旨味とスパイスが舞い広がる忘我のカレー『ヨゴロウ』
コアな常連に人気のチキンカレーは、ソースがトマトかホウレン草の二択。なかでもトマトは、その酸味がスパイスの風味、グリルし蒸し焼きにした鶏肉のふくよかな旨味、コクを煽り、味に奥行きを持たせる。スパイスはホールのまま、黒味がかるまで念入りに煎るとか。カレーを頬張るとロースト香が勢いよく鼻に抜け、顔全体を覆うように広がる。食べ終わるころにはうっとり、忘我の境地だ。
『ヨゴロウ』店舗詳細
住所:東京都渋谷区神宮前2-20-10 小松ビル1F/営業時間:11:30~16:00・18:00~20:00(土は昼のみ)/定休日:日・祝/アクセス:JR中央線千駄ケ谷駅・地下鉄大江戸線国立競技場駅から徒歩11分
味覚と嗅覚を次々突かれ、幸福『BLAKES(GHEE)』
注文を一つに絞れない時はコンビネーションカレー。例えばキーマはドライタイプで、スパイスの華やかな風味、辛味、鶏挽き肉の食感につい没頭する。口の中に膨らむ香ばしさの正体はコーン。ミルクカレーは甘みの中にピリッと鋭利な辛さが混じり、癖になる。前身の『GHEE』はかつて同じ界隈にあったインド料理店。店主の赤出川オサムさんのカレーに憧れ、店を始めたフォロワーも多い。
『BLAKES(GHEE)』店舗詳細
住所:東京都渋谷区神宮前2-20-13 神宮前TNビル2F/営業時間:12:00~15:00・18:00~22:00/定休日:日・祝/アクセス:JR中央線千駄ケ谷駅・地下鉄大江戸線国際競技場駅から徒歩10分
複雑に絡み合うスパイスの魔法『salut』
鶏挽き肉は、旨味を含んだ脂がにじむモモ、弾力のあるムネをブレンド。食べ進めるごとに味わい深くなり、どんどん食欲が増す。噛みしめるとスパイスが弾け、爽やかな香りのカルダモン、苦味のニゲラ、クミンなどが存在を主張。メリハリある展開に引き込まれ、あっと言う間に完食だ。日によって営業時間が異なりモーニングでも楽しめる。ディナーでお酒と一緒に、というのもうれしい。
『salut』店舗詳細
住所:東京都渋谷区千駄ケ谷4-30-6 エビデンワビル3F/営業時間:8:00~10:30・11:30~16:00(火・水は18:00~22:30)/定休日:木(不定休あり)/アクセス:JR・地下鉄代々木駅から徒歩3分
取材・文=信藤舞子 撮影=高野尚人、加藤熊三
『散歩の達人』2020年1月号より