JR山手線「巣鴨駅」を出て国道17号の現中山道を北へ進みます。すこし歩くと左手に”巣鴨地蔵通り商店街”のアーチが立つ分岐路があります。この通りが江戸時代の旧中山道にあたります。
巣鴨地蔵通りは”おばあちゃんの原宿”と呼ばれたりもします。昔ながらの婦人服や子供服などを扱うリーズナブルな衣料品店が多くあり、たくさんの年配の方が訪れてきたためにそのような愛称が定着したのでしょうか。
すこし進むと塩大福で有名な和菓子屋さん「みずの」さんがあります。せっかくですので自宅でゆっくりと味わおうと思いお土産として購入しました。甘すぎず塩気がアクセントとなったあっさりな味わいは飽きが来なくてお茶うけにピッタリ。季節に応じて塩加減を調整する職人さんの手腕に敬服です。
さらに通りを進むと右手にとげぬき地蔵で有名な高岩寺の朱色の門が現れます。参詣の方々が境内にたくさんいらっしゃいました。とげぬきだけでなく病気治癒全般のご利益があるそうで、そういったところもご高齢の方々からの信仰が篤い理由かもしれません。毎月4が付く日に縁日が催されてさらに盛況となります。
巣鴨のとげぬき地蔵の繁盛ぶりは江戸時代の五街道沿いにあったことが一因だったのだなーと思ったのですが……じつはこの地に高岩寺が移転したのは明治になってから。巣鴨の地蔵といえば当初はいまの商店街の巣鴨駅側入口そばにある真性寺の江戸六地蔵を指していたようです。
現中山道(国道17号)はいまはすっかり主要幹線として現代的な商業地となっています。それに比べてひとつ横に入った旧中山道の商店街の方は生活用品を扱う雑貨店、喫茶店や八百屋さんなど地元密着型の昔ながらの小規模なお店や個人商店のような店舗も多く軒を連ねている印象を受けました。実際、商店街から横の路地に入れば住宅も数多く、生活感のある街並みです。
過度に商業化や観光地化されずに、なんだか落ち着くのんびりとした雰囲気が漂います。昭和後期の商店街の風情が息づくこの通りの良さが住民の生活とともにいつまでも残っていけばいいなーと感じました。
商店街をゆっくりとお散歩気分で歩いて行けば、巣鴨庚申堂に出て、その先は都電荒川線「庚申塚駅」になります。木材を利用した造作がレトロな駅舎で都電を待って乗り込みました。古風な都電のサウダージな乗り心地がこの通りと街の独特な空気感をいっそう引き立たせてくれます。
巣鴨地蔵通りはおよそ800m。徒歩にすると10分程度です。さすがにそれだけですと散歩には物足りない。近くにある染井霊園は桜の名所ですし谷崎潤一郎や芥川龍之介などの文学者のお墓も多くあります。また大名庭園として国の特別名勝にも指定されている六義園も徒歩圏内ですので併せて歩いてみて楽しめるのもいいのではないかなーと感じました。
●巣鴨地蔵通り
所在地: 東京都豊島区巣鴨4丁目