秋津の「武蔵家」でラーメン並。
JR武蔵野線の新秋津と西武池袋線の秋津の乗り換えであっちにこっちに向かう歩行者で溢れる通りのすこし新秋津寄りのあたり。
保谷駅前にある「初代常翔家」の2号店の「二代目常翔家」が入っていた跡地に2020年7月にオープンした「武蔵家」の秋津店。
新中野系「武蔵家」出身の「常翔家」から新中野系「武蔵家」への場所。
無性に家を欲する週末。なんとなく気になっていたここに向かう土曜日の昼下がり。
行き交う歩行者の流れを横目に赤い看板に白字で「武蔵家」を確認しこんにちは。
厨房を囲うアクリルの衝立で仕切られるL字のカウンター9席程の小箱。券売機でラーメン並をポチとして「麺を少し柔らかめで」と伝え席に着く。
「ご飯食べます」と聞かれ大丈夫ですと伝えると「後からでも言ってください」と柔らかな接客のパリとした兄さん。
ライス食べ放題の武蔵家の系譜。高台にキュウリの漬物。キュウリで1杯、汁で1杯と食べれたライスも昔の話し。
麺を大鍋に泳がして、ゆったりとした所作でチャーシューを切る店主。丼にタレと黄金の鶏油を注ぎ、頃合いで大きな寸胴から汁を漉して注ぎ、平ザルで麺をすくいパンパンパンと小気味よく湯切りをし、具をのせてお待ちどうさま。
高台からそろりと下すと泡立つ茶濁の汁に海苔とほうれん草とチャーシューが鎮座する正統派の家な顔。ふわり薫る豚骨臭。お腹が鳴る。
胡麻を擦り箸とレンゲをつかみいただきます。ズと啜る汁。円やかでいて潜む獣のインパクト。鶏油のこくとねっとりべたつく塩気のほんのり強い汁。
おいしい。
引き摺り出す麺は細めの平打ちではない四角の断面の黄色い酒井製麺。纏う汁と共に喉を駆ける滑らかなむっちりみっちりな麺。
おいしい。
たっぷりと汁が染む海苔で麺を巻き頬張り、ほうれん草を巻き頬張る家でのルーチン。かぶり付くチャーシューはムギュっと肉汁と沁みる汁が口の中に溢れる旨みが染み出る肉。
途中ふり掛けるブラックペッパーで締まるラーメン。しっかりと汁まで飲み干してごちそうさま。
先客一名の店舗にぽつぽつとお客。その一人一人に「ご飯食べます」とやさしく問う店主。隣に座るお一人様の女子が「油すくなめ味こいめ麺かため」と手慣れたオーダー。
こんな雰囲気が滲む秋津が好き。