脱サラして夢を果たした、安く飲める餃子酒場
店主の大田陽介さんは、サラリーマン時代から飲食店経営の夢を抱いていた。20代後半に脱サラ後、中華料理店で修業する一方、横浜中華街の有名店で長年修業した人から餃子をはじめ、さまざまなレシピを教えてもらうなどして、開業の道を歩き始めた。この地に店を開いたのは2011年のこと。大田さんは32歳という若さだった。
「開業したのは東日本大震災の4カ月後でした。居抜きの店内は震災の影響があったのか、荒れ放題でした。だから家賃も安かったのです。安く飲める餃子酒場というのは、当初からのコンセプトでしたから、家賃が安いというのは助かりました」。大田さんは、開業当時をそう語る。
朝5時までの営業だから終電なんて気にしない!
大半の客が注文するという焼き餃子は、横浜中華街の有名店のレシピを参考にしたものだ。具は豚挽肉、キャベツ、ニンニク、春雨。酒のつまみとして食べやすいように、ひと口サイズになっている。こんがりキツネ色に焼き上がった皮はパリッとした食感で、口に含めば肉汁がこぼれてくる。中華スープとともに味わう水餃子の皮は、焼き餃子に比べやや厚めで、つるんとした食感を楽しめる。『餃子酒場 大田屋』では、まずはこの2品から始めよう。
カレーパンにナポリタン。これも店主自慢の創作餃子
メニューには創作餃子も並ぶ。餡の中に梅肉と大葉を練り込んだ梅じそ餃子5個350円、餃子の皮でクリームシチューを閉じ込めたクリームシチュー餃子5個350円は大田さんの自信作。
多くの創作餃子は、大田さんのアイデアから生まれたものだ。
「当初はメニューも少なかったのですが、徐々に創作餃子を増やしていったので、現在では常時10種類以上あります。以前はカレーパン餃子、ナポリタン餃子なんていうのもありました。意外と好評で、復活を望まれるお客様もいます」。
餃子はすべて店内で作られている。メニューによって具が異なり、作り方も異なるので、営業時間中もカウンターの中ではスタッフが餃子を包んでいる。
「餃子は毎日違う種類のものを作り続けていますし、鶏だしは3時間以上煮込んでスープを作ります。すべて手作りというのも、うちの店の売りの一つです」と大田さんは話す。
店主のアイデアから生まれた手作り創作餃子、ぜひ試してみてほしい。
取材・文・撮影=塙 広明