旨味とスパイスが舞い広がる忘我のカレー『ヨゴロウ』
コアな常連に人気のチキンカレーは、ソースがトマトかホウレン草の二択。なかでもトマトは、その酸味がスパイスの風味、グリルし蒸し焼きにした鶏肉のふくよかな旨味、コクを煽り、味に奥行きを持たせる。スパイスはホールのまま、黒味がかるまで念入りに煎るとか。カレーを頬張るとロースト香が勢いよく鼻に抜け、顔全体を覆うように広がる。食べ終わるころにはうっとり、忘我の境地だ。
『ヨゴロウ』店舗詳細
味覚と嗅覚を次々突かれ、幸福『BLAKES(GHEE)』
注文を一つに絞れない時はコンビネーションカレー。例えばキーマはドライタイプで、スパイスの華やかな風味、辛味、鶏挽き肉の食感につい没頭する。口の中に膨らむ香ばしさの正体はコーン。ミルクカレーは甘みの中にピリッと鋭利な辛さが混じり、癖になる。前身の『GHEE』はかつて同じ界隈にあったインド料理店。店主の赤出川オサムさんのカレーに憧れ、店を始めたフォロワーも多い。
『BLAKES(GHEE)』店舗詳細
複雑に絡み合うスパイスの魔法『salut』
鶏挽き肉は、旨味を含んだ脂がにじむモモ、弾力のあるムネをブレンド。食べ進めるごとに味わい深くなり、どんどん食欲が増す。噛みしめるとスパイスが弾け、爽やかな香りのカルダモン、苦味のニゲラ、クミンなどが存在を主張。メリハリある展開に引き込まれ、あっと言う間に完食だ。日によって営業時間が異なりモーニングでも楽しめる。ディナーでお酒と一緒に、というのもうれしい。
『salut』店舗詳細
取材・文=信藤舞子 撮影=高野尚人、加藤熊三
『散歩の達人』2020年1月号より