森下と両国の間の「喫茶ランドリー」でくつろぐ。
海の日から始まる夏休み。も、妻は仕事、息子は部活のぼっちの休日。なにしようかと思いを巡らす休前日。
ふいに頭を過るグランドレベル。そうだ遠足しようと墨田区にある「喫茶ランドリー」に行くと決める水曜日。
ピーカンの海の日に西武線、東西線、都営新宿線と乗り継ぎ西から東へ。
森下駅で降り、A2の出口を昇り、歩く路地。照り付ける太陽に襲われて吹き出る汗をぬぐいながらゆっくりと歩く。
水道局のある角を曲がりたぶんこの先。人影まばらな路地に現われるwebや書籍で見慣れた1階。
道路に置かれるあのフォントの「喫茶ランドリー」の置き看板にやって来たぜと扉を開ける。
いらっしゃいませとカウンターのお姉さんズに迎えられる。お好きな席にどうぞと導かれ、アイコンの家事室と呼ばれる場所に並ぶ洗濯乾燥機の前の席に座る。
財布を持ち向かうキャッシュオンデリバリーのカウンター。注文は自分で注ぐクラフトビール一択。グラスを受け取り4種のタップから「夏にぴったりすっきりした味」と書かれる「サマーエール」に決めてタップを捻る。
グラスを傾けながらぎりぎりまでしっかり注ぐ貧乏性。少し溢れ手に掛かりながらもそろりそろりと運び、座り、いただきますとぐび。すっきり爽快な喉越しのペールエール。うまい、生き返る。
目の前でくるくると回る洗濯乾燥機に感じる日常。
ちいさいこどもを連れるファミリーにわんちゃんと共にのカップルと一人で寛ぐ女子が思い思いに過ごす場所。
アイロンとミシンとおもちゃと絵本が置かれ、自由に読める中古の本に中古のレコードが並び、カッコいい子供の服が売っている。
屈む棚の隙間に雑然と積まれる分厚いバウハウスにコルビジェの本を見つけパラパラと捲る余白ある時間。
コンクリートが剥き出しの天井にぶら下がり並ぶ金魚鉢のような笠の灯りが灯る店内はブルックリンのそれなよう。行ったことはないけれど。
道路に面する場所にある半地下のスペースのあの椅子に沈むはたぶん最高だろうなと沈む先客に指をくわえ眺める。
食べ物や飲み物を運ぶ毎におこちゃまにわんちゃんにやさしく笑顔で会話のお姉さんズ。
老若男女に向けランダムに選曲されるミュージック。緩やかで穏やかが流れる時間。なんだろうずっといたくなる場所。
訪れるパンを握りしめた女の子とお母さん。すいません持ち込みでに笑顔で気にしないでと迎え入れる。
田中さんを知らなければ洗濯機のある喫茶店。ただこの懐の広さを醸し出すのは理念の元この場所に愛着を持ち楽しげに働くこのお姉さんズだと確信する。
『どんなひとにも自由なくつろぎ』。
のんびりくつろぎ席を立つ。なんだか楽しいが滲む笑みのお姉さんズに見送られ真夏に戻る。ごちそうさまでした。
あらためて見つめる看板のロゴのランドリーの「リ」が「ソ」に見えるに共感する左きき。