錦糸町・亀戸の基礎知識
駅前に大型商業施設が出店し、駅西側は歓楽街としてにぎわいを見せる錦糸町。2010年より開始した「すみだストリートジャズフェスティバル」は、多くのファンを集め、音楽の街への評価も高まっている。
亀戸は、亀戸天神社の門前町。学問の神様・菅原道真を祭神とすることから受験生の参拝が多い。受験シーズンに重なって境内の梅も見頃を迎えるので2~3月は大にぎわいだ、
亀戸大根を復活させた『升本』、各地に支店をもつくず餅の『船橋屋』など名物グルメも多々あるが、今や亀戸のソウルフードともいえるのが『亀戸餃子』。休日には1万5000個を売るという行列必至の人気店だ。
1 すみだ江戸切子館
すみだマイスターの切子作品も販売
江戸切子の工房兼ショップ。作家の一品物から、日常使いできる品までを展示販売する。江戸切子の歴史や制作工程、古くから使われる道具など展示し、職人技も見学できる。
2 東京消防庁本所防災館
日頃の防災意識を高めるために
体験型展示を通じて、地震や初期消火、応急救護、火災の煙からの避難など、防災に関する知識や技術を楽しみながら学べる。本物そっくりの状況を想定した体験にチャレンジを。
3 船橋屋 亀戸天神前本店
江戸っ子も好んだ和スイーツ
文化2年(1805)創業で、亀戸天神社の参拝客が好んで食べたという「くず餅」の元祖。乳酸発酵させたくず餅、大豆や黒糖の素材の味を生かしたきな粉と蜜は、やさしい甘さ。イートイン750円。
4 亀戸天神社
学問の神を祀る神社はフジの名所
学問の神として信仰を集める菅原道真を祀る。徳川4代将軍・家綱が社地を寄進し、九州太宰府天満宮にならい社殿などを創建。4月中旬から見頃を迎えるフジが見事で、心字池周辺に咲き誇る。
5 香取神社
故事にちなむ勝矢祭も見応えあり
創建1350年以上の古社。藤原秀郷が平将門討伐の戦勝祈願をし成就したことから、弓矢を奉納し「勝矢」と命名。今では勝利を願う「スポーツ振興の神」として参拝客が多く訪れる。
6 亀戸香取勝運商店街
昭和時代へタイムスリップできる
外壁をモルタルや銅板で覆い、カラフルに塗装した看板建築の建物が並ぶ商店街。明治時代から営む味噌と漬物『丸定』、老舗和菓子店『山長』など個性的な店が軒を連ねる。
7 亀戸梅屋敷
亀戸の文化、歴史発信施設
江戸時代に実在した梅の名所・梅屋敷をモチーフとした商業施設。観光案内や区の特産品販売、寄席などを備える。ここ限定販売の棹前こんぶ250円、亀どら190円、梅カステラ194円がおすすめ。
亀戸升本 本店
伝統野菜・亀戸大根料理を堪能
明治38年(1905)創業で、江戸伝統野菜の亀戸大根を使った料理を提供。あさり鍋と相性が良く、昼ならば亀戸大根あさり鍋めし1980円を味わえる。
亀戸ぎょうざ
行列必至の亀戸名物グルメ
昭和28年(1953)創業の超人気店。料理は餃子のみの一品勝負。注文は一人2皿(1皿270円)から。皮は薄く、カリカリ食感で、キャベツ多めだから後味さっぱりで、おいしい。
【街探検】江戸切子
職人技が光るガラス細工。日本を代表する伝統工芸品の技に触れる
天保5年(1834)に、江戸大伝馬町のビードロ問屋・加賀屋久兵衛が、金剛砂を用いてガラスの表面に彫刻したのが始まりと伝わる江戸切子。明治に入り、品川硝子製造所が開設され、英国人エマニエル・ホープトマンを指導者として招き、十数名の日本人がその指導を受けて今の工芸技法が確立した。昭和60年(1985)には東京都指定伝統工芸品に、2002年には経済産業大臣指定伝統的工芸品に認定され、若い職人に脈々と受け継がれている。
墨田区内には昔から江戸切子職人が多く集まり、工房やショップが点在する。『すみだ江戸切子館』は老舗ガラスメーカー『廣田硝子株式会社』による江戸切子専門の工房ショップ。墨田区認定のすみだマイスター・川井更造さんをはじめとする職人が生み出した作品を手にすることができる。このほか、創業76年の老舗『江戸切子の店 華硝』から、親子2代でその技を競う『彩り硝子工芸』といった工房まで、さまざま作り手の違いを楽しむことができる。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より