代官山・中目黒・恵比寿の基礎知識
代官山は、昭和初期に同潤会の代官山アパートメントが建てられた頃は雑木林に囲まれていた。1980年代後半のバブル期以後は、新ブランドを発信させるファンションタウンへと変貌していった。
「なかめ」とも呼ばれる中目黒。桜の名所としても知られる目黒川が流れ、川沿いにはファッションや雑貨、飲食店など、個性的な店舗が点在。
恵比寿は、行きたい街や住みたい街の上位に登場する人気のエリア。大人に愛されるショップやレストランなどが立ち並ぶ。そんなおしゃれなエリアだが、『旧朝倉家住宅』や『東京都写真美術館』、『ヱビスビール記念館』など、歴史や文化に触れるスポットも豊富。
1 代官山T-SITE
蔦屋書店が中核の商業施設
ライフスタイル提案型商業施設。『代官山 蔦屋書店』の、「人文・文学」「アート」「建築」「クルマ」「料理」「旅行」は、どこにも負けない品ぞろえ。ラウンジでは、飲食をしながら書籍を持ち込んで選べる。敷地内には輸入玩具やベーカリー、電動アシスト自転車などの店舗が並ぶ。
2 西郷山公園
富士山も望む高台の公園
西郷隆盛の弟で、政治家・軍人だった西郷従道の邸宅跡を整備。台地の端の斜面を利用した、落差20mの人工滝がある。展望台からは冬の晴れた日には富士山の眺望を楽しもう。
3 旧朝倉家住宅
大正ロマンを感じる邸宅
東京府議会議長や東京都渋谷区議会議長を歴任した朝倉虎治郎の住居跡。大正8年(1919)に建てられた2階建ての建物内を見学できる。四季折々の風情を感じる回遊式庭園も見事だ。
カフェファソン 中目黒本店
好みのコーヒーに出会えるかも
厳選したコーヒー豆の生豆を自家焙煎してハンドドリップしたコーヒーが味わえる。店主に好みを伝えれば、最高の一杯を淹れてくれる。ハンドドリップコーヒー610円〜。
4 目黒川
春には川面がピンク色に染まる
世田谷区から東京都目黒区、品川区を流れて東京湾に注ぐ河川。東京都目黒区内の約4㎞にわたって約800本の桜並木が連なり、3月下旬〜4月上旬に満開を迎える。両岸から川を覆うように咲く光景は見事で、ライトアップもある。川沿いには個性的な飲食店やショップなどが点在している。
5 アメリカ橋
歌にもなった鉄製の橋
目黒駅と恵比寿駅の間にある青い鉄橋。1904年のセントルイス万国博覧会に展示していたものを、当時の鉄道作業局が買い取って架設したので、アメリカ橋の愛称で呼ばれる。狩人や山川豊などがアメリカ橋をテーマに歌っている。現在の橋は2代目で、正式名称は恵比寿南橋。
6 東京都写真美術館
展示のほか、映画上映も楽しみ
日本初の写真と映像に関する総合的な美術館。収蔵作品は3万6000点を超える。3つの展示室で、年間20本程度の展覧会を開催。ホールでは各種映画を上映する。
7 ヱビスビール記念館
130年を超えるヱビスビールを堪能
明治23年(1890)、この地で生まれたヱビスビール。ヱビスツアーでは、130年超の歴史を学べる。ヱビスビールや「琥珀」、「ブラック」などの飲み比べができる。グラスをはじめ、レアグッズを販売。
キムカツ 恵比寿本店
サクッとした歯切れが特徴
黒豚ロース肉をミルフィーユ状にして揚げたキムカツ。木桶醤油、おろし大根を合わせた特製出汁で食べる。黒豚キムカツチーズランチ膳1628円。
【街探検】恵比寿の由来
現在の恵比寿ガーデンプレイスで醸造されたヱビスビールから始まった
ハイブランドショップや話題の飲食店など、さまざまなスポットが点在する恵比寿。地名としては、恵比寿駅東側が「恵比寿」、恵比寿駅西側が「恵比寿西」「恵比寿南」になっている。今では普通に恵比寿と呼んでいるが、よく考えてみるとちょっと面白い地名だ。なぜ恵比寿という地名になったのだろうか?
恵比寿の地名は『ヱビスビール』に由来する。サッポロビールの前身・日本麦酒醸造会社が、現在の恵比寿ガーデンプレイスのある地で明治23年(1890)に『ヱビス(ゑびす)ビール』を発売。ちなみに、ビール工場があった地名は当時は伊達町だった。同34年にビール運搬用の貨物駅として「恵比寿駅」が開業した。その頃からこのエリアを恵比寿と呼ぶようになった。
その後、地名が変更されて、最初に付いた地名が「恵比寿通り」そして、昭和41年(1966)に現在の地名になった。企業名が地名になったのは全国的に数あるが、ブランド名が地名になったのは珍しい。ビール工場は昭和63年(1988)に千葉県に移転。今後、恵比寿の地で『ヱビスビール』工場復活という構想もあるという。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より