駒込の基礎知識
おばあちゃんの原宿ともいわれる巣鴨。巣鴨地蔵通り商店街には和食や和菓子、赤パンツといったおばあちゃん好みの店舗が並ぶ。とげぬき地蔵ともいわれる髙岩寺には、病気平癒の御利益が期待できる洗い観音があり、ここもおばあちゃんたちの目的地の一つ。
国道17号の北側は、本妙寺や善養寺などが立ち並ぶ寺町。明治時代に開設された染井霊園には、多くの著名人が眠っている。ここはかつて染井村と呼ばれていて、この地が発祥というソメイヨシノにも「染井」の名が残っている。
駒込は都心とは思えないほど閑静な住宅地。この雰囲気にぴったりな大名庭園の六義園も見逃せないスポットだ。
1 眞性寺
中山道の旅人を見守ったお地蔵様
元和元年(1615)に中興した古刹。本堂前に鎮座する高さ2.68mの地蔵は、江戸六地蔵の一つで、地蔵坊正元が15年をかけて造立。6月24日の「百萬遍大数珠供養」では全長16mの数珠を100人以上で回して願をかける。
2 巣鴨地蔵通り商店街
おばあちゃんたちの原宿
全長約780m、約200店舗が軒を連ねる商店街で、髙岩寺参詣の人向けと、地域密着型の店舗が混在している。塩大福やもなかに代表される和菓子、洋菓子、話題のパン屋など、名物店がいっぱいだ。赤パンツをはじめとした、年配者向けの衣料品店が多いのも特徴。4の付く日はとげぬき地蔵の縁日。
福島家
あんこが絶品!一家相伝の味を守る
創業160年超えの老舗和菓子店。江戸時代の和菓子の文献をもとに作る、季節の上生菓子1個350円が看板商品だ。手間をかけて作った上品なあんこを楽しもう。喫茶コーナーは、和洋の軽食メニューも豊富だ。
八ツ目や にしむら
炭火で焼いてふっくら香ばしい
大正15年(1926)創業のうなぎ専門店。創業当時からの秘伝のタレで焼いたウナギは香ばしくて、フワッとした食感。うな重定食3200円〜。目の疲れや滋養強壮などに効くという八ツ目ウナギは入荷時のみの販売。
3 髙岩寺(とげぬき地蔵)
延命地蔵菩薩の「霊印」が本尊
江戸時代、誤って針を飲み込んだ女性に本尊を印じた紙札「御影」を飲ませたら、針が御影の地蔵尊影を貫いて出てきたのがとげぬきの由来。境内には水をかけてお参りする洗い観音も。
4 猿田彦大神庚申堂
庚申信仰を伝える猿が鎮座する堂
文亀2年(1502)に庚申塔を造立したのが創祀といわれる。庚申塔とは庚申様を信仰する講の人々が立てた石塔のこと。庚申様の「申」は猿のことで、神を先導した猿田彦大神と結びつき、案内の神として祀られるようになった。台座には三猿が刻まれている。
5 善養寺
迫力満点の閻魔様は江戸三大閻魔
天長年間(824〜834)に上野山内に創立したと伝わり、明治45年(1912)に現在地に移転。運慶作と伝わる高さ約3mの木造閻魔像が鎮座する。堂内は暗いが、近づくとライトアップされる。
6 本妙寺
遠山の金さんが眠る古刹
天正18年(1590)、徳川家康の江戸入封に伴い、駿河(現在の静岡県)から移転。明暦の大火の火元ともいわれ、境内には供養塔が立つ。遠山の金さんや千葉周作の墓がある。
7 染井霊園
桜の古木に包まれる歴史ある霊園
明治政府の神仏分離によって神葬者の墓地を確保するために、明治5年(1872)に神式墓地として開設。同7年に東京府の公営共同墓地になった。彫刻家の高村光太郎や作家の二葉亭四迷、思想家の岡倉天心などが眠る。
8 六義園
美しい庭園を彩る四季の花
徳川5代将軍綱吉の側用人・柳澤吉保が自ら設計した回遊式築山泉水庭園。日本や中国の古典にちなんだ名勝が造られている。園内のシダレザクラは高さ約15m、幅約20mに及ぶ大樹。紅葉の名所としても知られる。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より