素朴でシンプルながら弾ける旬の香りに目を見張る『お茶とおやつ ヨウケル舎』[千歳船橋]

季節のフルーツタルト(モモ)770円とヨウケル舎はなやかブレンド580円。
季節のフルーツタルト(モモ)770円とヨウケル舎はなやかブレンド580円。

「季節を味わってほしくて」と、完熟具合を日々見極める店主の丸永洋子さん。なかでも人気はタルト。一見素朴ながら、ディプロマットクリーム、サワークリーム&生クリーム、果汁を吸い込むスポンジが重なり、舌の上で広がる旬の甘みにうっとり。特注の、はなやかブレンドのフルーティーさが寄り添うよう。また、カリッ、しっとりのスコーンは2種のお供を選んで。自家製の梅ジャムなら香りが口中でパッと花開く。

梅ジャム、生クリーム添えのさっくり全粒粉スコーンプレート700円、自家製アイスチャイ650円。
梅ジャム、生クリーム添えのさっくり全粒粉スコーンプレート700円、自家製アイスチャイ650円。
右から片岡さん、丸永さん、スタッフの大野さん、羽鳥さん。
右から片岡さん、丸永さん、スタッフの大野さん、羽鳥さん。
使う果実は季節で替わり、テイクアウト客多し。
使う果実は季節で替わり、テイクアウト客多し。
年配紳士も通う。
年配紳士も通う。

『お茶とおやつ ヨウケル舎』店舗詳細

住所:東京都世田谷区経堂4-7-8/営業時間:12:00~18:30LO/定休日:月/アクセス:小田急電鉄小田原線千歳船橋駅から徒歩2分

商店街に潜む街なか山小屋で和む『喫茶PONY』[経堂]

キャロットケーキ、NYチーズケーキ各450円、ホットコーヒー550円、アイスカフェオレ650円。
キャロットケーキ、NYチーズケーキ各450円、ホットコーヒー550円、アイスカフェオレ650円。

壁一面に描かれた夜の湖は、まるで絵本から飛び出したよう。絵本と山を愛する西宮順平さん、小村恵美さん夫妻は「階段を上がると静かで、山に行った時と同じ感覚になれるんです。そして山小屋といえば、カレーとコーヒー」と、オレンジの皮入りドライカレーとフルーティーなケニアを看板に据えた。さらに、ニンジン好きの恵美さん手製の素朴なキャロットケーキも評判。ニンジンのやさしい甘みにもホッコリする。

ドライキーマカレーのランチセット1180円は自家製ドレッシングのサラダ・ドリンク付き。
ドライキーマカレーのランチセット1180円は自家製ドレッシングのサラダ・ドリンク付き。
2階にあり。
2階にあり。
絵本や雑貨にはお客さんの寄贈品も。
絵本や雑貨にはお客さんの寄贈品も。
西宮さん作の壁画の前で、左から古宮さん、西宮さん、恵美さん、鈴木さん。
西宮さん作の壁画の前で、左から古宮さん、西宮さん、恵美さん、鈴木さん。

『喫茶PONY』店舗詳細

住所:東京都世田谷区経堂1-6-10 木原ビル2F/営業時間:10:30~(月は~16:00、木・金は~21:00、土は~20:00、日・祝は~18:00)/定休日:火・水/アクセス:小田急電鉄小田原線経堂駅から徒歩4分

手網焙煎コーヒーと楽しむ静かなひととき『クルミ堂』[経堂]

レトロプリン320円、ネルドリップのコーヒー520円(アイスは+50円)。
レトロプリン320円、ネルドリップのコーヒー520円(アイスは+50円)。

古い民家の2階の心和む店内を彩るのは、店主・小島寛子さんの夫が手作りした木造家具、息子が描いた絵、姉作の東アフリカの布雑貨。入り口脇には焼き菓子がずらり。旬味のマフィンは生地本体こそ甘さ控えめだが、甘酸っぱさ、まろやかさなど、かむたび食材の持ち味が口の中で存在感を示し、楽しい。人気の蒸し焼きプリンはむっちりなめらか。手網自家焙煎の苦味が効いたコーヒーにぴったりだ。

キウイ&サワークリームマフィン430円、シュガーレーズンスコーン(ホイップ付き)340円、自家製シロップの梅ソーダ620円。
キウイ&サワークリームマフィン430円、シュガーレーズンスコーン(ホイップ付き)340円、自家製シロップの梅ソーダ620円。
テイクアウト可。ラスクもあり。
テイクアウト可。ラスクもあり。
小島さん。
小島さん。
看板を頼りに2階へ。
看板を頼りに2階へ。

『クルミ堂』店舗詳細

住所:東京都世田谷区宮坂3-45-2 2F/営業時間:12:00~18:00/定休日:不定/アクセス:小田急電鉄小田原線経堂駅から徒歩8分

老舗喫茶の午後に欠かせぬおやつ『珈琲屋 それいゆ』[祖師ヶ谷大蔵]

