◆散歩コース◆

体力度:★★☆
難易度:★★☆

  • 登山シーズン 4月~12月
  • 最高地点 1504.2m(越前山)
  • 歩行開始地点 704m(愛鷹登山口バス停)
  • 歩行時間 5時間
  • 歩行距離 約9.5km
スタート
愛鷹登山口バス停
バス停の近くに登山道入口の案内板。杉林に囲まれた舗装路を25分ほど歩くと山神社へ。

山神社
山神社の鳥居をくぐって登山開始。30分ほど登ると愛鷹山荘。そこから約10分で尾根上の富士見峠へ。

富士見峠
峠から右手の黒岳方面に向かうと、急坂になり黒岳展望広場へ。富士山が現れる。先の黒岳の眺望もよい。

黒岳
富士見峠へ戻って越前岳の方面への登りに入る。鋸岳展望台を過ぎ、さらにひと踏ん張りで富士見台。

富士見台
富士見台から緩やかな尾根道になる。30分ほどで愛鷹山塊、最高峰の越前岳に到着。駿河湾方面の眺望がいい。

越前岳
眺望のない樹林帯を下り、馬ノ背に着くと視界が一気に開け、また富士山が眼前に。バス停はまもなく。

ゴール
十里木バス停

アクセス:
[行き]バスタ新宿から小田急バスにて御殿場駅前へ。御殿場駅前から富士急バスで愛鷹登山口バス停へ。片道約2時間20分
[帰り]十里木バス停から富士急行バスにて御殿場駅前へ。御殿場駅前から小田急バスでバスタ新宿へ。片道約2時間30分

帰りのバス便は平日も土休日も午後は13時、14時、17時台の3便。アプローチは三島駅からも可能で、バス便は平日、土休日ともに午前中は7時台と9時台の2便あり。

富士山が最も大きく見える山はどの山か。距離でいえば、山中湖の南の籠坂(かごさか)峠から行く立山(たちやま)は13㎞程度でたぶん一番富士山に近いと思われるが 富士山が見えない。近くの立山展望台からは見えるが、これは山ではなく展望台。となると西湖近くの足和田山(あしわだやま)と愛鷹山塊の越前岳が富士山から15㎞程度なので一番か。竜ヶ岳も近くて16㎞ほど。何も富士山は大きく見えるほどいいというわけでもないが、ご参考までに。

愛鷹山塊である。最高峰の越前岳のほか、位牌(いはい)岳、呼子(よびこ)岳、黒岳、袴腰(はかまごし)岳、愛鷹山など、9のピークを持つ山塊だ。「富士の三足」とも呼ばれるひとつで、古くは足高山といわれた。ほかの二足は、山梨県の足和田山、神奈川県の足柄(あしがら)山である。ちなみに足柄山は金時(きんとき)山から足柄峠までの山域。

三足は鼎(かなえ)状になっており、富士山を支える山ということだろうか。

愛鷹山登山口バス停からスタート。杉林の中を歩いて行くと登山口に。すぐ松永塚と山神社がある。登山道は最初、薄暗い杉林を抜けて行く。20分もすると杉林から落葉樹の森になり、落ち葉を踏みしめながら上がって行く。愛鷹山荘が左手に見えてきたら、まもなく

尾根上の富士見峠へと出る。

山神社近くの松永塚。1928年に遭難した松永敏男の慰霊碑が立つが、この遭難事故がきっかけで愛鷹山塊の登山道が整備された。
山神社近くの松永塚。1928年に遭難した松永敏男の慰霊碑が立つが、この遭難事故がきっかけで愛鷹山塊の登山道が整備された。

眼前に富士山が広がる、黒岳展望広場

越前岳は左、右は黒岳方面。黒岳方面へ右折し、急坂を10分ほど上がると黒岳展望広場に着く。今日最初の富士山に御対面である。

黒岳の山頂付近の紅葉。紅葉の時季は多くのハイカーで賑わう。
黒岳の山頂付近の紅葉。紅葉の時季は多くのハイカーで賑わう。

ここからは、1707年(宝永4年)に起きた宝永大噴火によってできた宝永火口が真正面に見える。富士山が最後に噴火した跡である。少し先に黒岳山頂。富士山が一望できる。

 

黒岳展望広場からの眺望。正面に深くえぐれた宝永火口が見える。
黒岳展望広場からの眺望。正面に深くえぐれた宝永火口が見える。

富士見峠に戻り、越前岳を目指す。急坂ではないのだが山頂までは2時間弱の登り。嫌になってきた頃に鋸岳展望台へ着いた。

鋸岳展望台から鋸岳を望む。この鋸の歯のようなところに登山道が通っている。通行不可になっているが、行く人はいるようだ。
鋸岳展望台から鋸岳を望む。この鋸の歯のようなところに登山道が通っている。通行不可になっているが、行く人はいるようだ。

愛鷹山塊の中でも鋸岳から位牌岳へのルートは危険なところで、通行禁止になっている。遠望するだけでも足が震えてきそうなギザギザ山である。

展望台から富士見台へ。かつて写真家の岡田紅陽がここで撮った富士山が図案化されて五十銭紙幣に使われた。戦前の話だ。

富士見台から30分ほど登って、ようやく愛鷹山塊最高峰の越前岳山頂へ着いた。越前岳からの富士山はいまひとつ。木立にじゃまされて一部しか見えない。しかし反対側に目を向けると、沼津や富士の市街地が見え、遠くの駿河湾が、きらきらと輝いていた。

越前岳からの眺望。駿河湾と沼津、富士の市街地の展望がいい。
越前岳からの眺望。駿河湾と沼津、富士の市街地の展望がいい。

十里木に向かって下山開始。樹林帯を抜けて馬ノ背というところに来るとススキの原っぱが広がり、裾野を広げた富士山が迫ってきた。富士の先っちょは雲に隠れている。

越前岳から下った十里木高原は一面ススキの野原。西日を浴びて、光輝いていた。
越前岳から下った十里木高原は一面ススキの野原。西日を浴びて、光輝いていた。

富士山はいつもそこにあるが、ときどきお隠れになる。晴れているからといって見えるとは限らない。それが富士山である。

山歩きメモ

越前岳から位牌岳方面は、普通の登山者は行かないほうがいい。行くならせめて呼子岳か割石峠までにしておいたほうがいいかもしれない。その先は進入禁止になっているほどの険路。鋸岳は鋸岳展望台から楽しむものである。

アドバイス

登山コース内は道標も整備されているので迷うこともない。危険箇所もないが、低山とはいえ急坂や長い登り坂が続くところがある。アシタカツツジの見頃は、5月半ばから6月にかけて。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ』より