2021年10月にオープン。店名の”グミ”は、もちろんあのお菓子から

『MarcoPolo Gumi』があるのはパル商店街の中。角の店舗だ。
『MarcoPolo Gumi』があるのはパル商店街の中。角の店舗だ。

高円寺だけでも『MarcoPolo』と名がつくグループ店は全部で3つある。その中でいちばん新しい店舗が『MarcoPolo Gumi』だ。“Gumi”はお菓子のグミ。命名理由は若い世代にとって親しみがあって、音がかわいいから。

高円寺と下北沢にある『MarcoPolo』の系列店は店それぞれにカラーがある。『MarcoPolo Gumi』で販売するのは、今流行のスタイルを意識したものと話すのは店長の山之口華緒里(やまのくちかおり)さん。ところが、その品揃えの中には大人世代にとって見覚えがあるアイテムがたくさんある。

マネキンが着ているインナーのウサギには見覚えがあるはずだ。
マネキンが着ているインナーのウサギには見覚えがあるはずだ。

「このお店で今、注目しているのはY2Kファッションです」。山之口さんはいわゆるZ世代だが、彼女たちが今注目しているY2Kとは、2000年代のこと。つまり『MarcoPolo gumi』には、2000年代にはすでに大人だった世代にとって、青春時代を彩った数々のブランドが並んでいるというわけだ。

どのブランドも今も精力的に新作を発表しているが、やはり当時のデザイン、シルエットは懐かしい。これが古着として新しいし、流行しているといわれると、当時ブランドファッションに憧れていた世代としては、新鮮さと同時にどこか気恥ずかしい気持ちが入り混じる。

一つひとつアイテムを手に取ってみると、ブランド名が明記されているものが多いのに気が付く。

憧れていたあのブランドも古着として再注目

例えば『ミチコ ロンドン コシノ』。大胆な色使いと大きなロゴマークが印象的なこのブランドは結構入荷があるとのこと。

『HYSTERIC GRAMMER』のジャケットも、背中のロゴが印象的。今も全く違和感なく着られそうだ。

メンズのアイテムには『ナイキ』『ハンテン』『アディダス』など、スポーツブランドやアウトドアブランドのブルゾンやスウェットがたくさん並ぶ。もちろんレディースもメンズも男女問わず買っていく人が多いのだとか。

2000年代は80年代のDCブランドブームの余波が大きく、また裏原宿にはアパレルの店舗が立ち並び、ストリートカルチャーも注目されていた。ふと手に取ったアイテムは『ア・ベイシング・エイプ』。さすがになかなかの値段がついていた。

レディースは2021年から、ミニスカートやショートパンツにロングブーツを合わせるスタイルも再び流行中。厚底靴などを履いていた世代にも、馴染みのあるアイテムが並んでいるのも納得だ。

店長の山之口華緒里さん。手にしているのはアメリカの大学フットボールチームのスウェット。
店長の山之口華緒里さん。手にしているのはアメリカの大学フットボールチームのスウェット。

もともと山之口さんは下北沢の系列店で働いていて、『MarcoPolo Gumi』がオープンするとともに高円寺での勤務を開始。

「下北沢は、若い人が多いので、カジュアルで低価格な古着を扱うお店が多いと思います。高円寺は、どの古着屋さんもお店のセレクトにバイヤーさんたちのこだわりが現れていて、値段もそれなりに高価です」と、古着屋の多い街、高円寺と下北沢の違いを話す。

『MarcoPolo Gumi』は、若い世代に向けたアイテムが多いため、比較的低価格のアイテムが揃う。山之口さんが、これは高い方だと見せてくれたスエードのコートが1万8000円ほど。ニットは5000円前後、スウェット類は3000円台が主流とお財布にやさしい価格のものが多い。あの頃は買えなかったブランドや馴染みのあるアイテムで冒険するにはもってこいだろう。

スエードのコート。裏地とのコンビがかわいい。
スエードのコート。裏地とのコンビがかわいい。

Z世代にとっては、手が出しやすいトレンドアイテムが揃う『MarcoPolo Gumi』。2000年前後にファッションに敏感だった世代にとっては、懐かしいアイテムに出会える。あの頃、買えなかった憧れの品もあるかもしれない。

クローゼットにどうしても捨てられないお気に入りが眠っている人は、2020年代らしく着こなすヒントを求めて、足を運んでみるのもおすすめだ。

住所:東京都杉並区高円寺南3-57-9 青木ビル1階/営業時間:12:00〜20:00/定休日:無/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩4分

取材・撮影・文=野崎さおり