バターも牛乳も使わないホワイトシチュー
看板メニューは先代店主のおばあちゃんが家庭で作っていたロールキャベツシチュー。鶏ガラスープにラードで伸ばした小麦粉を加えて、とろみをつけている。バターや牛乳など乳製品は一切使っていない、中華の白湯(パイタン)スープを思わせる味。塩味が効いているので、ご飯にかけて食べてもおいしい。
中身の肉は、豚の腕肉と牛のバラ、赤身。塊肉から仕入れ、厨房でミンチにしている。味付けは塩、胡椒、少量のニンニクのみというシンプルさ。スプーンを入れると簡単に切れるのに、肉はみっちりとしてほどけない。
このロールキャベツシチュー2個にご飯がついて980円と安い。かつてはお腹を空かせた学生たちでにぎわったというのも納得だ。
「激」ではなく「極」辛の、スパイスカレー
ロールキャベツと並んで特筆すべきは、スパイスをふんだんに使った本格的なスパイスカレー、極辛カレーライス。「激辛」ではなく「おいしい辛さを極める」と言う意味でゴクカラ。
骨つきチキンが2本入り、具材をトロトロになるまで煮込んでいる。クミンやグローブ、カルダモンなどスパイスの香りも鮮烈だ。
辛さは後からじんわり追ってくるが、辛いものが苦手な筆者でも完食できた。店主・鈴木さんのお父さんが、インドで出会ったカレーにインスパイアされ、帰国してから独自のレシピで完成させたそう。
彫刻を施した趣のある木造建築
特徴的な木造建築は、建築に凝っていた初代店主の兄が宮大工を住まわせ、細部の彫刻まで造らせた。以前はバー営業もしていたせいか、外観はどこかヨーロッパの酒場風。赤いビロードの絨毯や椅子、アンティーク調のランプが昭和レトロを感じさせてくれる。羽田空港第2ターミナルに支店がある。
取材・文・撮影=新井鏡子