自家製のパンプキンパイ300円、ダッチコーヒーアイス500円。
自家製のパンプキンパイ300円、ダッチコーヒーアイス500円。

1滴1滴水が落ち、8時間かけて抽出するダッチコーヒー。「初めて飲んだ時、くっきりクリアで後から香りがふくらんでね。以来、ホットもアイスもこれ」と、店主の鈴木正一さん。焙煎が深いアイスコーヒーでゼリーも作り、ロンググラスで供する美しいパフェにもたっぷり。また、ケーキも人気。カボチャを粗く潰したパンプキンパイは上品な甘さで、タルト生地に忍ばせたゴマの香ばしさにも頬がゆるむ。

パフェのモカフロスティ730円。
パフェのモカフロスティ730円。
4台の専用機でホット用とアイス用を抽出。
4台の専用機でホット用とアイス用を抽出。
「お疲れさま」と朗らかに声をかけるママの裕子さん。1969年創業以来、夫婦で営み、洋食ファンも多い。
「お疲れさま」と朗らかに声をかけるママの裕子さん。1969年創業以来、夫婦で営み、洋食ファンも多い。
看板もかわいい。
看板もかわいい。

『珈琲屋 それいゆ』店舗詳細

住所:東京都世田谷区祖師谷3-32-15 2F/営業時間:9:00~17:00/定休日:無/アクセス:小田急電鉄小田原線祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩1分

専門店が本気を出したコーヒースイーツ『ローキートーン珈琲店』[祖師ヶ谷大蔵]

ドリンクとおみやげが選べるかおるコーヒーゼリーセット1100円。写真は水出しとコーヒー豆50g。夏季限定。
ドリンクとおみやげが選べるかおるコーヒーゼリーセット1100円。写真は水出しとコーヒー豆50g。夏季限定。

店内はコーヒーの香りが濃密。ブレンド16種、ストレートは焙煎違いを含め30種余り揃え、自家焙煎豆を求める人がひっきりなし。穴蔵感が妙に落ち着く4卓だけの狭小喫茶では夏、フレンチローストのコーヒーゼリーセットを。コーヒーとWで味わっても胃もたれはなく、クリアなビターを満喫。秋はコーヒー粉を散らしたカフェオレプリン、エスプレッソが染みたティラミスでコーヒーの表情を楽しんで。

夏季のぷるぷるゼリーカフェオレ580円。
夏季のぷるぷるゼリーカフェオレ580円。
右から代表の山村さん、広木さん、澤登さん。
右から代表の山村さん、広木さん、澤登さん。

『ローキートーン珈琲店』店舗詳細

住所:東京都世田谷区砧6-37-6 1F/営業時間:11:00~19:00(喫茶は~18:00)/定休日:月(祝の場合は営業、翌火休)
/アクセス:小田急電鉄小田原線祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩1分

スイーツや音楽に心奪われる甘美な時間『F*GICCO(エフ ジッコ)』[成城学園前]

ケーキは750円~で、写真はバナナカスタードパイ、杏キャロットケーキ。自家焙煎コーヒー650円。
ケーキは750円~で、写真はバナナカスタードパイ、杏キャロットケーキ。自家焙煎コーヒー650円。

ショーケースを埋めるのは、見目麗しきスイーツ約10種。人気のバナナカスタードパイはバナナが想像以上に芳醇で、クリームのなめらかさ、みずみずしさにも心躍る。そこでひと口、コーヒーを。マチュピチュで手摘みした無農薬生豆を自宅で焙煎し、クリアなフルーティーさだ。店主の藤川あおいさんはかつて暮らしたクロアチアの料理を出すことも。ライブも催し、多様なカルチャーに陶酔する。

日替わり料理1850円~で、写真はクロアチアのパプリカの肉詰め。自家製北海道小麦パン、サラダ付き。
日替わり料理1850円~で、写真はクロアチアのパプリカの肉詰め。自家製北海道小麦パン、サラダ付き。
藤川さんの姉と営む。
藤川さんの姉と営む。
DIYで欧州カフェ風に。松任谷正隆氏も通う。週末ライブは予約が確実。
DIYで欧州カフェ風に。松任谷正隆氏も通う。週末ライブは予約が確実。

『F*GICCO』店舗詳細

住所:東京都世田谷区成城2-12-11石井ビル1F/営業時間:12:00~18:00/定休日:不定/アクセス:小田急電鉄小田原線成城学園前駅から徒歩4分

取材・文=林 さゆり 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2024年9月号より

「何があるか」と聞かれたら、いろいろありすぎてよく分からん経堂の街。実際、おいしいお店を巡るとか、広く浅くでも十分楽しめる。けれど、ちょっと深入りしてみたら、また違う景色が見えてくるかもしれない。
最近の千歳船橋は散歩しがいがある街に変わった。以前は事務所やチェーン店だった場所、住宅地の方にも個人店が増え、し・か・も! 何やら甘い香りが……。甘党も喜ぶチトフナの今をご案内。