【横丁で飲むか、隠れ家的居酒屋で飲むか】
鳥居の先に、地元飲んべえが集う秘密基地『テンセイ』
「レトロな雰囲気の店内にしたくてねえ」とは、店主の天田政俊さん。店内のBGMは、自身が収集したレコードから、レゲエやロック、昭和歌謡など、ざっくばらんに選ぶ。つまみのほとんどが日替わりのなか、定番にして看板は塩もつ煮込みだ。6時間煮込んだホルモンはトロトロで、絶妙な塩味と肉の甘みが染みわたる。合わせる酒は、ホッピーのごとく焼酎に自分で炭酸を注ぐレモンサワーで決まりだ。
『テンセイ』店舗詳細
横丁の焼き鳥店では、外飲みの風情も肴に『焼とり よね田』
連日満席の人気店だが、ぽっと外席が空くことがある。運よく座れたなら、キンキンのビールと、名物のつくねを頼みたい。「つくねは焼けるまで30分かかるんですよ~」と、店長の川村興太さん。夜風を浴びながら焼き鳥に舌鼓を打っていると、どでかいつくねが目の前に登場。半熟目玉焼きにつけてかぶりつけば、タレと黄身の甘さ、黒コショウの風味でビールがどんどん進む。
『焼とり よね田』店舗詳細
酒飲みたちの安息地? 山小屋風立ち飲み酒場『西荻ヒュッテ』
「山小屋みたいに、知らない人同士がすぐ仲良くなれる店にしたくて」とは、店長の中村泰介さん。1階の立ち飲み席はいつもにぎわい、笑い声が響いている。つまみはアウトドア料理を意識したコンビーフエッグや燻製などが定番。また、スキットルボトルのウイスキーは、客がラベルに思い思いの絵を描きキープ。肩肘張らない雰囲気が癖になり、明日もつい、立ち寄りたくなってしまう。
『西荻ヒュッテ』店舗詳細
東京でもっともタイに近い場所!?『ハンサム食堂』
西荻窪の横丁を代表するタイ居酒屋。タイ研修で腕を磨いたスタッフによる料理は、リーズナブルながら、どれもハズレなしの優良店。クイッティアオ・ナーム(タイ屋台汁そば)は、パクチーてんこもりのタイサワーと相性抜群。柳小路をはさんで、2つの店舗がある。料金は店舗に問い合わせてください。
『ハンサム食堂』店舗詳細
【高すぎず、若すぎず、気取らず。西荻窪の良心酒場】
ゆるゆる飲んで心からじんわり温まる『酒房高井』
かつて西荻窪にあった人気酒場『はるばる亭』から独立して開いた『酒房高井』。現在は、ご主人の高井さんが水・土曜、奥様のもとこさんが火・金・日曜と交代で担当する。「お待たせしました〜」とゆったり微笑むもとこさん、「本当はカウンターで飲むほうが好きなんだよ」と言いながら表情を緩める高井さん。どちらの日も、やわらかい空気は変わらない。お二人の手料理にもほっとして、ぬるま湯に浸かっているような心地よさが、一番の肴なのだ。お通し550円。
『酒房高井』店舗詳細
ひねりを利かせた絶妙なセンスにハマる『みちのくらさん』
ぎっしり貼られたメニューは、気になるネーミングばかり。WOMANやっこ、うそっぷ焼き、エロうま豆腐など、どんな料理なのかは来店してからのお楽しみ。名付け親の店主・髙橋くらのすけさんが、会社員時代に日本各地で出合った料理や食材の組み合わせから考案したとか。ポリシーは「火を通して生よりうまい」で、生魚のメニューはない。「もともと家に人を招いて料理を作るのが好きでね」とうれしそうに笑う髙橋さんにも心がほぐれる。お通し440円。
『みちのくらさん』店舗詳細
旬野菜もしっかりとって健やかに飲みたいときは『雨ねこ。』
「お昼ちゃんと食べた?」と声をかけて、今日のおばんさいを説明する横手珠美さん。切干し大根の梅煮、季節の煮浸しなど、体にやさしいおばんざいが並ぶ。「野菜も食べて元気になってほしい」と、疲れて駆け込む常連客の顔を思い浮かべながら腕を振るうのだ。和食に合わせるお酒は国産ワインを。ブドウの収穫も手伝う、山形県の酒井ワイナリーのワインを常備する。日本酒もオッと思う銘柄が揃い、店名にちなんで新政酒造の「亜麻猫」も。店内にいる招き猫らが待ってるよ。お通し440円。
『雨ねこ。』店舗詳細
【店主の自由な発想が光る酒場】
種類豊富な日本酒とスパイスの出合い『Spice飯店』
日本酒とスパイスの組み合わせは、大胆にして繊細だった。「両方好きなので、たまたま合わせてみたらよかったんですよ」と店主の岡本大佑さん。例えば、麻辣系のスパイスを利かせた、よだれ鶏ならぬ〝よだれ鴨〞にコクのある日本酒を合わせると、ドンピシャリ。隠れていた酒の旨味が花開くようにふわ~っと広がり、鴨のむっちりした野性味や麻辣の鮮烈な辛み、黒酢の酸味など様々な風味が繊細に重なって、口が豊かに満ちる。この味のループはきっと癖になるはずです。
『Spice飯店』店舗詳細
ママの店として再始動。愉しい空間で日本酒を『スナック慕情(秋田ばる七尾)』
西荻窪で7年つづく秋田の料理と日本酒の店、「秋田ばる七尾」が政権交代!?(冗談)。2019年11月5日から、店主の七尾太佳史さんに代わり、奥様の亜里咲さんが「スナック慕情」のママとして夜を仕切る。ママの第二の故郷の、香港のエッセンスを取り入れたつまみが中心で、秋田の日本酒は変わらず揃える。意外にも香港つまみと日本酒はよく合う。この店は内装も料理も酒もバラバラなのに、全てが調和しているのが面白い。つまり、愉快に日本酒を飲める店です。
『スナック慕情(秋田ばる七尾)』店舗詳細
取材・文=山内聖子、佐藤さゆり・高橋健太(teamまめ)、井島加恵、松井一恵(雨ねこ。) 撮影=オカダタカオ、井原淳一、原 幹和、丸毛 透、山出高士(雨ねこ。)