アットホームで居心地のいい、暖かなビートルズカフェ

「中学生の頃からビートルズが好きで、彼らの音楽や誰もやらないことをやるというセンスに影響を受けてきました。お店を始める際、最初にイメージしたのはジャズ喫茶だったのですが、せっかく自分のお店をやるなら、ずっと好きだったビートルズへの愛をさりげなく感じられるお店にしたいと思って」

角地で花壇のあるお店にしたかったという店主。オシャレな玄関で、女性客も入りやすい。
角地で花壇のあるお店にしたかったという店主。オシャレな玄関で、女性客も入りやすい。

店内には、自身のコレクションだというビートルズの本やCD、楽器が大量に飾られており、ファンにはたまらない空間となっているが、この店のもうひとつのこだわりが、ウッディな内装である。床やカウンター、テーブルからイスにいたるまですべて木製で統一されており、さながらログハウスでくつろいでいるような気分にさせてくれる。

市村さんのビートルズ・コレクションに加え、常連客の私物もあり、ビートルズ一色ではないのも、この店の特徴のひとつ。
市村さんのビートルズ・コレクションに加え、常連客の私物もあり、ビートルズ一色ではないのも、この店の特徴のひとつ。
店内にはエピフォンのギターとへフナーのベースが展示されているが、柱の中にディスプレイする方法がオシャレ。
店内にはエピフォンのギターとへフナーのベースが展示されているが、柱の中にディスプレイする方法がオシャレ。

「木のぬくもりが感じられる独特な世界観を出したくて、店内はウッディなインテリアにこだわりました。客層は20代から70代まで幅広く、ビートルズ・ファンに限らないので、一日中ビートルズだけを流しているわけではないんです。でも、このお客さんはビートルズ・ファンかなとわかるときは、ビートルズを流します。この仕事をやっていると、だいたいわかるようになってくるんです(笑)」

店内で見つけたレアなビートルズ・マトリョーシカ。ジョン、ポール、リンゴ、ジョージという順番が面白い。
店内で見つけたレアなビートルズ・マトリョーシカ。ジョン、ポール、リンゴ、ジョージという順番が面白い。
「お酒の扱いは向いていないのであくまでも喫茶店というスタンスにこだわりたい」というが、飲み物のほかフードも豊富で、かつ市村さんのオリジナルメニューだ。
「お酒の扱いは向いていないのであくまでも喫茶店というスタンスにこだわりたい」というが、飲み物のほかフードも豊富で、かつ市村さんのオリジナルメニューだ。

愛嬌たっぷりな市村さんの話を聞いていると、この店が店主のキャラクターで地元に愛されていることがわかる。東京下町を代表するビートルズ・スポットだが、それ以前に、とっても居心地のいい普通の喫茶なのだ。

Beatles_LetItBe
【Master’s Choice 1/213】Let It Be
1958年生まれの市村さんがビートルズを最初に意識したのは、中学生の時にテレビのCM から流れてきた「レット・イット・ビー」。「映画の映像を使ってサビの部分が流れていたのですが、最初は「レット・イット・ビー」と歌っているって全然わかりませんでした。あれから50年近くが経ちますが、1曲となるとやっぱりこの曲を選びますね」

取材・文=竹部吉晃 撮影=小野広幸