かつての賑わいを取り戻しつつある築地場外市場。
久しぶりに制限の無い年末ということもあり、国際色豊かな活気、そしてお財布の紐が飾りになってしまう魔法が絶好調なこの場所には、ちょっと不思議なカフェがあるのをご存知だろうか。
築地場外市場の氏神様、波除神社のほど近く。
松村さんのかつお節の薫香と隣り合うのが、豊かな観葉植物に囲まれた、ヴィンテージライクなテイストがキラリと光る「國助COFFEE」さん。

常時複数の種類から珈琲豆を選ぶことができる上に、美味しいスイーツや軽食をいただくことができる素敵な空間。
築地の魅力は幅広い。
國助COFFEEさんの特徴のひとつに、ブレンドコーヒーだけではなく、その日ラテに使用する豆の種類も日々変えるという拘りも。どんな豆を使用しているかは、直接お店の方からお伺いすることも可能だが、インスタグラムにも日々掲載されているので要チェック。

この日はブラジルのガシュペクラシコ。クセがなく、チョコレートが好きな方にもオススメとインスタグラムに投稿されていたように、口内の隙間を埋めてくれるような馴染みの良い口当たり。
確かに深みと苦味、香ばしさを感じられるが、その一歩手前で、牛乳の乳脂肪分と非常に親和性の高い甘味のような軽やかさが漂う。なるほど、チョコレートがお好きな方にも、というのも納得。
フォームミルクもたっぷりながら、バランスの取れたカフェラテなので満足感も高い。個人的には、お砂糖無しでぜひ味わっていただきたいラテでした。

「築地場外市場」らしさというものは、何を言うのだろう。
新鮮な魚介類、海の香り、威勢の良い声、人混み、喧噪…それらを全身に浴びられるのはお昼過ぎまで。
いわゆるおやつの時間になると、築地場外市場は静まり返り、明日へ向けて眠りにつく。
日没後の築地場外市場は、営業している店舗もちらほらあるものの、その灯りのゆらめきは、まるで巨大な怪物がすやすやと眠りについているように私は感じる。

夕闇にぼんやり浮かび上がる波除神社しかり、真っすぐ歩くことができないような異界にて、怪物の脇を通るような心細さを携えるような緊張感。まさしく「逢魔が時」と呼ぶに相応しい光景。
けれど、國助COFFEEさんへ一歩踏み入れたらもう平気。
どこかミステリアスなのに温かい空間で、肩の力をそっと下ろして。

築地場外市場らしい、とはいえないかもしれないけれど、築地場外市場にあるからこそ、誰かに教えたくなるような國助COFFEEさん。
ローカル民ならではのチルタイムを、ぜひ味わいにきていただければ。